中学、高校、大学の受験のための勉強は、基本的に「個の力」を試すものです。
制限時間内に、答えの決まっている問題をその意図を読み取り、できるだけ多く、求められている答えを出せる力が求められます。
選抜試験であるため、順位をつける関係上、ルールを決めて点数をつけて上下を判断しなければなりません。
これはこれで大事なものではあるのですが、もちろんそれが人間の能力のすべてではありません。
例えば、こんな力は受験勉強では培われることがありません。
・初めての人と仲良くなる
・出会った人たち数人でグループを作って何かをやってみる
・人のいいところを見つけ出す
・相手の表情や言葉の端々から言外のメッセージをくみ取る
・落ち込んでいる相手を元気づける言葉をかけてあげる
こういった「関係性」や「つながり」といった「個」を超えたものの方が、人間が生きていくうえではよほど重要だと思います。
こうした人と人との間にあるつながりや目に見えないものを日本では「間」とか「縁」、その間に流れるエネルギーを「氣」と言ってきました。
私が気功や太極拳に興味を持ち、実践するようになったのは、そうした人と人との間に流れているものの重要性に気がついたからでした。「個」に注目して「個」の力を伸ばそうとするだけでは、どうしても限界があります。それよりも、周りにいる人にしっかり注目して、そのご縁のある人の能力や特性を大切にして、それを十分に活用していく方が自分も周りも、より充実した人生が送れる様になると思います。