最近、あまり触れていなかった新薬情報ですが、いくつか紹介します。

今回は、2月20日に発売された、新規高リン血症治療薬フォゼベルです。

 

(5mg錠)

 

高リン血症治療薬は、すでに何種類も販売されているので、違いがどうか気になります。

 

では、お世話になっている木元先生の「新薬情報オンライン」です。

フォゼベル(テナパノル)の作用機序【高リン血症】 - 新薬情報オンライン (passmed.co.jp)

 

フォゼベルは、本邦初のナトリウムイオン/プロトン交換輸送体3(NHE3)阻害薬

これまでの高リン血症治療薬は、リンの吸着薬のみでしたが、フォゼベルは新規の作用機序を持ちます。

 

「日経メディカル」から抜粋させていただきます。

Na+/H+交換輸送体を阻害する経口高リン血症薬:日経メディカル (nikkeibp.co.jp)

 

「NHE3はNa+と体液量のバランスの維持において中心的な役割を担っており、NHE3を阻害することで細胞膜におけるNa+とH+の交換輸送を阻害、腸管上皮細胞内のH+濃度上昇により細胞内のpHが低下し、腸管上皮細胞間隙でのリン透過性が低下する」

とのことですが、理解できましたか? イメージ図は「新薬情報オンライン」を参照してください。

 

これまでの高リン血症治療薬は、リンを吸着して吸収を阻害する、

フォゼベルは、リンを吸収するシステムを阻害する、ということで良いでしょう(苦笑)。

 

では、薬剤情報です。

 

 

○フォゼベル錠5mg/10mg/20mg/30mg

 

【効能・効果】

透析中の慢性腎臓病患者における高リン血症の改善

 

【効能又は効果に関連する注意】

本剤は血中リンの排泄を促進する薬剤ではないので、食事療法等によるリン摂取制限を考慮すること。

 

【用法・用量】

通常、成人には1回5mgを開始用量とし、1日2回、朝食及び夕食直前に経口投与する。以後、症状、血清リン濃度の程度により適宜増減するが、最高用量は1回30mgとする。

 

※これまでの高リン血症治療薬は、1~2規格しかなく、服用量によってはかなりの錠数を服用する必要がありました。また、一部のものは、噛んでから飲む必要があるなど、大変な部分もありました。フォゼベルは4規格あり、1回1錠で済むので、飲むのはかなり楽になると思われます。ただ、4規格あるため、薬局にとっては在庫の問題がありますね(これは仕方ないのですが…)。

 

【用法及び用量に関連する注意】(抜粋)

・増量を行う場合には、1回5、10、20、30mgの順に1段階ずつとし、1週間以上の間隔をあけて行うこと。

・血液透析中に排便を催すことが懸念される患者には、透析直前での投与を控え、朝夕以外の食直前に投与してもよい。

 

【重要な基本的注意】(抜粋)

下痢が高頻度に認められている。下痢に伴う口渇や手足のしびれ、強い倦怠感、血圧低下等があらわれた場合には、速やかに主治医に相談するよう患者に指導すること。また、下痢に伴うこれらの症状が認められた場合には、本剤の休薬又は投与の中止を検討し、脱水の是正等の適切な処置を行うこと。

 

※ちなみに米国では、便秘型の過敏性腸症候群(IBS-C)に対する治療薬として承認されているそうです。もちろん本邦では使用できません。

 

【特定の背景を有する患者に関する注意】(抜粋)

・2歳未満の小児には投与しないこと。下痢及び重度の脱水があらわれるおそれがある。動物実験(幼若ラット(離乳前))において下痢に関連する死亡が認められている。

・2歳以上の小児には投与しないことが望ましい。動物実験(幼若ラット(離乳後))では、成熟ラットに比べて、本剤による下痢に対する忍容性が低い可能性が報告されている。なお、20歳未満の患者を対象とした臨床試験は実施していない。

 

【併用注意】

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子

エナラプリル
[16.7.1 参照]

健康成人において、エナラプリル及びその活性代謝物の血中濃度の低下が報告されている。

健康成人において本剤とエナラプリル併用時に、エナラプリル及びその活性代謝物のCmax及びAUCが減少した。本剤がOATP2B1を阻害することにより、エナラプリルの吸収を低下させ、血中濃度が低下する可能性がある。

 

【取扱い上の注意】

開封後は、光と湿気を避けて保存すること。

 

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2021年8月に発売されました

「服薬指導のエッセンス改訂第4版」ですが

2023年8月に売り切れました

本当に、皆さんのおかげです。

ありがとうございます。

 

ただ今、改訂版の作成に取り組んでいます。

まだ具体的なことは公表できませんが、お待ちください。

 

なお、この度、初めて原稿を依頼され、

「新薬情報オフライン」の書籍作成に参加させていただきました。

今後もよろしくお願いします。

 

 

 

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