通常通りの5連勤。金曜日は雨だったのでびしょ濡れになりながらだったけれど、とりあえず無事に終えられた。
昨日は恒例の男子会だったので一応目覚ましをかけていたけれど、6時まで眠れるだけでずいぶん身体も楽になるものだ。3時頃に一度目が覚めてしまうのは、身体のリズムなので仕方ないけれど、仕事の日に比べたら睡眠の質は段違いだ。
そして今日は目覚ましなしでゆっくり眠って、シネマネコさん12:05上映回を鑑賞しに行った。
いつものB-5の座席で癒される時間だ。
東京カウボーイ
農園が描かれた壁画の前に立つヒデキ。
そこはチョコレート工場だ。
案内されながら工場を見学して歩くヒデキは、パソコンに入力しながらで、チョコレートを勧められても一切受け付けない。
それはこの“MATSUYAMAチョコレート”を企業買収するための視察。

M&Aのプレゼンでは、幼少期にスイカ農園を営んでいた父親との写真を見せ、それがスーパーに貼られていたことをアピールした。
「私たちはみなさんのブランドを守ります」
感銘を受けた社長は、買収契約に応じた。
その社長が会社を去る際、多くの社員が涙を流して見送った。
最後まで、自社のチョコレートに愛情を示す社長に「本当にチョコレート作りが好きなんですね」とヒデキ。
「あなたもでしょ」

しかしヒデキは買収後、原料を変えるなどして15%のコストダウンを成立させていた。
“MATSUYAMAチョコレート”のロゴからは“手作り”という言葉が削除された。
ヒデキの会社にとっては、利益の増大につながる案件となり、社長も大喜びだった。
ヒデキの報告が終わると、副社長のケイコがモンタナ州の牧場に話題を変えた。
畜産業はコストもかかり、今後も利益が見込めないため売却したいというものだ。
その話題にヒデキは予てから用意していた計画のプレゼンを始める。
それはモンタナ州の牧場で“和牛”を育て、牧場を再建させるというもの。
和牛畜産業の専門家ワダとも交渉が成立していて、この計画によって利益を生み出すと豪語するヒデキ。
「大きくでたね」
恋人でもあるケイコとの約束さえ忘れてワダとの宴席を用意してしまっていたヒデキに、ケイコは不満を口にした。
その日、二人の新居を下見に行ったヒデキとケイコ。
初台の一軒家の物件で、庭には桜の苗木があり、ケイコは気に入っていたが、窓ガラス越しにケイコを見るヒデキは冷ややかだった。
ヒデキはビジネスのことで頭がいっぱいだったのだ。
夜。ワダを囲んでの宴席。
ケイコは挨拶を行うが、ワダが今回の案件を引き受けた理由として「畜産業はいつも赤字で困っていたところにきた話だから」と言う言葉に愕然とした。
ワダの卸先である焼肉屋に行こうという話になり社員たちは向かうが、ケイコはヒデキを残させた。
「ふつうの社員だったら、解雇だよ」
和牛の計画の浅さや、報告内容との違いを指摘したものだった。
ヒデキが焼肉屋に誘ってもケイコは断り、帰っていってしまうのだった。

翌日。
成田空港へ向かう車の中で、二日酔いのワダに比べて平静なヒデキ。
「あんた、下戸やな?」
そして飛行機は飛び立ち、モンタナ州の小さな飛行場へ二人は降り立った。
ヒデキの荷物は積み忘れのため別の空港へ行ってしまうというアクシデント。
荷物は到着次第ホテルに届けられるということで、ヒデキはレンタカーの手続きを行った。
ヒデキは田舎道を走るなら4WDをと勧められるのも頑なに断って乗用車のFitを借りた。

ホテルに着くと牧場主のペグらから飲み会への誘いの連絡が入り、ヒデキは断ろうとするがワダが強引に行くと言い出すのだった。
「飲み会の誘いっていうのは酒を飲むってだけじゃない。お互いをより深く知り合おうっていうことなんだ」

ワダはジョークも交えながらペグらと会話を進めていくが、ロデオマシーンに挑戦して落下し、骨折して入院となってしまうのだった。
翌日。ワダ抜きでペグたちに向けてプレゼンを行わなければいけなくなったヒデキ。
日本で行ってきたようにプレゼンを進めるが、いままでキーフレーズとして使ってきた英文が間違っており、そのうえ“和牛”を育てるという計画に誰もがそっぽを向いてしまうのだった。
そして取り残されたヒデキの相手をするように、ペグはハビエルを指名した。
ハビエルが牧場を案内するためにヒデキに馬に乗るように言うが、ヒデキはうまく乗れず泥だらけになってしまう。
仕方なくスーツを脱いでハビエルに渡された服に着替えて改めて馬で牧場を見て回るヒデキ。
途中でハビエルがコーヒーを飲もうと休憩する際も「僕の時間を無駄にしないで欲しい」と苛立つヒデキ。
翌日もハビエルと牧場内を回るヒデキだったが、ネットで和牛を売っているという話をハビエルとはできるようになってきていた。

ケイコには順調だという報告をしていたが、ヒデキの計画はいきなり暗礁に乗り上げていた。
そんなヒデキのもとへ電話で連絡が入る。和牛を売るので見に来ないかというものだった。
しかしそこには和牛はいなかった。騙されたのだ。
ふと見ると“Hot Spring”の看板。
ヒデキは川辺に温泉があるのを見つけた。

ペグとまともに話もできない状況を打開するためヒデキはペグのオフィスに乗り込んでいくが、ヒデキの出した試算を甘いと笑われてしまう。
「いままで牛の買取先は10社あったのに、おたくらに買収されてからは2社になった」

買い手の言い値でしか売れない状況に陥っているのだ。
和牛を育てるためには餌となるトウモロコシの栽培も必要になるが、牧場の土地では栽培できないし、そもそも和牛だからといって急に高値で売れることもないのだ。
「ここは私の祖父が一代で築き上げた牧場だ。そこへスーツの奴らがやってきて、いろいろやるが、みんな匙をなげるのさ」
それでもペグは自分のやり方で赤字にならないように運営してきたのだ。

そんなある日、ハビエルの行き先が気になったヒデキは車で後を追ったが途中でパンクしてしまう。
仕方なく歩いて行き先を突き止めたヒデキが見たのは、牧場の敷地の片隅で何かを育てるハビエルの姿だった。
それは“キヌア”だった。
誰も近づかないこの場所の土は植物を栽培できる土壌だったのだ。
ハビエルはペグには内緒で勝手にキヌアを栽培して、それを販売して副収入を得ていたのだ。
「トウモロコシも育てられるだろうか?」
ヒデキは考えたが、ハビエルからこの場所のことは厳重に口止めされてしまう。
「解雇されたら困るんだ」
秘密にする約束をしたヒデキをホテルに送る前に、姪の誕生日会へ立ち寄ったハビエル。
そこでヒデキは“バタンガ”を飲むように促され、美味しく飲んでしまう。
それはテキーラだ。
酔ったヒデキは楽しい時間を過ごしていくが、プレゼント代わりに置いた“MATSUYAMAチョコレート”を少年がかじって吐き出してるのを目撃してしまう。
そんな宴も終盤。庭に植えられた木の横でハビエルの姪の父親がスピーチをしているのを聞いていたヒデキはいつの間にか涙をにじませていた。
「どうしたんだ、ボス?」
「自分でもわからないんだ」
その夜、ハビエルが車でヒデキをホテルに送ったが、その車中でヒデキとハビエルは語り合っていた。
ハビエルは、和牛の計画はそんなに悪くはないと言う。
「どうすればいいんだ?」
「彼らと同じようにすれば、そのうち信頼される。信頼されれば話も聞いてくれるようになるさ」
その日、ホテルにヒデキのスーツケースが届いたが、ヒデキはその中に入っていたYシャツを見て、決心するのだった。

翌日。ヒデキは洋服店を訪れて“カウボーイ”スタイルになっていた。
そしてハビエルに縄の投げ方や馬での誘導の仕方などを教わりながら、牧場の人々にビールを馳走したりして、徐々に打ち解けていくのだった。
そんなヒデキを見てペグは「今度はカウボーイごっこかい」と笑っていたが、やがて800頭の牛の大移動が迫り、ヒデキが付いて行くと言い出したのには呆れかえるのだった。
しかしヒデキは牛の大移動を見事に手伝った。
ヒデキはついにペグたちから信頼されたのだ。
キャンプで過ごす夜には、プライベートなことも話していた。
「ヒデキはトーキョーに恋人がいるんだ」
ハビエルがそう言ったため、ペグらが続けて質問してきた。
「何年付き合ってるんだい?」
「7年。実は婚約してるんだ、5年前に」
「5年?ケイコは辛抱強いんだね」
ケイコは上司で、キャリアウーマンだから忙しいのだと言うヒデキにペグが問いかけた。
「ケイコがそう言ったのかい?話し合ったことはあるのかい?」
黙り込んでしまうヒデキ。
その頃ケイコは、突然帰国予定をキャンセルし、連絡の途絶えたヒデキに会社の方針をメッセージとして残していた。
それはモンタナ州の牧場を土地再開発業者へ売却するというものだった。

ホテルに戻ったヒデキはフロントの女性に“MATSUYAMAチョコレート”を渡して正直な感想を聞かせて欲しいと乞う。
「ロウを食べているみたい。チョコレート風味のクレヨンみたい」
それを聞いたヒデキは自分のしてきたことを後悔した。
「より良いものを作っていると思い込んでただけだったんだ」

翌日、ワダの病室を訪れたヒデキの姿に驚くワダ。
「あんた誰だ」
ワダが眠っていたためにすれ違っていた間に、ヒデキはスーツを脱ぎカウボーイになっていた。
そしてヒデキはワダに現状を相談するが、ワダは「それしかないなら仕方ないんちゃうか」と言う。
「ああ、俺が金持ちやったらこんな牧場俺が買うたるのになぁ」
その言葉にハッとするヒデキは、興奮して走り去っていく。
「みんなと“酒を飲み”に行かないと!」
その夜。
バーに集まったペグたちにハビエルとともにバタンガを振舞うヒデキ。
「今度は何を企んでるんだい?」
ペグの問いかけに「僕とハビエルとあなたで、牧場を買いましょう」と提案するヒデキ。
「土地開発業者に売られるんだね・・・」
「この牧場を守りたいんだ」
ペグはついにヒデキの言葉を聞き入れた。
それはヒデキの会社から牧場を買い取るという計画。
そしてそこにはハビエルの育てるキヌアも計画に含まれていた。
仲間と認められるためにロデオマシーンに乗るヒデキ。
「ヒーハー!」
そこへやってきたのはケイコだった。

「お酒飲むんだね」
ケイコはヒデキに解雇を伝えるためにやってきたという。
それでもこの牧場にこだわるヒデキ。
「明日、計画を聞いて欲しい」
その夜、ホテルの別々の部屋に泊まるというケイコにヒデキは謝罪した。
「なにについて謝ってるの?」
「7年、君がなにを望んでいるのかを聞かなかったこと」
涙ぐむケイコは部屋に入ってしまうのだった。
翌朝、ヒデキはケイコに馬で牧場を見せてまわった。
そしてキヌア畑も。
「畜産と農園のいいとこ取りができるんだ」
ペグの牧場、ハビエルのキヌア農園。
「でも彼らにはそれを経済的に経営していく人間が必要で、ちょうど仕事を探している人物がいたんだよ」
「ああ、彼ね。大きなことばっかり言って大きく失敗したりするけどね」
「だから僕たちに牧場を売って欲しい」
そしてヒデキはケイコを、もう一箇所連れて行きたいと言った。
そこは川辺の温泉。
温泉につかりながら、改めてケイコに謝罪するヒデキ。
「庭の桜が育つのを見ることができるって素晴らしいって思う。だから、そこに一緒にいさせて欲しい」
ヒデキのプロポーズだった。
ケイコは涙を溢れさせながら、ヒデキにキスをする。

すっかりカウボーイになったヒデキは、広々とした牧場の景色を見つめていた。

主人公が日本人であるということで、アメリカ制作の映画という感覚なく観れる作品で、実に日本的な感覚に溢れた作品だ。
“数字”を追い求めてきた商社のサラリーマンが、牧歌的な環境の中で、自分が見失っていたものに気づいていく物語で、複雑な構成でもなく大きな事件も起きない。
ストレートな王道で展開していくので、序盤で結末まで想像できるわかりやすい作品だといえるけれど、それこそが映画にとって重要なことだと言えることを改めて教えられる。
印象的なシーンは、ホテルのフロントでチョコレートの感想を聞いたシーン。
“数字”を追い求めた結果、悪いものを作ってしまっていたということにヒデキが気づかされるシーンだ。

その他にも、ハビエルの姪の誕生日のパーティーで、スペイン語のようなスピーチを聴きながら涙を溢れさせるヒデキも印象的だ。
ヒデキはここで初めてケイコが桜の苗木のある家に惹かれていた理由に気づくのだ。
それ自体がなんなのかはまだヒデキにはわからないながら、ここからスーツを脱いでペグたちに歩み寄っていくようになるという重要なシーンだ。

日本が経済大国でなくなり、むしろ衰退国になったことは、もはや否定しようのない事実だ。それでも未だに“数字”を追い求めるだけの企業人が多くいるのも事実だ。
そのうえ“ジャパン・クオリティ”という、世界的には悪口の一つでもあるこの言葉に振り回され、経済大国であったという過去の栄光にすがりつき、仕事とはなにかを見失いつつあるのが現在の日本だろう。
ヒデキが赴いたモンタナ州の牧場では、みんなが地に足のついた、身の丈に合った生活をしている。決して裕福ではないが、楽しく過ごしているのだ。
仕事はあくまでも生活の一部に過ぎない。
仕事のことばかり考え、仕事ばかりしている人間は、人として信頼されないのだ。
ケイコはキャリアウーマンで副社長にまでのぼりつめたような、一見仕事人間のような立ち位置でありながら、実はまったくそうではなく、ヒデキとの安息の日々に想いを馳せている。そういった人間らしさは、ヒデキの帰国予定に合わせて予定していた温泉宿のキャンセルを行うシーンの切ない表情にあらわれている。
がむしゃらに、仕事ばかりの日々を過ごす時期も必要だとは思うけれど、それだけになったら人生面白くない。仕事でもなんでも、好きなことをやったほうがいい。

利益を追求することが仕事なのではなく、日常を穏やかに過ごすためのものが仕事なのだ。

昨日は毎月恒例の男子会のため、新宿へ。
なぜか僕は新宿での待ち合わせ場所で、この東南口を選ぶことが多いのだけれど、たいていの相手は迷う(笑)
ここは喫煙所もあるし、みずほ銀行のATMもあるし、こちら側のほうが行きたいお店が集まっているので、僕には馴染みの場所ではあるけれど、新宿駅での待ち合わせ場所として利用している人は少ないのかな?

そして今回の男子会は“鰻”。僕としては昨年8月の宮川さん以来の鰻だ。
そしてこの【赤坂ふきぬき】は、20年前に赤坂の本店で食べて以来。
当時制作に携わっていたドラマがTBSのものだったのと編集室も赤坂だったので、赤坂の多くの店に思い出があったりするけれど、赤坂のお店の大半は土日休みだ。
この新宿タカシマヤタイムズスクエア店はもちろん初めてだけれど、“ひつまぶし”を売りにしているようなので、乗っかることにした(笑)

ここでもやっぱり食べたい“白焼き”。日本酒を呑みながらの白焼きは贅沢の極み。
鰻は白焼きで食べるが最高に旨いと思うようになったのは、20年前の赤坂ふきぬきさんと、関テレのドラマ制作の際に局Pに連れて行ってもらった六本木の鰻のお店のお陰だと思う。

そしてやってきた“ひつまぶし”。
【中入り・菊・松・竹】とある中で、僕は“松”を選択。
ひつまぶしは、あつた蓬莱軒本店以外で食べたことがないので、この食べ方自体が20年ぶり(笑)
当然ながら蓬莱軒のものとは違う薬味と出汁。それでもやっぱり旨い。
男子会のメンバーも感動していて、会話も弾む。

一人、食後に日本酒を頼むという子がいたので、乗っかって僕もおかわりしつつ、ダメ押しで肝串を注文。
鰻と肝吸いはワンセットだという認識だった僕は、若い彼らの中に初肝吸いという子がいたりしたのに驚いた。
こんな楽しく過ごす男子会も来月で丸一年になる。
昨年7月に焼肉を食べに行ったことがきっかけで、第一回目は男ばかりで食事をすることに慣れていなかった僕が“チーママ”を誘っていったので女子が一人参加していたけれど(笑)
来月は焼肉予定が早々に決まっている。

そして前回の男子会と同じく、ダーツでもしようという流れで同じ店へ。
ダーツが埋まっていたので卓球をやってみたけれど、予想以上に面白くなってしまい、結局3時間も熱中してプレイしてしまった(笑)
今朝の多摩川。
今日からしばらく雨予報の日が続く。
ジメジメした空気が、青梅らしさを肌で感じさせてくれる。
僕の生活はこのままいつまで楽しみのない日々が続くのだろうか。
最近だと月に一度の男子会くらいしか予定がない(笑)
そのせいか、行きたいと思うような場所も浮かばなくなってきた。
欲望がなくなると、気持ちは楽になるけれど、生きている楽しみがなくなるものだ。
息をしているだけの存在。それが今の僕かもしれない。
誰かの役に立つわけでもなく、誰かに愛されているわけでもなく、いてもいなくても同じような存在で、誰かを愛することももうできない。
もちろん、娘や息子への愛情はあるけれど、それさえ何もできないままだ。
まぁ、80億も人間が溢れかえっているのだから、こんな人間もいるだろう。
せめて地球のために僕ができることは死んでしまうことくらいだ。
増えすぎた人口のせいで、人の生命が尊かった時代は終わったのだと思うけれど、未だに僕以外の人の生命は尊いと思ってしまう。

とりあえずこんな僕にも明日という日はやってきてしまうので、それをやり過ごすことで精一杯だ。

償うことさえできずに、ただ傷みを抱えていく。
それは日に日に増えていくばかり。それが罰というものなのだろう。