仕事に行く3 | 精巣腫瘍をめぐる冒険

精巣腫瘍をめぐる冒険

Ⅲ年b組 予後中間群

2月10日。午前6時。


『腰が痛い。』もはやこれは明確なことでした。


朝食後、忘れずに市販の痛み止めを飲みました。仕事中痛みが強くなってしまうことのないよう、昼食後に飲む痛み止めを持って行きました。

痛み止めを飲めば痛みはいくらかましにはなるのでした。



2月11日。午後12時30分。


昼食後、痛み止めを飲みましたが、腰の痛みはひきませんでした。

腰の痛みは、今までに経験したことのあるような、たとえばぎっくり腰のような鋭い痛みとは違い、重く持続的な鈍痛でした。ですから、体を動かすことはできたものの、なにをしていてもつねに腰が重く、なににも集中できないようでした。

『だめだ、どうしてもだめだ。』昼の休憩中にこう思ったわたしは、上司に相談に行きました。


「ちちょっと、すみません。腰のようすがおかしいんです。」わたしは言いました。


「え?大丈夫?」と、上司。


「いや、かなりまずいです。今までにないような痛みかたなんです。」と、わたし。


「え?病院行ったほうがいいんじゃないの?」と、上司。


「そ、そうですね。」と、体を屈めて腰を休めながらこたえるわたし。


「このままだと、あさっての仕事まずいかもしれません。」と、わたし。


「う~ん、そうかあ。」と、上司。


上司は、冷蔵庫にはってある勤務表を少しのあいだ確認していました。


「それなら、今から病院に行ってみるのはどう?」と、上司。


「そそうですね。とりあえず、そうしときます。すみません。」と、わたし。


と、いうことで、わたしはついにこの日、仕事を早退することになりました。