サン=サーンス「交響曲第3番<オルガン付き>」 | なおっちのバイオリン日記

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大人から始めたアマチュアバイオリン弾きの日記です。たまにテニスとフットサルの話も。2024.4山梨に転勤しました!


 

 

演奏会まであと2週間となりました。


春の時点で「これまでとは違います!」と決意表明して取り組んできたこともあり、今回は比較的余裕をもって仕上がりそうな感じクローバー
なかでも前プロの「オルガン付き」はとても好きな曲なので、今月コンサートホールで弾けるのを楽しみにしています。
 

この曲は名古屋の芸術劇場で2011年に1stヴァイオリンパートで、札幌のKitaraでは2016年に2ndヴァイオリンパートで弾いていまして、今回のミューザ川崎が3回目。

転勤のたびに各地の代表的ホールで弾いてきた、自分にとって縁のある曲です。

昔、会員制交流サイトのmixiで「格好いいオーケストラの曲」の話題になった時に、現役の音大生がこの「オルガン付き」を挙げていました。

当時の自分はこの曲をまだ聴いたことがなかったので、

「交響曲にオルガン入り?そんな曲もあるんだー。聴くのが楽しみだな」

と思ってはいたのですが、それからも聴くことがないまま、数年後にこの曲を所属するオケで弾くことになりました。
 

その予習で初めて聞いた時は、「なるほど、格好いい」と思ったものですが、実際に練習してホールで弾いた時の感動は、それはそれは素晴らしいものでした。キラキラ
なにせ、フルオーケストラと大ホールに鎮座するパイプオルガンが全力でがっぷり四つですから。

オーケストラとオルガン付きホールの両方のポテンシャルがフルに発揮されるこの曲は、実際にホールで聴くのが最高です。

クラシックに対して「敷居が高い」「長くて退屈」と感じている方も、曲の前半は寝ていていいですから(笑)、是非ともホールに足を運んでライブでこの曲の壮大な音の広がりの世界を体験していただきたいです。


この曲の作曲者であるカミーユ・サン=サーンスは、フランスのロマン派時代の代表的作曲家です。

クラシックをあまり聞かない人でもその作品「動物の謝肉祭」のなかの「白鳥」という曲は聴いたことがあるのでは。
ちなみに、初期のスピードラーニングという英語教材のバックミュージックでひたすら流れていた曲です。
他にも「死の舞踏」とか「序奏とロンド・カプリチオーソ」とか、キャッチーな曲を多く書いた人です。


彼は1835年に生まれ、1921年までご存命だった長生きさん。そんなわけでロマン派の初期に生まれ、ロマン派の終焉と共にこの世を去ったという、まさにクラシックが最も華やかだったロマン派の時代の申し子ですから、晩年までひたすら調性と様式の範囲内で最高の音楽を作り出すことを追及していました。
そんなサン=サーンスさんが「わたくしの注ぎ込める全ての作曲能力を注ぎ込んだ!」とまで語った自信作が、この「交響曲第3番<オルガン付き>」でした。

聴く側からしてみれば「サン=サーンスさん、そこまで言っちゃっていいの?」と思ってしまうところですが、いざ作品に触れてみたら実際すごかった。

それはまるでそれまでのクラシック音楽の集大成かのように、フルオーケストラの交響曲でありながら途中でバロック的なフーガの技法や弦楽アンサンブル、そしてフランス音楽特有の「曖昧なニュアンス」まで巧みに織り込み、しかもそれらを統一的なモチーフによりばらばらな音楽にならないように見事に構築している。

そして、最初は天からの声のように遠くから聞こえるパイプオルガンの響きが、曲のクライマックスで全開となるスペクタクルな流れと畳みかけるようなエンディングで、極めてドラマチックな作品に仕上げている。

本当に、彼が作曲技法として学んできたものや積み上げてきた全てをこの曲に込めました的な感じが聴く者に伝わってくる、作曲者入魂の一曲です。

 

自分も一奏者として、今回のステージでは入魂の演奏をしてきますメラメラ