ぼちぼち売れたような気がする2連勤からの単休。年内最後の休日だ。
ゆっくり二度寝をして、昼間は近所で昼食を摂って、日用品の買出しをしたりして過ごした。
そしてシネマネコさん、16:25上映回へ。
12/31から1/2までと、今年のシネマネコさんの冬休みは短いので、明日から5連勤の僕には影響がない。
年内最後の鑑賞作品は、シネマネコさんで開催されていた“再上映総選挙”で1位となった作品。

僕も大好きな作品なので、再びスクリーンで鑑賞できるのならこれを年内最後の鑑賞作品にしようと決めていたものだ。

ラ・ラ・ランド
渋滞の高速道路上。ロスアンゼルスに向かうその道路には、夢を見る若者たち。
一人の女性が夢を歌いながら車から降り立つと、それに呼応して周囲の車からも人々が降りてきてダンスを繰り広げていく。
それは夢を追う者が集う街への讃歌。
“冬”
その渋滞の中。
カーステレオで何度も同じ箇所を聞いているセブ。セブの車の前にいるのはミア。
ミアは車の中でオーディションに向けてセリフの練習をしていた。
動き出した渋滞の列だが、一向に動かないミアに向かってクラクションを鳴らすセブは、ミアの車を追い越していく。そのセブに中指を立てるミア。
「何よ、失礼な男」
そんなミアはワーナースタジオのカフェで働いていた。
カフェにやってきた女優に「サービスです」とカプチーノを提供するカフェ店員の申し出を断って多めにチップを支払って去っていく女優。
女優はミアの夢見る職業だ。
そんなミアはオーディションの時間が迫ったために慌てて店を出るが、その際にコーヒーを持った客とぶつかってしまい、コーヒーのシミがついたシャツのまま会場へ向かわざる得なかった。
オーディションではまったく相手にされず、落ち込んで帰宅したミア。
そんなミアをルームメイトたちが豪邸でのパーティに誘うがミアは断ろうとした。
「ハリウッドの俗物を眺めて茶化すいい機会よ」とルームメイトたちは強引に誘い「偶然の出会いにチャンスがあるかもしれない」と、パーティーもオーディションだと唆すのだった。
渋々やってきたパーティーだったが、ミアは乗り気になれないまま過ごした。
“自分を成功に導く運命の出会い”なんていうものに、興味を持てなかったのだ。
そしてパーティーから抜け出たミアの車はレッカー移動されてしまってた。
仕方なく歩いていると、通りがかった店から聞こえてきたピアノの曲につられて入っていくミア。

セブは渋滞を抜けた後、ドライブインで軽食を摂りながら“ヴァン・ビーク”がサンバとタパスの店になっているのを嘆かわしそうに見つめていた。
そんなセブが自宅に戻ると姉が押しかけてきていた。
荷物も解かれていない部屋を嘆く姉に、“ヴァン・ビーク”が堕落したと語る。
姉は見合いの話を持ってきたのだが、セブは全く興味がなかった。
セブはジャズの店を開くことを夢見ていたが、騙されて金を失ったのだ。
「俺の人生まだノックダウンじゃない」
姉を追い返してからは、何度もピアノを練習するセブ。
そんなセブはピアノバーでBGMを弾く仕事に戻った。
「フリージャズは断る」という店長に言い負かされて、ただただクリスマス曲を弾いていた。
しかし、雰囲気につられるようにオリジナル曲を静かに弾き始めてしまう。
その演奏を見つめていたミア。
セブは店長に呼ばれ、フリージャズを弾いたために解雇されてしまう。
そんな様子を遠目で見つめていたミアは、セブが出口に向かって歩きだしたので「演奏を聴いて・・・」と声をかけるが、セブはイライラとミアの肩にぶつかりながら無言で去っていってしまうのだった。

“春”
オーディションに明け暮れるミアがやってきた豪邸でのホームパーティ。
そこで演奏していたバンドの中に、セブがいた。
ボーカルがリクエストを求めてきたのでミアは“アイ・ラン”をリクエストした。
セブは休憩中に会場内でミアを捜し出して「君、覚えているよ。あの夜は失礼した」と声をかけ「本物のミュージシャンに“アイ・ラン”か」と問い詰めた。
そんなセブは雇われピアノマン。
そのパーティも終わった夜、ミアは若手脚本家のつまらない話に捕まっていた。
その横を通り過ぎたセブに声をかけて自分の車の鍵を取らせるミア。
そしてミアの車へ向かって歩く二人。
「何度も偶然に会うなんて、なにか意味が・・・」と言うセブをさえぎるように「ないわ」と言い切るミア。
ミアはセブを“キモ男”と呼んだ。
そんな二人の目の前に広がる夜景。
他の二人なら恋が芽生えるかもしれないのに、恋の気配も感じないなんて、素敵な夜景がもったいないと言い合う二人のダンス。
それはまさに恋の始まりだった。
しかし、ミアにはグレッグという恋人がいた。

翌朝、なんとなくウキウキした気分のミア。そんなミアの働くカフェにセブがやってくる。
ミアの仕事終わりにスタジオ内を散策しながら話し込む二人。
そしてミアが「The OC」もどきの青春ドラマのオーディションの最中だと話すが、女優の道を諦めようかと思っているというので、セブが励ましていく。
脚本を書いて「自作自演ならオーディションとはオサラバだ」と。
そんな話の端々に、セブがジャズの話を入れてきたので「一つ言っておくわ。私はジャズが嫌いよ」とミアが言ってしまったために、セブに強引にジャズクラブへ連れて行かれてしまうのだった。
そこではセブがジャズの魅力を熱く語った。
「でも瀕死だ。ジャズは死につつある」と言うセブは「でも俺は許さない」と続けた。
「自分の店を持つ」と夢を語るセブは“純粋なジャズ”を求めていた。
そんな中、ミアに“The OCもどき”のオーディション一次通過の知らせが入る。
「さっきはけなし過ぎたわ。本当は“理由なき反抗”に似てる」と言うミアに、セリフの真似をするセブだったが、ミアの反応から“理由なき反抗”を観ていないと察し「いま“リアルト”で上映中だ」と言って、一緒に観にいく約束をするのだった。
しかし、映画鑑賞前にミアのオーディションは終わってしまう。
オーディションには落ちてしまったが、その夜のセブとの映画鑑賞に、なんとなく浮ついていたミアを、グレッグが現実に引き戻した。
グレッグは、兄との会食のためにミアを迎えに来たのだった。
その会食はつまらないものだった。
その中で、なんとなくセブの曲が聞こえたような気がしたミアは「ごめんなさい」と会食の席を立つと、一目散に“リアルト”へ向かっていた。
上映が始まりオープニングクレジットが流れる中、ミアはセブを見つけて二人で鑑賞した。
“グリフィス天文台”のシーン。
ミアとセブの手は徐々に近づき、触れ、やがて手を繋いでいた。
そのままキスをしようとするが、フィルムが溶けてしまい上映は中止される。
明るくなって照れながら悔しがる二人だったが、ミアが「いい考えがある」と言って、実際にグリフィス天文台へ向かった。
その中で二人はダンスをし、そしてキスを交わすのだった。

“夏”
一人芝居の舞台脚本を書いているミアを、大きなクラクションを鳴らしながら迎えにくるセブ。
「毎回あれが鳴るわけ?」
「そうみたい」
二人はデートを重ね、いつしかセブが弾くジャズに合わせてダンスを踊るようになっていたミア。
そんな二人の前に現れたのはセブの旧友のキース。
キースは自分のバンドへセブを誘うのだが、セブはあまり乗り気ではなかった。

ミアが書いた脚本を、セブの前で演じるとセブは大絶賛した。
「でも人は?」「放っておけ」
その夜、ミアは【SEB'S】という店のロゴデザインを披露したが、セブはチャーリー・パーカーにちなんで店の名前は“チキン・スティック”だと譲らなかった。
翌朝、ミアが電話で母親と話しているのが聞こえてきたセブは、定職もなく貯金もないことに思い当たり、嫌がっていたキースに連絡をとって、バンドに参加することを決意した。それは金のためだった。
キースのバンドはユニバーサルと契約していてツアーの収入なども入れると、相当な稼ぎになりそうだった。
しかしキースのバンドは電子音楽などが取り入れられており、ジャズとは程遠かった。
「“ジャズを救う”なんて言っても誰も聴かなきゃ始まらない」
キースの言うことも尤もだった。
その夜。
夢に向かって歩きだしたセブとミアは、愛を確かめ合うように唄うのだった。
それはすれ違う日々の始まりでもあった。

セブはキースとともにツアーの日々。人気が高まっていた。
多忙なセブだったが、サプライズで部屋に戻り料理を作ってミアを待っていた。
楽しく夕食を食べながら語り合う二人だったが、キースとのツアーで埋まったセブのスケジュールに“長い道のり”と言ってしまうミア。
「あの音楽好き?」
「さぁ・・・なぜそんなことが大事なんだ?」
「もし夢をあきらめるなら、好きかどうかは大問題よ。何年も続けるんだし」
そんなミアに「なぜつべこべ言うんだ」と言ってしまうセブは、安定した仕事に入ることを望んだミアのためにバンドに入ったと言うが、ミアが望んだのはあくまでも“店の開店”のためだった。
「人は情熱に動かされる」と夢をあきらめないように説得しようとしたミアだったが、セブは「大人になろう」と取り合わなかった。
セブは“成功”を味わい、人から評価されることを喜ぶようになっていた。
「君は優越感のために不遇の俺を愛した」
その言葉に涙をにじませるミアは、部屋を出て行ってしまうのだった。

そしてミアの舞台“さらばぼボールダーシティ”の公演日がやってきた。
しかしセブが向かおうとするところへキースが「モジョ誌の取材だ」と言って引き止めた。セブはスケジュールを勘違いしていたのだ。
ミアの舞台は上演が開始された。セブは取材のために写真を撮られていた。
空席だらけのミアの舞台。聞こえてくるのは酷評ばかり。
劇場からミアが出てくる頃、ようやくセブが到着し謝罪するが、傷ついていたミアは「終わりよ。何もかも。恥をかくのは終わり」と言って故郷の家に帰っていってしまうのだった。
ミアは故郷で過ごし、セブはピアノマンとしてパーティー会場で演奏していた。
そんなある日、セブの携帯にミア宛の連絡が入った。
それは配役事務所からの連絡だった。
その夜。ミアが実家で過ごしているとセブの車のクラクションの音が響いた。
セブは配役ディレクターがミアの舞台を気に入り、オーディションに呼んでいるという。
「嫌よ。今度落ちたら二度と立ち直れない」と泣き言を言うミアに、セブは大声で「なんだと!」と叫び、納得いく説明を求めるが“じゅうぶん傷ついた”というミアの後ろ向きな言葉はセブを納得させられなかった。
「俺は8時にくる」と言って、セブは去っていくのだった。
そして翌朝。
ミアはセブとともにロスアンゼルスへ戻り、オーディションを受けるのだった。

オーディション後、公園のベンチに座り語り合うミアとセブ。
セブは「合格する」と断言するがミアは「ガッカリさせるかも」と返す。
そしてミアは“二人のこと”について問いかけるがセブはオーディションに合格したら没頭すべきだとして「様子を見よう」と答えるのだった。
そんなセブに「ずっと愛してるわ」と返すミア。セブも「愛している」と答えた。
そんな二人が座っていたのは、グリフィス天文台のそばだった。

“冬 5年後”
ワーナースタジオのカフェでサービスを断る女優。それはミアだった。
一方、セブは店でピアノの調律を確認していた。
ミアが自宅に帰ると、そこには夫がいて、娘がお絵描きをしていた。
セブは一人暮らしのままだった。
そしてミアは娘をベビーシッターに預け、夫と二人で出かけたが、高速道路は大渋滞だった。
ミアは夫に高速をおりて夕食をと提案し、車は高速道路の渋滞から抜けていった。
夕食を終えて歩いていると、聞こえてきたジャズの音楽に夫が「入ってみる?」と言ってミアを店に連れて行った。
その店内に入ったミアは思わず立ち止まってしまう。
その店の名前は【SEB'S】。
バンド演奏が終わり、挨拶に出てきたのは店長のセブ。
セブも客席のミアに気づき「ようこそセブズへ」と挨拶した。
そしてセブは、ピアノの前に座ると静かにミアと出会った時の曲を弾き始めるのだった。
そしてミアも静かにその演奏を聴きながら、回想していた。

もしあの出会いの瞬間に二人が恋に落ちていたら・・・。
セブがキースのバンドに参加していなかったら・・・。
二人に別れは訪れず、幸福な日々を送っていたかもしれない。
そしてもし二人が結婚していたとしたら・・・。

演奏を聴き終えたミアは「行きましょ」と夫に言って席を立つが、出口で振り返る。
無言で見つめ合ったミアとセブは静かに微笑み合い、頷き合うと、一言も言葉を交わすことなく別れていくのだった。

公開当初はミュージカル映画ということでやや敬遠していたのに、一度観たらすっかりこの作品の虜になってしまった。
2年前にシネマネコさんで初めて観た後、YOUTUBEで何度も観た作品。
改めてスクリーンで観る映画の魅力に気づかされた。
何度観ていても、スクリーンで観るとあっという間に上映が終わってしまう。

2年前の9月に初めて観たこの作品は、当時、この冒頭の高速道路のシーンで一気に僕を虜にしたし、今回も一気に“La La Land”へ誘ってくれた。
LAはもちろんロサンゼルスを指す言葉ではあるが“La La Land”には【現実から遊離した精神状態】という意味もある。

夢を追ってハリウッドにやってくる若者は、まさにこの状態だといえるだろう。
ミアとセブはそれぞれの夢を抱き、挫折し、そして夢を叶えていく。
しかしそれと引き換えに、二人で過ごした夢のような日々は想い出になってしまう。
そんな一見哀しいエンディングも、むしろこれがハッピーエンドなんだと感じられさえするのだ。

スウィッシュを多用して観客を“La La Land”へ誘い、可能な限り1カットに見えるカメラワーク。そしてなにより照明の素晴らしさ。
撮影監督方式のハリウッドでは、これは撮影監督の技術の見せ所だ。
そのうえ音響効果も素晴らしい。
だからこそどのシーンも印象的で素敵な作品となっている。
なによりもシネマスコープの魅力!
映画って、こんなに楽しくて素晴らしいものなんだと、もう一度僕に教えてくれた作品を、また映画館で観られたのは本当に倖せなことだ。

この映画を観ると、恋をしたくなる。
夢を語り合ったり、夢を応援したりしたくなる。

そんな相手がいないという現実が、哀しくなりもする。

それでも、幸福な気分で歩ける力をくれるのが、この映画の素晴らしさだろう。

今日の昼ご飯は久しぶりに、とんかつ太郎さんへ。
この店はいつも複数台の車が止まっていて、ひっきりなしにお客さんが入ってくる。
僕のように独りで入ると、小さなカウンター席になってしまうけれど、そんな独り飯の宿命にも慣れてきてしまった。
今日は“特ロースかつ定食”でごはんを大盛で注文。
相変わらず多すぎるキャベツを先に平らげてから、じっくりと美味しいとんかつを味わった。
半分はとんかつソースで、半分はみそだれで食べる。
今回はキャベツを先に終わらせていたおかげで、食後もとんかつの倖せな風味が口の中にしっかり残っていてくれたので、追加でカツカレーを注文せずに済んだ(笑)

なにかしら楽しみな予定をつくっておかないと、生きる気力がもたない僕にとって、約2ヶ月に1度食事に付き合ってくれている子との予定を組むのが手っ取り早い(笑)
ただ、なかなか食べたいようなものも思いつかなくなってきてしまっていて、いよいよ僕の終活も終わりが見えたかなと思えてきてしまう。
とはいえ、1月にその子との予定を組むことができた。
その子と食べに行くのは初めての店だけれど、今年食べた中で一番感動したといえるくらいのお店に、もう一度行こうと思い立った。
早々に予約を入れて、その日がやってくるのを楽しみに待つ。
こうやって苦しみを誤魔化していかないと、生き続けていくのは困難だ。
恋でもしていれば違うのだろうけれど・・・。