「贈与が成り立つために」の続きです。
相続税の生前対策として重要な「贈与」が有効に成り立つ(税務署に否認されない)ために、気を付けるべきポイントの2つ目ですが、
②贈与する「もの」を引き渡すこと
贈与ですから、ものの引き渡しを完了(例えば孫名義の預金へ資金を移動)させることは当然なのですが、ここでも税務署の目が光ります。贈与した後の管理状態が重要です。
たとえば一方的な贈与や、お孫さんがまだ未成年あるいは本人が使ってしまうといけないからという理由で、贈与した側が預金通帳や印鑑を管理したまま、ということがよくあります。
しかし贈与が有効であるというためには、貰った側がいつでも自由に使える状態にあることが説明できなければなりません。
これは事実認定の問題になりますが、たとえば
・定期預金の満期に伴う書換書類の筆跡
・届出印は誰のもので、管理していたのは誰か
・貰った側が実際に現金を引き出して使った証跡
など、税務調査では丹念に調べられます。
贈与は資金を移動して終わり、ではありません。
本人は贈与したつもりでも、法的に有効な贈与とは認められず否認されてしまうこともあります。
生前贈与は相続税対策として我々も推奨するものですが、気を付けるべきポイントを押さえておくことが重要です。
池田歩公認会計士事務所(所属:㈱奈良税経センター)
池田歩