今はあまり造らない床の間 | 奈良県古民家再生協会ブログ

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古民家のリフォームが終わりました。

古民家ともなれば床の間は必ずあります。

 

私がこの業界に入った35年ほど前まではどんな家

でも床の間のある和室が必ず一つはありました。

どんな家でもというのは建売住宅でもそうでした。

なぜか床柱と地板、落とし掛け、雲板がついてい

ました。

床柱は桧の甲丸や杉の絞り丸太が使われていました。

当時は銘木屋さんも多かったです。

床柱がたくさん並んでました。

銘木屋さんも減りましたね。

 

少なくとも当社では現代、床の間を造ることはめったに

ありません。

和室自体がないこともありますし、造っても4畳半程度の

茶の間だったりします。

現代の生活では必要性がなくなったんですね。

限られた間取りの中で床の間を造る余裕がないのが現実

です。

 

しかし古民家をリフォームしても床の間を解体すること

はあまりありません。

座敷はほぼそのままの残すことが多いです。

私の家もそうでした。

床の間のある座敷はそのまま残しています。

材料費と手間がかかっているからもったいないという理由

もあります。

 

何に使うということもありません。

せいぜい来客があった時くらいでしょうか。

でもなぜか家の中にそういった部屋があるというだけで

落ち着くような感じがします。

兼好法師(吉田兼好)の徒然草の中に

「造作は、用なき所を作りたる、見るも面白く、万の用に

も立ちてよしとぞ」という文言があります。

「必要ないと思うところも造っておくと目の保養にもなり

いざという時に役に立つことがあるかも」

といった意味らしいです。