またしても、ブログにUPする前に処方が来てしまいまして。私が担当した訳ではなかったですけどね。
遅れましたが、6月11日、新規非定型抗精神病薬のラツーダが発売されました。
(Clinical Cloud)
https://diweb.medipal.jp/diweb/new_release/detail/1588292748
(日経DI)
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/series/drug/update/202007/566332.html
(新薬情報オンライン)
https://medicalcampus.jp/di/archives/669
気になるのは作用機序ですね。日経DIを参照してみましょう。
「ラツーダは、リスペリドンと同じセロトニン・ドパミン拮抗薬に分類される薬剤であるが、既存の薬剤と異なりドパミンD2受容体、セロトニン5-HT2A受容体および5-HT7受容体に対してはアンタゴニスト、5-HT1A受容体に対してはパーシャルアゴニストとして作用する。一方、ヒスタミンH1受容体およびムスカリンM1/M2受容体に対してはほとんど親和性を示さない」
んー、さっぱり分からない(苦笑)。というか、ピンと来ません。
非定型抗精神病薬の分類をサクっとおさらいしてみます。
・SDA(セロトニン・ドパミン受容体遮断):リスパダール、ルーラン、ロナセン
・MARTA(セロトニン・ドパミン受容体遮断+α受容体/H1受容体/M受容体遮断):ジプレキサ、セロクエル
・DSS(ドパミン受容体の部分作動薬=パーシャルアゴニスト):エビリファイ
・SDAM(セロトニン・ドパミン受容体の遮断+部分作動薬=パーシャルアゴニスト):レキサルティ
パーシャルアゴニストとは「部分作動」のことです。私が解説するより、以下のリンクを参照して下さい。
https://kusuri-jouhou.com/chemistry/partial2.html
すごく簡単に書くと、「多い時は少し減らす、少ない時は少し増やす」というイメージですかね。
さて、今回のラツーダは、SDAに分類されます。
・ドパミンD2受容体アンタゴニスト作用(ドパミン↓)→陽性症状改善
・セロトニン5-HT2A受容体アンタゴニスト作用(ドパミン↑)→陰性症状改善
・セロトニン5-HT7受容体のアンタゴニスト作用、5-HT1A受容体部分アゴニスト作用→うつ症状改善
ここまで来ても微妙な印象ですが、結局のところ、精神神経薬は使ってみないと分からないのです。
効く人もいるだろうし、効かない人もいます。これからの知見を待ちましょう。
では、薬剤情報です。
○ラツーダ錠20mg、40mg、60mg、80mg
【効能・効果】
統合失調症、 双極性障害におけるうつ症状の改善
【用法・用量】
(統合失調症)
通常、成人には40mgを1日1回食後経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日量は80mgを超えないこと。
(双極性障害におけるうつ症状の改善)
通常、成人には20~60mgを1日1回食後経口投与する。なお、開始用量は20mg、増量幅は1日量として20mgとし、年齢、症状により適宜増減するが、1日量は60mgを超えないこと。
※食事の影響を受けるので「食後投与」となっています。
【併用禁忌】
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
CYP3A4を強く阻害する薬剤 アゾール系抗真菌剤 イトラコナゾール(イトリゾール) ボリコナゾール(ブイフェンド) ミコナゾール(経口剤、口腔用剤、注射剤)(フロリード、オラビ) フルコナゾール(ジフルカン) ホスフルコナゾール(プロジフ) ポサコナゾール(ノクサフィル) HIVプロテアーゼ阻害剤 リトナビル(ノービア) ロピナビル・リトナビル配合剤(カレトラ) ネルフィナビル(ビラセプト) ダルナビル(プリジスタ) アタザナビル(レイアタッツ) ホスアンプレナビル(レクシヴァ) コビシスタットを含む製剤(スタリビルド、ゲンボイヤ、プレジコビックス、シムツーザ) クラリスロマイシン(クラリシッド) |
本剤の血中濃度が上昇し、作用が増強されるおそれがある。 | 本剤の代謝が阻害され血中濃度が上昇する。 |
CYP3A4を強く誘導する薬剤 リファンピシン(リファジン) フェニトイン(アレビアチン) |
本剤の血中濃度が低下し、作用が減弱されるおそれがある。 | 本剤の代謝が促進され血中濃度が低下する。 |
アドレナリン (アナフィラキシーの救急治療に使用する場合を除く) (ボスミン) |
アドレナリンの作用を逆転させ、重篤な血圧降下を起こすことがある。 | アドレナリンはアドレナリン作動性α、β-受容体の刺激剤であり、本剤のα-受容体遮断作用により、β-受容体刺激作用が優位となり、血圧降下作用が増強される。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
中枢神経抑制剤 | 相互に中枢神経抑制作用を増強するおそれがあるので、減量するなど慎重に投与すること。 | 本剤及びこれらの薬剤の中枢神経抑制作用による。 |
アルコール | 相互に中枢神経抑制作用を増強するおそれがある。 | アルコールは中枢神経抑制作用を有する。 |
ドパミン作動薬 レボドパ製剤 ブロモクリプチン等 |
相互に作用が減弱するおそれがある。 | 本剤はドパミン受容体遮断作用を有していることから、ドパミン作動性神経において、作用が拮抗することによる。 |
CYP3A4を阻害する薬剤 ジルチアゼム エリスロマイシン ベラパミル等 [16.7.1参照] |
本剤の血中濃度が上昇し、作用が増強されるおそれがあるので、観察を十分に行い、患者の状態に応じて本剤の用量を通常の半量に減じるなど慎重に投与すること。 | 本剤の代謝が阻害され血中濃度が上昇する。ジルチアゼム併用時の本剤のCmax及びAUCは、ジルチアゼム非併用時の2倍程度に上昇した。 |
グレープフルーツ含有食品 | 本剤の血中濃度が上昇し、作用が増強されるおそれがあるので、本剤の服用中は摂取しないように注意すること。 | CYP3A4阻害作用により、本剤の代謝が阻害され血中濃度が上昇する。 |
CYP3A4を誘導する薬剤 カルバマゼピン バルビツール酸誘導体 ボセンタン エファビレンツ エトラビリン モダフィニル セント・ジョーンズ・ワート含有食品等 |
本剤の血中濃度が低下し、作用が減弱されるおそれがあるので、観察を十分に行うこと。 | 本剤の代謝が促進され血中濃度が低下する可能性がある。 |
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