つい最近、私が勤める薬局のそばにある総合病院で、オキシコンチンTR錠が採用されました。

オキシコンチンTR錠については、かつてここでも述べました。

https://ameblo.jp/naoz3k/entry-12335284617.html

 

オキシコンチンTR錠は、乱用防止のために、製剤上の工夫がなされています。

・ハンマーなどで叩いても粉砕不可能

・水に溶かしても崩壊せずにゲル化し、溶解が困難

ちなみに、従来品のようなゴーストタブレットは見られません。

 

今回、近隣病院で採用されるということで、添付文書をもう一度見直しました。

すると、こんな文面を発見。

 

(用法用量に関連する使用上の注意)

6.食事の影響により本剤のCmax及びAUCが上昇することから、食後に投与する場合には、患者の状態を慎重に観察し、副作用発現に十分注意すること。また、食後又は空腹時のいずれか一定の条件下で投与すること。

 

(薬物動態)

    表3 40mg錠 空腹時単回経口投与時の薬物動態パラメータ

製剤・用量   n   Cmax(ng/mL)   Tmax(hr)   AUC0-last(ng・hr/mL)   T1/2(hr)  
オキシコンチン錠40mg   28   35.3±7.57   2.48±1.15   435.5±89.34   5.52±2.26  
オキシコンチンTR錠40mg   28   40.2±10.8   3.46±1.06   403.5±102.1   4.15±0.422  

(測定法:LC/MS/MS)
(mean±S.D.)                  

    表4 40mg錠 食後(高脂肪食)単回経口投与時の薬物動態パラメータ

製剤・用量   n   Cmax(ng/mL)   Tmax(hr)   AUC0-last(ng・hr/mL)   T1/2(hr)  
オキシコンチン錠40mg   31   45.8±7.12   4.11±1.64   512.5±118.0   4.91±1.05  
オキシコンチンTR錠40mg   31   62.9±10.7   4.60±1.38   518.5±130.9   4.24±0.447  

(測定法:LC/MS/MS)
(mean±S.D.)                  

 

 

 

・健康成人16例においてオキシコンチンTR錠10mgを高脂肪食摂取後に投与したとき、空腹時に比較してオキシコドンのCmaxが73%、AUCが38%増加した。

・健康成人においてオキシコンチンTR錠40mgを高脂肪食摂取後(34例)に投与したとき、空腹時(28例)に比較してオキシコドンのCmaxが60%、AUCが28%増加した。

 

まず食事の影響ですが、確かに表3と表4で差が出ていますね(高脂肪食で増)。ただ、冷静に考えると、「オキシコンチンを服用する患者さんが、高脂肪食を摂れるかな?」とも思います(もちろん、摂れる患者さんもいるでしょうが…)。ちなみに、低脂肪食のデータは掲載されていません。

それに、同一個人の中でも体調により薬物動態に変化があることを考えれば、さほど気にすることはないのかもしれません。通常の「食後」で問題ないと思います。もちろん、「空腹時」の処方の場合は、医師が考慮していることが分かりますので、「空腹時」を守る必要があります。

 

次に錠とTR錠の比較ですが、CmaxはTR錠の方がやや高くなっていますね。ただ、これによる影響がどれくらいあるのか分かりません。私個人の考えですが、切り替え時に患者さんをビビらせるような服薬指導はしたくないので、触れることはないと思います。もちろん、服用後の体調の変化の聞き取りは必須ですけどね。

 

ちなみに、日経DIでも記事がありました(閲覧には登録が必要)。

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/di/column/kokubun/201801/554440.html

私がわざわざここで書くまでもありませんでした(苦笑)。

 

それにしても、TR錠が発売された今、従来品はもう処方されることはないでしょう。

その従来品の行方は…不良在庫決定です。麻薬なので返品も不可能。

廃棄するにしても、手続きが大変です。

ちなみに従来品の薬価は、10mg=261.3円、20mg=486.1円、40mg=891.4円。けして安くはありません。

なのに、全く価値がなくなるなんて…理不尽ですよねぇ。

こういう時の保証というシステムができないものでしょうか?

私の薬局の在庫数まで今は分かりませんが、少ないことを望みます。

 


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