売れたような売れなかったような、とにかくあまり納得のいかない3連勤を終えて、なぜか土曜日なのに休みという単休の変則シフト。
遅番もあって閉店作業でベンチ収納などで走ったせいか、若干筋肉痛だ。
とにかく来週に迫った楽しみなイベントだけを楽しみにやり過ごす日々。
そんな中、派遣会社の社長さんが売場に来て有給消化について話してくれた。
いまの派遣会社の所属になってからは、一度も使ったことのない有給休暇を、少しでも消化するために、シフト休の一部は有給扱いになる。
それでももちろん消化しきれないので、すでにシフトは決まっているけれど、どこかで有給を使ってしまおうと算段している。
どうせなら今月、5連勤なしにしてしまうのもありかな(笑)
なにしろ、休みがないと転職の準備がままならない。健康診断なんかも受けないといけないし。

幕末青春グラフィティ Ronin 坂本竜馬
スクリーンに映写された外国の婦人が徐々に服を脱いでいく。
その映像を見つめる竜馬は、手回しの映写機の横で「フォトグラフィーが動いちょる」と感動していた。
竜馬は映写技師に替わって映写機を回しながら「こがいなもん作ったら、儲かるぜよ」と呟いていた。

欧米列強が植民地を広げようとしていたその頃の“ジャパン”はショーグンが支配し、若者たちは奴隷のように従っていたが、一部の反抗的な若者たちは反乱を企て、自分たちを“シシ”と呼んだ。
若者たちはこの時代を“幕末”と呼んだ。

慶応二年、土佐。
農作業をしている人々のもとへ、幕府の役人が馬で駆けつけてきた。
「徳川将軍から、薩摩、長州、土佐、勤王の志士を皆殺しにせよとの御触れが出たのじゃ!」
「わしらは虫けらじゃないぜよ!黙って殺されやせんぞ!」
「待っとうせ!いつまでも徳川の世は続きはせんぞ!新しい世が来るんじゃ!」
若者たちは抵抗するが、一人また一人と斬り殺されていった。
そんな夜半。
海辺を歩く若者たちは、脱藩して長州勢に加わろうとしていた。
中には絶望し「なんでわしら、こがいな国に生まれたんじゃ」と崩れ落ちる者もいたが、全員で励ましあった。
「長崎には、脱藩した竜馬がおる」
竜馬に合流しようと考えた土佐の若者たちだったが、長崎で竜馬が何をしているのかは知らなかった。
「あいつがおると、妙に楽しゅうなったの」
そして歩き出した若者たちに幕府の追っ手が迫り、それぞれが斬り殺されていく。
「おまんと一緒に、脱藩すれば良かったかの・・・竜馬!」
それがその若者の最後の言葉だった。

慶応二年、長崎。
竜馬は沢村とともにグラバー邸に来ていた。
そこには西洋の珍しいものが並んでおり、人の目を盗んではいろいろな品を懐に入れていく竜馬だったが、通りがかった西洋婦人を誤魔化すために“ニュースペーパー”を購入した。
そんな中、ガトリング・ガンの試し撃ちが始まった。
ガトリング・ガンは、いくつもの銃身を備えており、手回しすると乱射される。
その試し撃ちを行ったのは、肥後藩の大名細川氏だった。

その長崎の街中では、馬車に乗ったイギリス人が“黄色いサルの国”日本を植民地にしても役に立たないと話していた。
ただもう一人の男は“サムライ”という存在は興味深く、罪を犯しても刑務所がないと語った。許されるまで自宅にこもることや、死刑の場合には自殺するという文化。
「サルが自殺?悪いと思ってか?」
イギリス人には理解できないことで、ただ笑うのみだった。
その横を通り過ぎていった竜馬たちは、幕府から手配されている桂小五郎と伊藤俊輔の人相書きを見ていた。
伊藤俊輔は、顔の真ん中に“ちょん”がつけられただけで人相書きになっていない。
「新人じゃけなまだ、志士として」
沢村は、自分も人相書きが立つような活躍を望んでいたが、通りがかった池は、長州人が長崎に現れたことで、世の中が動くと読んでいた。
「こりゃ、儲かるぜよ」
竜馬はほくそ笑むのだった。
そしてお竜が働くカフェを訪れた竜馬は、お竜から土佐の乙女姉さんから届いた手紙を渡された。その手紙を読んだ竜馬は肩を落としていた。
「土佐の乙女姉さんが怒っちょる。勤王の志士になるっちゅうて土佐を脱藩して、長崎で商人をやっとると」
竜馬はお竜に続けて語った。
「わしゃどっかおかしいんかの。金を貯めて、黒船を買うて、みんなでアメリカ国へ行く。そがいなことしか頭に浮かんでこんのじゃ」
「おかしいことあらへん。あんたは、夢見るためにこの世に生まれてきたんや」

そんな竜馬は、働きにいかせている仲間たちの雇い主から集金を行う。花月もそのうちの一つだ。
「おなごの腰巻洗うために、命懸けで脱藩したがじゃないですき」
と文句を言いながら働く仲間たちだったが、竜馬から長州の伊藤が長崎に来ていることを聞くと興奮するのだった。

竜馬が住まいにしている屋敷の掃除などを行っていると、土佐の間崎らが訪れた。
竜馬が酒などを振る舞っていると間崎は「なぁ、土佐に戻って来いや」と言った。
土佐勤王党が土佐郷士で結成されるという。竜馬の旧友、武市半平太は牢につながれたが、その中でも勤王倒幕を説いていた。
しかし竜馬は“黒船が欲しい”と夢を語り、間崎らに笑われる。
間崎らは、幕府が勤王の志士を皆殺しにしようとしているこの時に、夢を見ている竜馬が理解できなかったのだ。
「殺されるんじゃったら、みんなで勤王の志士やめよ」
その竜馬の言葉に間崎らは激怒してしまう。
「長崎来たんは無駄じゃった。土佐に帰ろ」
「土佐に戻っても、またいじめられるだけじゃ。長崎におれ」
竜馬の説得も虚しく、一人が出て行ったので竜馬は間崎らに金平糖を渡そうとするが、彼らはそれも受け取らず「情けないちゃ。心まで商人になっちゃるんか」と吐き捨てて出て行ってしまうのだった。
その夜。仕事から戻った海援隊の仲間たちに食事を給仕していた竜馬は「なぜ引き止めておかなかったのか」と一斉に責められる。
池だけが擁護する状況の中、花月から戻った仲間が、部屋に篭ったままの妙な客が来ていたと花月の様子を報告した。それを聞いた竜馬は駆け出した。
「丸にちょんじゃ!」

花月で芸者遊びに興じていた伊藤のもとへ、竜馬たちは駆け込んだ。
伊藤も竜馬の名は知っていたが、竜馬が桂の消息を訊ねると「死んだ」と答えた。
「いよいよ長州はやるぞ。倒幕の兵を挙げる。そのためには銃じゃの」
「銃の購入、運搬、斡旋でしたら、ぜひ我ら“海援隊”に」
英語にも長けていることをアピールするが、イギリス留学経験のある伊藤には無駄だ。しかし、長崎の外国人商人との取引の心得がある海援隊を通すように説得する竜馬だったが、金のことばかり心配する竜馬を嘲笑う伊藤。
結局、船での運搬だけの仕事を請け負うことになった。
その花月の一室では、海援隊の二人がニュースペーパーの翻訳に取り組んでいた。
「長崎に坂本竜馬ありと聞いたから、この身を寄せたんじゃ」「志士じゃない、商人じゃ」と嘆く二人。
竜馬は二人に花月の女をあてがい、翻訳に励むように仕向けた。

翌朝、翻訳の終わったニュースペーパーの記事に興奮する竜馬と池。
「1866年4月アメリカで南北戦争終結せり。エイブラハム・リンカーン将軍はゲティスバーグの戦場にて勝利の宣言をいたし候。士農工商力を合わせガバーメントを作らんと宣言したり」
「竜馬、面白いことになってきたの」
「世界が動くぜよ」「銭が動くぜよ」
興奮した二人を迎えたお竜は「えらい早いお帰りやこと」と嫌味を言った。
そんなお竜が屋敷に入ると、天井をこじあけて屋根裏から埃まみれの男が飛び降りてきた。桂小五郎だった。
粥飯を頬張りながら桂は竜馬に武器の購入を依頼するが、すでに伊藤が手を回していると池が漏らしてしまう。
そして伊藤が手配したゲーベル銃4000丁が屋敷に運び込まれ、伊藤と桂は再会した。
一丁10両という値段を聞いた竜馬は「高いぜよ」と呟いていた。
その試し撃ち。いくら銃を替えても、まともに撃てないガラクタばかりだった。
そこで改めて竜馬がグラバーと交渉することになり、南北戦争終結の話題から値段交渉し、最新のミニエー銃4000丁を1万両で手に入れた。
そして海援隊は長州へ運搬するための準備をしていた。
「土佐に生まれた奴は哀れじゃの。百姓郷士が勤王だと馬鹿にされて、外に出ても薩摩長州の軒下でしか動けん」
そう言いながら池が竜馬に脱藩した頃の話を訊ねると竜馬は懐かしそうな目をした。
「昔、ありったけの銭を集めて岡田以蔵と京の祇園で遊んだことがある。そうしたら以蔵の奴、女には目もくれんと飯ばっかり食って、これなんちゅう食いもんじゃって聞いて。あいつ、生まれて初めて食うたんじゃな、米の飯」
ふと真面目な顔になった竜馬は、池に「なぁ、銭のことしか頭に浮かばんわし、おかしいか?」と聞いた。
「なにがおかしいがじゃ。おまんの夢は、黒船買うて、みんなでアメリカ国へ行くこと。やりたいの」
そんな夢見る男たちをお竜が見つめていた。
「すぐに帰ってくるき、こらえてつかぁさい」
土下座する竜馬に海援隊旗を渡しながら「ホンマに、夢見るためにこの世に生まれてきたんやなぁ」と言うお竜。
そして海援隊のユニオン号は長州へ向かって出航した。

長州には幕府の軍艦も迫ってきており、下関の本陣にも伝令が駆け込んでいた。
そんな下関に到着した海援隊は、奇兵隊の姿を見て感心していた。
一方、本陣で高杉晋作にミニエー銃4000丁の報告を意気揚々と行う桂と伊藤は、高杉らから当初の見込みを超えた15万の幕兵がやってくることを知らされて愕然としていた。圧倒的な兵士数の差はどうすることもできない。
「土佐の田舎もん、あれ、とめちょけ」
そして高杉と面会した海援隊。
「坂本、商売は繁盛しちょるか?」
そう言う高杉は、天候が崩れるからゆっくりしていくように竜馬に言うのだった。

奇兵隊の訓練は雨の中でも行われていて、その様子を海援隊は見物していた。
そんな客人待遇の海援隊には握り飯が支給されるが、その様子を羨ましそうに見ていた奇兵隊たちが集まってきたので、竜馬は握り飯を分け与え、酒を酌み交わし、奇兵隊とも仲良くなっていくのだった。

翌日、武器の購入・運搬等の代金の支払いを受けた竜馬だったが、そこで高杉から奇襲作戦に加わるように言い渡されてしまう。
そして夜。ユニオン号の周りには奇兵隊の乗った小舟が続いており、幕府艦隊を襲おうと迫ったが、真っ暗でなにも見えなかった。
そして砲撃を行うが、その一瞬の光で幕府艦隊の姿が浮かび上がった。
それはあまりにも近く、巨大だったために奇兵隊は逃げ出してしまった。
翌日、奇兵隊は「しょせん百姓に戦はできんのか!」と長州幹部に責められていた。
一方で、海援隊は帰り支度を始めていた。
「高杉を見損のうたぜよ!」と沢村らは作戦の失敗を嘆いていた。
海援隊の隊士らも内輪もめを起こすほど、長崎にいた頃に思い描いていた長州での活躍ができないことにイラついていた。
そんな状態も、小判を落として注目させ、長崎で遊ぶ唄を歌って和ませる竜馬。
そこへ桂が土佐からの手紙を届けたことで、その場の空気は変わる。
池が読み上げたその手紙。
「極めて大事の事柄にて一筆差し上げ申し上げ候。先日より弾圧の厳しき土佐勤王党に対し、藩主山内容堂・・・」
言葉を詰まらせた池に詰め寄る隊士たち。
「土佐勤王党が全滅したんじゃ」
その手紙には、土佐勤王党に下された死罪の件が書かれていた。
泣き崩れる海援隊隊士たちの横で呆然と聞いていた竜馬は、すっくと立ち上がると笑った。
「土佐におる奴はよ、バカじゃきこげな目に遭うんじゃ。二度も三度も腹かっさばいて、おーお、侍らしゅうございました、か。わしについてくれば間違いなかったんじゃ。土佐の奴はバカじゃきこがいな目に遭うんじゃ」
そう言ってその場から立ち去っていく竜馬。
海援隊隊士たちは「それじゃち、わしら土佐勤王党の生き残りは生き残りや」と泣き続けていた。
その頃、高杉総督の命令が奇兵隊に伝わっていた。翌朝、幕府艦隊に斬り込みをかけるという。その準備に奇兵隊が追われている様子を、竜馬は高台の丘から見ていた。
そこへ通りかかったおうのが、竜馬に声をかけると、竜馬は静かに話し出した。
「瀬戸の海もいいが、海はやっぱり土佐が一番じゃ。潮が黒々としておって、男らしい。そこにようけわしゃ、友だちがおっての。みんなええ奴じゃ。間崎、安岡、那須、以蔵、武市。みんなええ奴での。それがの、それが志士じゃき、縄で縛られて首はねられたんじゃ、みんな。首は飛んでの、地に落ちても涙をポロポロポロポロ流しておったんじゃと。わしの友だち、180人、首斬られて、地に落ちても泣いておったそうじゃと」
泣きじゃくりながら語り、生き残ったことを詫びる竜馬はおうのの膝を借りて泣き叫ぶのだった。

そして竜馬は高杉に面会し、金はいらないから戦の手伝いをさせて欲しいと願い出たが、高杉の怒りを買ってしまう。
そんな高杉が酒ばかり飲んでいるので、金平糖を置いて出て行く竜馬。
しかし桂を呼んだ高杉は、斬り込み作戦はやめて竜馬に知恵を貸してもらおうと言うのだった。

海援隊隊士が幕府の軍艦にスイカを売りに行く百姓に扮して近づき、注意を逸らしている間に、竜馬たちは付近の測量を行っていった。
伊藤らは高杉に、竜馬たちは信用できないと進言するが高杉は取り合わなかった。
竜馬たちは奇兵隊も連れて測量を重ねていく。
その中で、幕府兵士に見つかった一部の奇兵隊隊士が命を落とした。
そして幕府軍からの砲撃は強まっていった。
動かない奇兵隊に対して高杉は「恥じるな!臆病だってことを恥じるんじゃない!」と叫び鼓舞した。
「わしも臆病なんじゃい」
その夜、高杉は喀血した。

早朝。石炭を運ぶ百姓に扮した竜馬たちは小舟で幕府の軍艦に近づき、至近距離から砲撃して大打撃を与えた。
そして軍艦の脅威がなくなったところで高杉は奇兵隊を幕府本陣へ上陸させて襲撃。
射程距離ではないと幕府兵士がたかをくくって堂々と近づいてくるところを、測量済みの戦場で、離れた距離からミニエー銃で攻撃し、これによって幕府本陣は混乱してしまうのだった。
長州軍の大勝利。小倉まで10里に迫る進軍だった。
一気に攻め込もうという高杉に、竜馬はいま一度測量を申し出た。
その頃、奇兵隊の前に竜馬から女の褒美が贈られていた。
ただ見るだけ。女のいない生活の奇兵隊にとっては、それだけで十分なのだ。
その女は唄を歌い、和ませた。その宴会の周囲には夜鷹も集まっていた。
その頃、高杉は伊藤らの進言を受けていた。

翌朝。
奇兵隊は一気に小倉へ攻め込むために集められ出陣しようとしていた。
竜馬は慌てて高杉のもとへ駆け込み、測量を申し出たが高杉は相手にしない。
奇兵を大事に使いたいという竜馬の言葉に怒った高杉は「奇兵は長州のもんで、お前には関係ない!」と怒鳴る。
「その奇兵を一人も死なんように思案するのがあんたの役目だろうが!」
そんな戦を避けようとする竜馬の発言に「女々しかろうが!」と胸ぐらをつかんで投げる高杉。
「この戦はもともと長州の戦じゃ」
そう言って背を向けた高杉に竜馬は叫んだ。
「高杉!おまん哀れな奴じゃの。己の手を汚して物を手に入れたことがあるのか?銃が欲しければ長州が用意する、女が欲しければ長州が用意する、黒船が欲しければ長州が用意する、兵が欲しければ長州が用意する、か。わしゃ浪人者じゃけの、なんでもこの手で手に入れねばならん。おまん、それを笑うか?けどわしは、フリーじゃき、わしは思うたように生きていく。わしは別に、長州のために倒幕やっとるわけじゃ、ないぜよ!」
そうして決裂した竜馬と高杉。

高杉は小倉城への道を進んでいた。小倉城を守るのは、肥後細川藩。
そして高杉の号令で奇兵隊はひまわりが咲き乱れる野原を駆けて小倉城へ攻め込んでいった。

一方で、竜馬たちは桂から手間賃を渡されていた。
そこへやってきた伝令によって、赤坂峠を越えて順調に進軍していく高杉の様子が伝えられた。
その内容を不審に感じた竜馬は伝令に「赤坂峠に幕兵はおらなかったのですか?」と問いかけると「いえ、肥後の田舎者です」と伝令が答えたことで青ざめた。
「あそこはえらいもん持っちゃるんじゃ!」
突然駆け出した竜馬を追いかける海兵隊隊士たち。

小倉城に駆けつけた竜馬たちが目にしたのは、野原に倒れるおびただしい奇兵隊の姿だった。
その光景に愕然とした池は、海援隊旗を掲げて駆け出していってしまい、ガトリング・ガンに撃たれてしまう。
それを見た竜馬は刀を抜き「池!池!ごめんね!」と叫びながら、走り出した。
少し身をかがめて戦場を進む竜馬は、知り合った奇兵隊隊士の名前を呼んだ。
「三次、三次はいるか!今日からお前は坂本三次じゃ!」
そうやって一人一人に姓を与えていく竜馬。
「ようやった!おまんらようやったぜよ!ようおのが姓をとった!」
そう叫びながら進む竜馬に、誰も手出しができなかった。
「あの世で、閻魔大王に会うたら、堂々と姓と名を名乗れ。もし、三途の川原で道に迷うたら、エイブラハム・リンカーンを探せ!」
刀を地面に突き刺した竜馬は空に語りかけるように続けた。
「かの太平洋の向こう、アメリカ国あり。南部ケンタッキー藩に生まれたるエイブラハム・リンカーンは、身分卑しき百姓の小倅なれど、よく努め、よく励み、とうとうアメリカ国将軍にまで成り上がったぜよ。それに比べて、なんじゃ!が、奢ることなしエイブラハム・リンカーン、南部諸藩が百姓町人を苦しめるの見、ついにみかね、南北大戦争を起こしたり。内戦2年、本年4月、とうとう大勝利を得る。本年5月、暗殺され、けれどもかの者、我らが同士なり。もし道に迷うたら、エイブラハム・リンカーンを探せ。ようし、行ってこい!」
この時、奇跡が起きた。
十四代将軍家茂が死んだため、肥後細川藩は突如兵を収めたのだ。

長崎で会話するイギリス人。
「なぜ14万対4千で長州は勝てた?」
「黒船に乗ったローニンが長州の助っ人を」
「サルは黒船も操るのか?」
「ローニンとやらがいる限りこの国は滅ばない」

そんな会話をしていると一人が「あれがローニンか?」と指さしたが「もっと利口そうな顔をしてますよ」と笑った。
その指さされた男は、竜馬だった。
竜馬はお竜に駆け寄って抱きしめた。
「ローニン、ガンバレ!」とイギリス人に英語で声をかけられた竜馬は「サンクス!」と返すのだった。       
1986年の作品。
坂本竜馬という題材で、幕末の青春群像が描かれていく。
テレビ放映で見てから、それをビデオに録画して何度となく見た。VHSテープが擦り切れるほど。
何度も同じシーンで泣いたし、竜馬の一つ一つのセリフが心に響いて、セリフを覚えたりした。
個人的に大好きな作品で、思い入れが深いのだけれど、残念ながら適切な予告篇が見つからなかったので、主題歌を載せている。
冒頭の映画を見ているシーンは、1895年の『工場の出口』が世界初の映画であるので、完全に時代設定が間違っているのだけれど、そんなことは気にならない。
もし竜馬が映画に出会っていたら、そう言ったかもしれないと思えるからだ。
とにかく多くの人物が出てくるが、明確に名前がわかる人物は少ない。
それこそが、群像というものだろう。
なんといっても名セリフが多く、漢字もろくに読めない竜馬が英語について「こんなのジーッと読みよきゃわかるだろう」って言いながら翻訳をさせるのも印象的だ。
中でも、土佐勤王党の死罪を手紙で知るシーンは、10分に及ぶシーンがワンカットで構成される。

いわゆる“10ミニッツ・ロール”というもので、最高に心地よい。
また小倉城攻めのシーンは、一面に広がっていたひまわりが無残に散ってしまった光景が、その戦場の凄惨さを強烈に印象づけてくる。
いずれにしてもバブル絶頂期に作られただけあって、ユニオン号も実際に作られているし、ひまわりも種を植えるところから用意され、予算も時間もたっぷり使われて製作された作品だ。
近頃は坂本竜馬という存在が、歴史的に怪しまれているような研究もされたりしているようだけれど、僕はやはり竜馬が好きだ。
薩長同盟も船中八策も竜馬が行ったものでなくて構わない。日本で最初の新婚旅行をし、日本で最初の株式会社を組織したのでなくても良いくらいだ。
彼の魅力はそういった功績ではないと思っているからだ。
この作品のように、ただただ夢を見ていた人間でいい。
幕末という時代に、そんな自由な生き方をした人物がいたということ自体が、実は凄いことなんだから。

そして今日は、月一開催の男子会のため渋谷へ。

前回のビール缶チキン以来の集まりだ。
とはいえ、土曜日となると販売員仲間はスケジュール的に集まり難いので、僕の送別会も兼ねた今回は、過去最少人数となった(笑)

“肉のヒマラヤ”という響きで選んだ焼肉屋。
この会の特徴で、店の開店時間に予約を入れることが多いので、早く着いてしまって店の準備待ちをする(笑)
最初はブロック状で持ってこられた肉を軽く焼くと、切り分けて山積みになって再登場する。
岩塩プレートで焼いて食べるのだけれど、どの薬味で食べても美味しかった。

食べ放題なので、この他にもカルビなどを満腹になるまで食べた(笑)

そのままNHK本社まで散歩して、代々木公園で開催されていたフェスの空気を味わった。

なんとなくの流れで明治神宮を参拝。
結婚式の行列を眺めながら、同じようにその列を見ていた外国人に思わず「ビューティフル!」と声をかけてしまった(笑)
とにかくどこに行っても外国人がいる。
そして、外国人のほうがよほど日本っぽい(笑)
文化などに対する感覚の違いなんだろうなぁ、なんてことを、10数年神社に参拝していないという仲間と話しながら思ってしまった。
原宿まで来ちゃったので、竹下通りでクレープを食べた。男三人で(笑)
そうやってぶらぶらして、夕方には解散。
つくづく健全な男子会だ。それがいい。
どうでもいい話を、だらだらと話しながら、美味しいものを食べ、酒を呑む。
真面目な話なんていう、くだらないことはしない。
とにかく笑うだけ。

またいつか参加できるように、これからも続いていて欲しいものだ。

こうゆう仲間と出会えたこと、こうゆう仲間がいること、それには感謝しかない。

販売員としての残り出勤日数も、12日となった。

有給休暇の消化を当てこめば、もっと少なくなる。

変則シフトの影響で疲れやすくもなっているので、うまく休まないとなぁ。

明日から、また3連勤。

とりあえずここは働いておくか(笑)