最近、外用多汗症治療薬の発売が多いですね。それだけ困っている人も多いということでしょう。

6月1日に発売されたアポハイドローションは、「原発性手掌多汗症」の治療薬です。

 

 

これまでに発売されている外用多汗症治療薬には、エクロックゲルラピフォートワイプがあります。ただ、これらの適応症は「原発性腋窩多汗症」。「原発性手掌多汗症」治療薬としては、アポハイドが初めてとなります。

 

アポハイドの成分はオキシブチニン。抗コリン薬で、すでに内服薬としてポラキス(適応症:過活動膀胱)、テープ剤としてネオキシテープ(適応症:過活動膀胱)が販売されています。

 

(関連ページ)

アポハイドローション(オキシブチニン)の作用機序【手掌多汗症】 - 新薬情報オンライン (passmed.co.jp)

日本初、原発性手掌多汗症の治療薬が承認:日経メディカル (nikkeibp.co.jp)

 

 

では、薬剤情報です。

 

○アポハイドローション20%(成分名:オキシブチニン)

 

【効能・効果】

原発性手掌多汗症

 

【用法・用量】

1日1回、就寝前に適量を両手掌全体に塗布する。

 

【用法・用量に関連する注意】

1回の塗布量は、両手掌に対しポンプ5押し分を目安とすること。

 

【重要な基本的注意】

・抗コリン作用により、眼の調節障害(視力障害、霧視等)、めまい、眠気があらわれることがあるので、自動車の運転等、危険を伴う機械の操作に従事する際には注意するよう患者に十分に説明すること。

・発汗が促進される環境下では、本剤の発汗抑制作用により、体温が上昇するおそれがある。熱中症を疑う症状があらわれた場合には、適切な処置を行うよう患者に指導すること。

・抗コリン作用により、胃腸の平滑筋の収縮及び運動が抑制され、消化管運動が低下するおそれがある。消化器症状があらわれた場合は使用を中止し、医療機関を受診するよう患者に指導すること。

 

【特定の背景を有する患者に関する注意】

抗コリン薬に共通する事項ですので、割愛させていただきます。

 

・小児等→12歳未満の小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

 

【相互作用】

本剤は、主として肝の薬物代謝酵素CYP3A4により代謝される。

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
  • 抗コリン作用を有する薬剤
    • 三環系抗うつ剤
    • フェノチアジン系薬剤
    • モノアミン酸化酵素阻害剤

口内乾燥、便秘、排尿困難等があらわれるおそれがある。

抗コリン作用が増強されるおそれがある。

  • CYP3A4を阻害する薬剤
    • ケトコナゾール
    • イトラコナゾール等

口内乾燥、便秘、排尿困難等があらわれるおそれがある。

これらの薬剤はCYP3A4を強力に阻害し、併用によりオキシブチニンの血漿中濃度が上昇する可能性がある。

 

【副作用】

主に抗コリン作用にともなうものです。割愛します。

 

【適用上の注意】

・本剤を就寝前に塗布した後は、本剤が意図せず洗い流されないよう、手の濡れる行為は避けること。

夜中にトイレに行ったらどうなるのだろう? 塗布後、何時間くらい洗わないほうが良いのか、メーカーに確認してみます。

(R5.6.9追記)

メーカーに確認したところ、塗布後、経時的に手洗いしたときの効果の比較データはないとのこと。

ただ、塗布後2時間のAUCと、8時間のAUCに大差がないというデータがあります(数値は教えてもらいましたが、内部データのため非公開)。これを考慮すると、塗布後2時間経てば、手洗いしても効果に大きな影響はないと思われます。ただ、メーカーが承認した訳ではありません。このデータをどのように使うかは、薬剤師次第です。

 

・起床後、手を洗うまでの間は、塗布部位以外(眼等)に触れないようにすること。万一、塗布時に眼に入った場合は、直ちに水で洗い流すこと。

寝ている間に無意識に眼に触れることがありそうです。注意が必要ですが、防げますか?(苦笑)。

→まぁ、寝ている間に眼に触れたりするかは、癖のようなものがあるかも知れません。

いろいろ考えましたが、気密性の高い手袋は不可(下に記載)だけど、気密性の低い手袋はOK。それなら、綿の手袋なら大丈夫かも知れません。それか、アイマスクするのもいいかも。

 

・本剤塗布後に気密性の高い手袋等で手掌を覆って密封しないこと。

 

【取り扱い上の注意】

本剤は可燃性であるため、保存及び使用の際には火気を避けること。
(第二石油類 危険等級III 非水溶性 火気厳禁)

 

【参考】

メーカー作成の指導箋です。

 

最後に、ツイッターで知った情報です。

アポハイドの薬価単位はg(545.8円/g)なのですが、容器や添付文書にはmL(1本4.5mL)しか記載されていません。基本的には処方箋には薬価単位で記載されるはずですが、g数で書かれると混乱することが間違いないです。

ちなみに、1本のg数ですが、ここで確認できました(1本約4.32g)。

news_release_230524.pdf (hisamitsu.co.jp)

 

 

薬の値段を決める数なのに「約」って何だよ、という気がします(苦笑)。

 

(R5.9.17追記)

添付文書を確認したところ、包装単位のところに4.32gとしれっと書かれていました(苦笑)。

 

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「服薬指導のエッセンス改訂第4版」が

2021年8月26日に発売されました。

自費出版のため、広告媒体がありません。

販売開始後1年以上経ちますが、まだ在庫があるようです😊

もし、よろしければ、周りの人にお勧め下さい。

今後もよろしくお願い致します。

 

日頃の小ネタはツイッターを参照して下さい。

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