さてきのう。あんまりのいいお天気に誘われてお庭へお散歩に。
平城宮跡をほてほて歩いてると、おっちゃんがふたり。
ひとりのおっちゃんが案内役らしく、大きな声で 「あれが大極殿な。あれを見んと平城宮跡に来た意味はないんや」
ん~それは違うと思うが。平城宮跡は1300年守られてきた、都の記憶が眠るこの地そのものに意味がある。
と。思ったりするのだがなー。
大極殿から北へほんの100mほどのところに「平城庵」という喫茶処がある。
今はなくなった甘党のおばあちゃんが奈良へ遊びに来ると、よく行った喫茶処。
最初は手押し車で歩いて。足腰が弱くなるとバスに乗って。
そこのおばちゃん手作りの抹茶のケーキがなんとも美味しくて。
こどものならこはその抹茶ケーキとそのころ好きだったレモンスカッシュとゆー珍妙な組み合わせを頼むのが常だった。
その平城庵。今もまだ開いてて。
それこそどれだけぶりだろう。ってくらい久しぶりに寄ってみた。
蔵を改造した真っ白な白壁の外観はなにも変わらず、内装もなにも変わりなかった。
おばちゃんが相変わらずひとりでお店をやっていて。
残念ながら、おばちゃんのあの手作り抹茶ケーキは今はもう焼いていないらしい。
ママさんと同年代のおばちゃん。一人で切り回すお店にケーキを焼く作業はもうしんどい。
なんどか食べた抹茶定食も今はやっていない。
気分だけでも、と 仕入のミニ抹茶ケーキセットを頼んだけれど、やっぱりおばちゃんのケーキとは違う。
それでもこのお店がまだやっていたことがうれしかった。
お店に入ったときお客さんは一組だけで、しばらくするとその人たちも帰っていった。
きょねんの1300年祭のときでも、ほとんどお客さんの入りに変化はなかったそうだ。
ほんの100mでも大極殿より北に来る観光客はいない。
でもおばちゃんはこのぽつりぽつりの客の入りぐらいがちょうどいいと言う。
もうたくさんのお客さんに来てもらっても大変で次の日お店が開けられないからね、と。
座った視線より下に設けられた窓からは、平城宮跡が広がる。
わんこの散歩や小学校へ行くバスを待った、ならこにとってもっとも身近な平城宮跡の姿だ。
話し声もない静かな空間で、変わらないそんな景色をただ眺める。
ケータイを忘れたのでイコール時計も忘れた。
ただゆったりと過ぎたひとときがなんとも贅沢に思えた。

