欲望を制御するには

 

 

美紀 そうですね。私は、死後は無かもしれないとも思いますが、一応保険としてヨーガ心理学の教えも考えてみようかなとは思いました。

 ところで、欲望を抑える方法ってどういうのがあるんですか?

 

岡本 先ほどもお話ししたように、まずは快不快の相対性を理解することです。美味しい思いをしても、それはいずれ不快に変わってしまうので、その関係性が理解できれば、闇雲に快楽だけを追い求めることは馬鹿らしいと思うようになるでしょう。

 一つの誤解は「快感だけを高めれば幸せになる」という思い込みです。それは結果的に苦しみの原因ともなるので、そのような勘違いを解くことが心の苦しみの対処法です。

 もう一つは、欲望の対象として現れるものは、実態がないという見方です。これをヨーガ心理学ではと呼びます。この空の見解を身につけることで、人は欲望から離れることができると考えます。

 

美紀 空って、確か仏教でも聞くやつですよね。ヨガでも言うんですか?

 

岡本 そうですね。ヨガでも仏教でも使う言葉です。これは一般的には般若心経にある「色即是空空即是色」という言葉が知られています。

 

美紀 その言葉は聞いたことがありますが、どんな意味なんですか?

 

岡本 まず空はインドの古い言葉でスンニャーと言い、あったものがなくなったような状態を指します。それは無そのものを指すというよりは、前までりんごがあったけど食べたらなくなってしまった、というような物事の不在のことですね。

 そして、は現象世界のあらゆる物事を指します。つまり、色即是空空即是色とは、世界の物質的な現象は実態がなく、現象と不在は同時に現れているということが説かれているんですね。

 

美紀 現象と不在? うーん、難しいです。それがまた欲望の制御とどう関係があるんですか?

 

岡本 普通私たちは物事はそれ自体の側から現れていて、自分が作り出しているとは考えていません。

 例えば、目の前に金の塊と石が置いてあったとき、美紀さんはどちらが欲しいですか?

 

美紀 それはもちろん金ですね!

 

岡本 その理由はなんですか?

 

美紀 当然、金の方が価値があるからですよ。

 

岡本 ですが、なぜ金の方が価値があると思うんですか? 同じ鉱物なのに。

 

美紀 それは、希少性があって、光っていて綺麗で、高値で取引きされるからじゃないですか。

 

岡本 でもそれは人間にしか見えてないことですよね。例えば、犬や猫は金と石の違いに気がつきません。金を見ても、今の美紀さんのように喜んだりはしないからです。

 さらに言えば、子供もある時期までは金の価値に気がつきません。それは成長の過程で、金は地位の高い人や権威のある人が身につけていて、宝飾品は金で作られている、ということを経験的に学ぶので、金に価値があると思い込むのです。

 

美紀 えーと、つまり、金に価値があると思うのは一種の心理的な刷り込みだってことですか?

 

岡本 そうです。仮にですが、金が石と同じようにそこらじゅうに落ちている地域に育った人がいて、その人が今のように「金か石か選べ」と言われても、「どちらも同じです」と答えることになるでしょう。つまり、美紀さんが今のように金と石を見て「金が欲しい」と思うのは、「金に価値がある」と思うだけの経験をしてきたからで、それは人間の、あるいは個人的なレベルで起きている心理的な作用に過ぎないということになります。

 

 

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