6月1日に慢性肝疾患患者における血小板減少症改善薬ドプテレットが発売されました。

ドプテレットは、血小板産生を促進するトロンボポエチン(TPO)受容体作動薬です。

 

※画像は10錠シート。15錠シートもあります。

 

今回のドプテレットは、慢性肝疾患患者に限られるのがポイントです。

 

(参考)

血小板減少症に新たな低分子TPO受容体作動薬:日経メディカル (nikkeibp.co.jp)

 

日経メディカルから抜粋させていただきます。

血小板減少症慢性肝疾患の患者に多く見られる合併症である。発現機序には門脈圧上昇に伴う脾腫(血小板貯留)、肝機能低下に伴うトロンボポエチン(TPO)産生低下(血小板産生の低下)、肝炎ウイルスによる骨髄抑制など複数の要因が関与しており、肝疾患の進行に伴って悪化する。通常、慢性肝疾患患者では診断および治療のために年1~3回の侵襲的処置を必要とする。このような処置は出血リスクを伴うことから、慢性肝疾患患者を管理する上で血小板減少症は重大な課題となっている」

 

慢性肝疾患に伴う血小板減少症の標準治療は、血小板輸血だそうです。ただ、血小板輸血には問題点も多いとのこと(日経メディカルの記事を参照)。そのため、血小板輸血に代わる治療の選択肢として、TPO受容体作動薬の使用が推奨されています。日本では、2015年よりTPO受容体作動薬としてルストロンボパグ(ムルプレタ)が、待機的な観血的手技を予定している慢性肝疾患患者における血小板減少症に対し、臨床使用されているとのこと。知りませんでした。

ムルプレタとの違いですが、ドプテレットはムルプレタと異なり、重度の肝機能障害(Child-Pugh分類C)のある患者にも投与可能であること、さらに投与期間が5日間(ムルプレタは7日間)と短いなどの特徴を有しているということです。

 

 

では、薬剤情報です。

 

○ドプテレット錠20mg(成分名:アバトロンボパグ)

 

【効能・効果】

待機的な観血的手技を予定している慢性肝疾患患者における血小板減少症の改善

 

【用法・用量】

通常、成人には、以下の用量を1日1回、5日間食後に経口投与する。
投与開始前の血小板数が40,000/μL以上50,000/μL未満:40mg
投与開始前の血小板数が40,000/μL未満:60mg

 

食事の影響を受けるので「食後」となっています

 

ちなみに、添付文書の記載はこちら

「健康成人に本剤40又は60mgを単回経口投与したとき、空腹時投与に対する食後投与のCmax及びAUC0-infの幾何平均値の比は、40mgでそれぞれ0.841及び0.922、60mgでそれぞれ0.958及び1.09であった」

 

正直、これだけだと、そこまで食事の影響がないように思います。

 

そこでインタビューフォームを調べたところ、以下の記載がありました。

「日本人及び白人の健康被験者を対象にした 018試験ではアバトロンボパグ単回投与の薬物動態及び薬力学的作用 を評価し、食事の影響を最終的に評価した。高脂肪食又は低脂肪食の摂取後にアバトロンボパグを投与したとき、 アバトロンボパグの吸収速度や吸収量に影響はなかったが、食事の種類にかかわらず、食後投与は空腹時投与と比較してアバトロンボパグの薬物動態パラメータの個体間及び個体内変動を最大50%低下させた。したがって、アバトロンボパグは食後投与が推奨される」

 

正直、私はあまり意味が分からないのですが、データをトータルでまとめると食事の影響がないように思われるが、中にはかなり影響を受けている例があったということでしょうか???

ひとまず、このように書かれているので、「食後」を守る必要がありそうです。

 

【用法・用量に関連する注意】

・本剤の投与は観血的手技の施行予定日の10~13日前を目安に開始すること。

・本剤を再投与した場合の有効性及び安全性は検討されていない。特に、血小板数が50,000/μL未満に低下していない患者では他の治療法を選択すること。

 

【重要な基本的注意】(抜粋)

・観血的手技の施行前には血小板数が十分に増加していることを確認すること。

・血小板数が正常範囲以下であっても血栓症が報告されているため、観察を十分に行い、血小板数にかかわらず血栓症の発現に注意すること。

・本剤の投与終了又は中止後に血小板数が本剤投与開始前の値に復帰するため、易出血性となる可能性を考慮して観察を十分に行い、必要に応じて適切な処置を行うこと。

 

【特定の背景を有する患者に関する注意】(抜粋)

・重度の肝機能障害(Child-Pugh分類C)のある患者

→投与可否を慎重に判断し、投与する場合は観察を十分に行うこと。

 

【重大な副作用】

・血栓症、血栓塞栓症

 

【薬剤交付時の注意】(抜粋)

・服用直前にブリスターシートから取り出すよう指導すること。

 

※添付文書には湿度の影響について記載がありませんでしたが、インタビューフォームに以下の記載がありました。

湿気の影響を受けることが示されているため設定した」→影響を受けるとのことです。

 

(参考)

【保険給付上の注意】(医療機関)

・本製剤の効能又は効果に関連する注意において、「開腹、開胸、開心、開頭又は臓器切除を伴う観血的手技の場合は、本剤の投与を避けること。」とされていることから、このような症例には使用しないこと。また、観血的手技の名称及び実施予定年月日を診療報酬明細書の摘要欄に記入すること。

 

※あくまでも「肝疾患の診断および治療のために年1~3回の侵襲的処置」の前ということですね。

 

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