拝啓 マリコ様
米国の連邦最高裁が
”中絶は憲法で保障されている権利ではない” との
判決を出した。
世の中 この件、ちゃんと理解している人は
どれだけいるんだろうと思うほどの騒ぎぶりで
日本の自称有識者や芸能人を含む 多くが
”米国は中絶を違法とした” と
早とちりして SNS やデモで騒いでるんではないかと。。
正しくは”州ごとの判断に任せる、連邦はそれを支持する” と
言っただけ。
現実的な話をすると 50ある州のうち
これまでも中絶違法の判決が出て
これを機に例外なく完全禁止されるであろうと思われているのは
5州（サウスダコタ、オクラホマ、ミズーリ、アーカンサス、アラバマ）
それ以外は 中絶可能の期間が州ごとに
設定されていてその間は中絶できる。
日本は今現在 5ヶ月でしたね。
ほとんどの州が3ー6ヶ月の間ぐらいに
合法期間を設定されると考えられている。
そう 90％の州は規制付きの合法になる見通し。
まず、これが現実。
米国が 全面中絶中止になるかの様な報道ばかりだけれども
実際はほとんどの州で日本と同等またはそれより長い
猶予期間が設けられる見込み。
アメリカにいると 多様な米国が持つ議題について
私の意見を聞かれる事がある。
中絶問題も大きな話題の一つで
”マダム、あなたはどう思う？” と、聞かれた時は
”お腹の中のベビーが人権を得た瞬間から、中絶は殺人だと思う”
と、答えている。
実はこの私の回答は概ね不人気で
あまり相手が望んでるものではないらしい。
これを言うと、ピントがハズれてると言わんばかりの反応で
実際には ”中絶は子宮を所有する女性の権利だ” と、
この路線の議論がしたいらしい。
私はこの権利とか自由とかの話になると
途端に屁理屈になる。
自由や権利を語る時、
特にこの国の人は それに伴う義務について
軽んじている人が少なくないと、在米20年を大きく過ぎて思う。
権利は激しく、ドラマチックに主張するが
義務の遂行に関しては その不履行の理屈も
ものすごく自分に甘く、第三者を平気で巻き込む。
”私のカラダだから私が決める”みたいな
下手な広告コピーみたいなことを言って
だったら、初めから望まない妊娠をしない様に
あなたのカラダを労りなさいよ
と、なる。
（当然、犯罪、強制による望まない顛末は例外。それを禁止するのはおかしい）
そういう人々の多くは 彼女たちが
避妊の義務は果たさず、中絶の権利だけ主張している事を
認めようとしない。
”私のカラダだから私が決める”
だったら売春も一緒でしょ。自分のカラダを資本にして何が悪い
子を産むという 最大の崇高な奇跡を
”権利だの云々”で 落としているのは
本人たちだと気づいてるかな。
人間はそこまで崇高でも利口でもないから
私は社会主義国家は愚かな人類には向かないと思ってるし
ありあまる自由をすべて管理できるほど賢くないから
社会集団生活を営む上で
規制がないと人は生きていけないと思っている。
ではいつベビーの人権を認めるかについては様々な意見が論議されているが
生物学的には22週まではベビーの肺の成長が十分でないので
母の体内以外では生きる事ができない、とされており
言い換えればそれまでの期間は
ベビーは母体の付属物という考え方が一般的らしい
22週以降は体外に出ても
哺乳機で成長できる可能性もあることから
この辺りが胎児に人権が生まれる時期だと見る識者も多い
妊娠した事がわかっているのに 決断をずるずる引き延ばし
指までできた胎児をカラダから引き摺り出し殺す、
それが権利だと曰う。
こういう人は自由を捌ききれない人だと思う。
避妊する権利、初期に堕胎する権利、それ以上を望むのなら
売春、ドラッグ、飲酒に関しても
”私のカラダだから私が決める”
と、同等だと思うのは
私だけか？
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