いつも何かを依頼するのではなく
言いつけるのでもなく

丸投げしてくるあの営業の男が
今日も丸投げしてきた。
たとえ本社が悪くても
会社のシステム自体の問題でも
矛先は私なんだ。

上司が席を外してるのをいいことに。


もう疲れたけど 疲れ切ったけど

それ以前にもうわたしは壊れきってるから、これ以上どうかなるものでもないと思って
そいつの丸投げ事項に対して
「はいそうですか」と言って本社の人に電話かけてお伺いをたてて
「現状はこうですから」と伝えた。

何やらああでもないこうでもないと言ってるようだったけど。

だったら自分で電話かけて言え無粋めが!!!

と いい加減に怒り心頭のわたしは
そう言いたいところだったけどそんなことを言うと同類になるのでやめた。


月曜日は営業さんも直行直帰じゃなくて一旦出社することが多いから
色んなことを言われるし
もう慣れたけど本当は 辛いものは辛い。


知らないふりをしているふりは
いつまで着ていられるかな?

突然思い立って
お盆休みにドイツに行くことに決めてしまいました。

ツアーでもなんでもない
ただの
たったひとりきりのわたしの旅。
それなのに遠い遠いヨーロッパ。

少し前に
自分の気持ちを上司に話した時
上司はささやかな親心で
「女性の一人旅はあぶないよ、ヨーロッパ遠いぞ?
ええと、アメリカは英語通じるし…
オーストラリアは、今冬だけど英語だぞ??
あ、ソウルはどうだ?近いし、焼肉とか、美容とか好きそうなのあるぞ?」
と言いました。

わたしはその時黙ってうなづきました。




それから…
上司はまだ 私がドイツに行くことを知りません。


きっとセンセイに言ったら、「すぐになんて帰ってこれないんだよ!?
人出も多いんだよ!?わかってるのかい!?調子悪くなったらどうするの」
そんなのが目に浮かびます。

わたしもわかってます。
自分の調子のこともわかっています。
持って行かなきゃいけないくすりをどうするかだって、考えてます。
今だって、いちいちレジでお支払するのに、人がたくさんいて
緊張したら手が震えてしまって、とりあえず500円、千円…
言われたのより大きいお金をポンと出します。
端数なんて たとえば「464円です」なんて言うのは
時間がかかるし緊張するし無理だから、いくら小銭があっても500円玉か
千円札を出します。

センセイなんてもしかしたら
極論だと
「向こうで勝手に死ぬんじゃないよ!」とも言うかと思います。



けど
自分なりにだけど
いままでずっとずっと黙って頑張ってきて
少しずつだけどドイツ語も勉強してきて
ほんの少しずつだけど旅行の貯金してきて
やっと、念願の!!って時に…
去年は自分の調子のために
旅行に行くことができなくて全部 有休を不自由なこころのために使ってしまっていて


わたしはこのまま居たら
「きっと一生ドイツに居けない」と思ったから

行くことに決めて 予約などの手配をしてしまいました。

無謀なのはよくわかっています。

でももう 今始めるしかなくて
自分が今まで見て感じてきたものがどれだけ
歪んで枠にはまってしまっていたのかを
知って帰ってくるんだとも思っています。



これからも長く使うものだから、と
今日 うろうろして迷いに迷って
街を歩くときのかばんと、画素数の多いデジカメを入手しました。ipodfile.jpg

「この旅だけじゃない」と思って 頑張って自分の気に入ったのを買いました。
アニエスの肩掛けかばんは普段使いにもしようと思って、買ってしまいました。
濃紺でシンプルでした。
わたしが好んで着る黒い服には合いそうでした。

チャックがついてるのを選びました。
海外だと、大事なもの入れてうかうか歩いてられないと思ったからです。

かぎも付けられそうです。

デジカメは
iPhoneですべて済ませようと思ったけど
せっかく行くならたくさんたくさん、たっくさんの視界を残してきたい
と思って、買いました。


大事なのはお金なのかこころなのか。
きれいごとだけじゃ済まされない疑問が

しばらく自分のこころに居座り続けています。





営業さん(同い年の、中途採用の、ちょっと苦手な彼)が
わたしのフロアに用事があって来たので
ついでに、頼まれていた資料を渡して、簡単に説明しました。

説明してる時にフリスクをひょいと口に入れたりするのやめてほしいな~なんて
思いながら。
そういえば営業の人ってフリスク所持率高い。


そのうち彼は急に いつものように笑顔で言いました
「あの~、○○さん(私)、野暮なこと聞きますけど」

「はい」
わたしはまたてっきり
彼のことだから 机の上に置いてるハンドクリームのこととか
わたしの持ち物のこととか
なにか
そんなことを聞かれるのかな?と一瞬思っていました。


「そこ、どうしたんですか?」



彼は自分の腕のとこをさわるしぐさをしてそう言いました。
彼はにこやかでした。

彼はにこやかでした。
にこやかでした。




辺りが一瞬凍りつきました。

「…昔…怪我をしたんで…」とだけ
静かに言いました。

目の前の上司も まわりのおじさんも いつも何も言わないでくれてるけど
この瞬間も何も言わないでいてくれました。


それから私はすぐに話題を変えて、パワーポイントを印刷して
資料として彼に渡しました。

みんな
わたしが休職をしたことを知っている会社の人は、
申し訳ないけど、気づいてるだろうけど、触れないでいてくれることでした。



野暮な質問は 笑顔でできるものなんだろうか
野暮な質問ってことは、私の腕にそういう傷が残ってる理由を
ある程度知って言ってるんだろうか
やっぱり 半袖を着ていた自分が野暮だったんだろうか…

もし
こんな私のことでこれから出会う誰かたくさんの人が気を悪くしたら申し訳ないから
わたしは金輪際長袖を着ることに決めました。

自分で自分の腕を見ないようにして
「これ、わたし、やっておきますね!!」と上司に明るく言って
用事を足すために製品の見本のある静かな部屋に行きました。


紺のカーディガンを羽織りました。

お昼前には
「説明会の資料を見てほしい」と彼に言われたので
その仕事をしました。
本当は、学術的に間違ったことを言っていないか
説明会でこんな質問が出たらどうするか

そんなことをきちんと指摘しなきゃいけなかったけど

椅子に座ってるくせにぷるぷる震えてる自分には何もできませんでした。
一般論の指摘を、それなりにしただけでした。