少し間が空いてしまい申し訳ありません。

前回前々回 から続きです。

過去に日弁連がアンケートを取った際には,特に弁護士費用を実際以上に高く装い,

保険会社と示談することにより保険会社の設定基準よりやや高い裁判基準での支払いを

免れようとするケースが非常に多かったそうです。

…!そうなのです。保険会社の支払基準は,訴訟基準よりはかなり安く,

人身傷害の場合裁判に訴えると支払額が増えることが多いのです。

標準的な弁護士であれば,一通りのことはできますので,大きな問題点がなければ

どこに依頼しても額を示してくれると思います。

その意味では,交通事故はすべてが「弁護士に依頼する場合」ともいえそうです。

しかし,・後遺障害(おおむね6か月間の治療で治らない障害)の程度に争いがある

    ・後遺障害の内容から見込まれる収入減少に問題がある

    ・収入の認定に争いがある

    ・過失割合について大きな開きがある

(難しい用語が次々出てきますが,これは次回解説します)

などを抱える場合は慎重になったほうがよいでしょう。

前2つは,医学的な知見が必要になりますので,相談できる医師の先生がいる弁護士がよいでしょう。

後2つは,事実認定の問題となりますので,丁寧に事実・証拠を拾ってくれる弁護士を選ぶのが必須なのです。


もう1つは,「どのタイミングで弁護士に相談するか」ですが,

これは次回にしたいと思います。



前回 の続きです。

かつて,示談交渉サービスがなかった時代には,

当事者同士が直接交渉していましたが,

不合理な示談をされてしまうと保険会社は支払を拒否せざるを得ず,

当事者にとっても保険会社にとっても不都合な状況がありました。

その上,交通戦争と呼ばれ交通事故が激増していました。

また,今のように全事件に弁護士がつけるほどの人数はいなかったのです。

そこで損保協会は昭和47年に示談代行サービスの構想を発表しました。

 これに対し,日弁連が弁護士法72条違反であると強く反対したため,

制度に重要な手直しを加えました。

1. 約款に,被害者から保険会社への直接請求を可能にする条項を加える。

 これにより,保険会社は自己の支払義務について交渉している体裁となるので,弁護士法72条違反

とはならない。

2. 示談代行に,被害者側の同意を必要とする

 被害者保護のため

3. 中立の第三者による裁定機関を設ける

 損保側の基準押しつけを防ぐ

などでした。

これらの手直しにより,弁護士の不足という実情もあって日弁連も折れざるを得ず,

昭和49年には日弁連と損保協会が運用面も含めた覚書を交わして示談代行サービスを

スタートさせたのでした。

 しかし,当時の懸念は一部現実のものとなっています。


続く

(注)弁護士法72条

 弁護士または弁護士法人でない者は,報酬を得る目的で(中略)法律事務を取扱い,又はこれらの周旋を

することを業とすることができない。(但し書き省略)



当事務所では現場を大事にします

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上松です。明けましておめでとうございます。

本年もよろしくお願い申し上げます。

さて,第2弾は交通事故についてお話しさせていただきます。

不幸にして交通事故にあってしまった場合,任意保険に加入していれば

保険会社に連絡を取り説明をし,相手方には保険会社の担当者が話をしてくれることに

なります。

これは,任意保険に「示談代行サービス」が付加されているためです。

多くの場合,加害者側がこのサービスを利用し,被害者と示談してしまうため

弁護士の出番はそう多くはありません。

しかし,ちょっと考えると気づくことはありませんか?

保険会社は弁護士ではないのに,保険加入者とはいえ他人の示談をしているのです。

これは弁護士法72条違反ではないのですか?

これを考えるには示談代行サービス付加の経緯を説明する必要がありますので,

昔話になりますがさかのぼってみてみましょう。


当事務所では交通事故の相談も取り扱っています

親身な対応を心がけています

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前回に引き続いて


しかし,最近では業界最大手の武富士が倒産するなど,

貸金業者の資力が落ち込み,過払い金を回収するには強制執行の

造詣が必須となってきています。

また,貸金業者側もいろいろと反論を重ねてきており,

取引が複数回ある場合に通して計算することを認めるかどうかでは(注1)

裁判をしても勝訴の保証がない場合もあります(注2)。

そのような,困難な点まで丁寧にしてくれるかどうかは

弁護士を選ぶうえで重要なポイントといえるのではないでしょうか。

また,過払い金の請求中に相手が倒産した…という場合は弁護士の出番です。

期限までに確実に債権を届け出る書類提出が必要となるからです。

現在手続きを急ぐのは,武富士です。

来年の2月28日までに書類を提出しないと権利を失うことになっています。

(終わり)


(注1)通して計算することが認められた場合,2回目の貸付に対して貸金業者が適法にとれるのは,

(貸付額-1回目の取引による過払い金額)×利息制限法の利率

通して計算しない場合,

貸付額×利息制限法の利率

となり,別個に計算したほうがたくさん利息を収受できる計算となります。

(注2)最高裁判所は,平成20年1月18日,この点について,各種要素を総合判断すべきだ,との

判決を下しています。



当事務所では困難な案件にも果敢に挑戦します

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前回の続き


 いくら過払い金請求が法律上可能になったといっても,金額がわからなければ

請求しようがありません。そのためには,いついくら借りていくら返したのかを知っている必要があります。

 しかし,サラ金などからお金を借りる人の多くは,領収書を保管していません。

借金を家族に秘密にしている,そもそも領収書の必要性を理解していない…といった理由が多いです。

また,貸金業者側は,過払い金請求を認めさせないため,国会議員に働きかけ昭和58年に

一定の要件を満たせば過払い金を返さなくともよいとする法律を作らせたのです。

 実際に過払い金請求をすると,貸金業者側は金額を伏せ,またこの法律を盾にして支払いを拒んできました。

 このため,最近まで過払金請求は,貧困問題などに取り組む一部の弁護士だけが手掛けていたのです。

 この状況は,そのグループが最高裁判決を勝ち取り,容易に請求ができる状況を作り出すまで続いていました。

 平成17年に,貸金業者が保管している取引履歴を借主側に開示することを義務付ける判決が出て,

これにより領収書を保管していない借主でも過払い金額を把握することができるようになりました。

 平成18年には,上記法律の適用範囲を大きく制限する判決が出され,裁判になれば事実上通用しなくなり

ました。

 またこのころは,貸金業者の資力も十分ありました。

つまり,請求すれば比較的簡単に返還を受けられる状況でした。

ここで,過払い金の計算などの比較的単純な事務を大量に雇った事務員にさせ,

宣伝して大量に過払い金を請求する弁護士が登場することになったのです。


もう少し続きます