山梨へ帰ってきてから

 

孤独で退屈の生活だったが

 

なにも悪いことだけではなく、少しだけ良いこともあった

 

それは

 

家族がそばにいることだった

 

埼玉にいるときは

 

距離も遠く、姉妹になかなか会う事ができなかったが

 

山梨へ帰ってきてからはすぐに会える距離にいた

 

それに姉妹にはそれぞれ家庭ができていて

 

僕には3人の甥と姪がいた

 

その甥と姪に会える事が唯一の癒しになっていた

 

 

子供にも恵まれて

 

幸せそうな2人を見ているとなんだかホッとしていた

 

 

お母さんが亡くなった時

 

辛く悲しい思いをしたのは2人も同じで

 

心の傷が癒えていない中

 

僕が間違いを犯し、2人を失望させ迷惑をかけてしまった

 

それでも2人は

 

僕を見放すことなくいつでも僕の味方でいてくれた

 

僕はこれまでに、いろいろな人に支えられてここまで来れたけど

 

その中でも姉妹の2人は特別だった

 

 

僕にはもう親孝行をすることはできないけれど

 

せめて姉妹にだけはいつか恩返しをしたいと思っている

 

そんな2人が

 

家庭を持ち、幸せそうな姿を見ているだけで

 

少し心が浄化されていた

 

 

けれど

 

浄化していくのは

 

僕の心の中にあるほんの少しの隙間だけだった

 

姉妹の幸せそうな姿を見ていると

 

僕はある事に気がついてしまった

 

2人には家族がいて、家族から必要とされていた

 

 

でも…

 

自分はどうなんだ…

 

 

”俺は誰から必要とされている?”

 

”なんのために今生きている?”

 

”自分の存在意義はなに…?

 

”そもそも他人を傷つけた俺は生きている価値あるのか…”

 

 

僕は自分で自分の心をグサグサとナイフで切り裂いていた…

 

 

 

姉に伝えたい言葉