僕は夜になると今でも昔を振り返ることがある

 

自立支援にいたときは特によくあった

 

 

1日のリハビリを終え

 

夜ひとり静かな部屋で

 

過去と向き合っていた…

 

 

身近な人の死を次々と目の当たりにし

 

幼い頃から人間の脆さを知った

 

しまいには

 

肉親である大切な母を病気で失い

 

次第に自分を見失っていった

 

悪い友達と付き合うようになり

 

夜は遊び回り

 

世間への迷惑すらも考えはしなかった

 

何もかもがどうでもよくて

 

自分さえ良ければなんでもよかった

 

人間の中の底辺にいるクズだった

 

 

結果

 

僕は飲酒運転をし、事故を起こし

 

他人まで巻き込んだ

 

どうしようもないクズだった

 

生きる価値もないクズだった

 

今までのツケが回ってきたかのようにその事故で

 

僕は頸髄損傷という障害を負い

 

生涯歩けない身体となった

 

全て自業自得だ。

 

 

その過去を振り返れば振り返るたび

 

自分のことが嫌いになった

 

過去を切り捨て

 

開き直ろうとさえした

 

 

だけど

 

いろいろな障害を持っている人と関わる事で

 

その人が障害を負った理由や

 

リハビリの先の目標とか

 

いろんな話を聞いていると

 

みんなそれぞれの過去と向き合い

 

その先の未来を目指して

 

死に物狂いでリハビリを励んでいた

 

そんな姿を見て

 

僕は自分で自分が恥ずかしくなった

 

 

自分自身の過ちでこの身体になったにも関わらず

 

その過去を切り捨て

 

僕は”哀しき障害者”なんだと開き直ろうとしたことが

 

恥ずかしくて恥ずかしくてたまらなかった…

 

 

自分のしてきた事を正当化するわけではない

 

人は誰しも間違いを犯してしまう生物である

 

間違いを犯したものは生きる価値がないとか

 

世間の風当たりはひどく冷たくなる

 

だけど

 

間違いを犯してしまったとしても

 

一度だけチャンスがあっても良いんじゃないかと思う

 

同じ過ちを犯す奴は

 

本物のクズだと思うが

 

一度だけ…

 

たった一度だけそのチャンスを掴もうと努力することは間違いではないと

 

 

僕はそんな事を毎晩考えるようになり

 

暗く静かな部屋で

 

そのチャンスを今僕は掴もうとしてるのだと

 

ボロボロになりそうな自分の心を鼓舞していた…

 

 

 

 

 

僕が犯した過ち