ならの大仏さま | 奈良ブログ

ならの大仏さま


奈良といえば、有名なのは大仏さまです。大仏さまは大きく美しく、厳かな気配が漂っていて、何度見ても感動します。どなたも一度はぜひ見ていただきたいと思います。

大仏は奈良時代に造られた、歴史の授業ではそう教わります。その一言で、私は今と同じ姿の大仏さまが奈良時代にもあったのだと、なんとなく勝手に思い込んでいました。

けれども、長い時代の中で大仏は何度も壊れ、そのたびに再建されてきた、その過程にはヒヤリとするような人間くさいドラマがあり、それをすべてふまえて今の姿があるのだそうです。それがとてもよく分かるのがこの本「ならの大仏さま」(かこさとし著)です。

大仏を造るにあたって関わったのは、企画者や総責任者、現場監督、現場工事の人、祈りを捧げる宗教者など、さまざまな立場の多くの人。本の中では、それぞれの職業が分かりやすい絵で示され、とても具体的に当時を想像できます。また、大仏を金で覆う技術的な方法もきちんと紹介されています。とても科学的な方法です。それらを見ていると、当時の活気は今でいうならば“世界一”の建物が次々に建設されているドバイのプロジェクトのような雰囲気ではないかと想像がふくらみます。

建立後は、災害や政治的な理由で何度も修理が必要となり、そのたびに多くの人が関わり、多額のお金が必要となりました。

再建を決め、実行してきたのは、その時代の権力者。権力者たちは次々に滅び、また新しい権力者が生まれて大仏さまを保存し続け、今に至ります。(本の中では、時の権力者が実名で次々に登場します)

著者のかこさんは、人間が利害や欲望に対して弱さを持ち、また大仏にはそれを少しずつ乗り越えてきた結果が現れているのだと書いています。それらを、あなたの未来の道しるべとして生かしてください、とも。

大仏について、これほど丁寧に取材し、政治・歴史研究・思想のどれにも誠実な立場で、また絵や図を入れて分かりやすく説明している本はなかなかないと思います。ならの大仏さまに親しみを持つきっかけとなる一冊です。

大仏さまに親しみがわけば、次は少し広げて仏教の楽しさを。こちらも大絶賛のおすすめ本があるので、それはまた明日。