私の歯の賞状?認定証見つけました | 獣医師りえの犬猫の心と歯・皮ふ・耳のブログ

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兵庫県西宮市のHamilza動物病院(ハミルザ)の獣医師です
飼い主さんに日々犬猫の行動を観察していただきつつ
飼い主さん達と一緒にその子に合った最善な治療法を考えたり
人間の病巣疾患研究会や分子栄養学やチクチク療法等を犬猫に取り入れペットの健康寿命を延ばします!


さて、何回か書きましたが獣医大学では、今も歯科の基礎授業はありません。
2校位でアメリカの獣医歯科専門医の先生による授業が1単位だけ
認められているのは聞いたことがありますが、それも3校だったのが2校に減らされたとは聞きました。

昨年も、動物の歯科を教える人員不足ということで、カリキュラムからは外されていると、獣医大学の先生からは聞きましたから、セミナーとかで少し教えて貰ったとしても、獣医大学のカリキュラムに歯科の基礎教育が入っていないのは変わらないようです。
ただ、6年制の人の医学部もそうなので獣医学部だけが変なわけでは無いし、獣医は人以外の動物全般を勉強しないと国家試験には受からないので、さぼってるワケでは無くて学生時代日々忙しかったことはお伝えしたいと思います。

さて、私の歯との出逢いは
1995年位に、他のアメリカの獣医歯科専門医のPeter Emily先生の口腔外科セミナーが2年間で合計4日間あり受講したことで、衝撃を受けて歯の世界へハマりました。

犬猫も人と同じ歯科治療が出来るんだ!

そのセミナーでは

口腔外科だけを習ったので、

そこから1996年頃から、

外科は比較的得意だったので、

くしゃみをしている犬達の上の犬歯を抜いたら、色々抗菌薬をやってもくしゃみが止まら無かったヨーキーやプードルとかの飼い主さんに、とても感謝されて有頂天になった頃でもありました。


でも、その時は勤務医でもありナント

歯科専用レントゲン無しに犬歯だけ抜いていました(汗)

歯4日間口腔外科だけ習ったので

歯周病の基礎の勉強もなく、歯を抜いて縫う方法とかを習っただけなので

私は、プローブの存在も当時は知らず明らかに歯周病になってる上の犬歯だけを、偉そうに抜いて

私は口腔外科が出来るのよ

と思いこんでいました。

他の歯の歯周病はどうだったんだろ?!

その時の犬猫達と飼い主さん達には

稚拙な知識で治療してしまい

ごめんなさい!と今もココロの中で懺悔しています。


さて、今回の

私の歯科の証書シリーズ

2002年のからですね


これは、割りと飼い主さんが
小動物歯科研究会のレベル4なのですか?すごいですねーと言って下さるものです。

でも、
これは4日間の授業と
4日間の実習と、研究会発表で貰えますので、そんなに難易度は高くなくコツコツ行ってやればいただけるので、歯石除去をされたりしている獣医さんや、歯科の基礎を学んでみたい獣医さんには、せめてレベル2か3位まででも学んでみられたら良いと思います。

学ぶことは
レベル毎に違って

レベル1

一般臨床医が少なくとも知るべき口腔内解剖、生理に関する知識の習得

口腔内検査法(X線検査・プロービング・探針検査)の理論

予防歯科処置の理論とその実際(麻酔を含む)

ホームケアーに関するクライアント教育

レベル2

口腔内X線検査の実際と読像

抜歯術(単根抜歯・分割抜歯・粉砕抜歯)の理論とその実際

歯周外科処置(フラップ形成・フラップ移動術・歯肉成形術)の理論とその実際

レベル3

歯質欠損部修復法の理論とその実際

歯内治療の理論と直接・間接歯髄覆罩法・断髄法の実際

レベル4

保存的歯内療法(抜髄充填法)の理論とその実際


この講義と実習を

1日ずつして下さいます

参照はコチラです

https://www.sadsj.jp/activities#level-nintei-koushukai


私は番号10だから10人目だからスタートしたばかりの頃。
一度コースが終わっても納得感なくて
「練習したいので、レベル4をもう一度受けても良いですか?」とお願いしたら、当時は申込みをする人も少なくて、許可していただきました。
今では、人気で春に申込みスタートして先着順!らしいです。
歯科を勉強する方が増えてきたことは嬉しい限りです。

私としては、2回レベル4をやっても〔勿論、私個人の問題です〕、手順の復習にはなったなと、コレは本番とな違うんだもの!そりゃそうだと改めて確認した気持ちを今でも覚えています。



そんな私に、感慨深い歯科の証明のがこの2つ証明書です




2016年と比較的新しい?!ですが
このアメリカの歯科専門医の先生の勉強会には、歯科研究会に入るより前から勉強させていただいてきました。
というか、この先生が当時は
小動物歯科研究会に入られていたので入ったのがキッカケです。

このレベル4を取る前の
1999年から
毎年アメリカ獣医歯科学会でやっていた歯科のトレーニングコースを
3年間かけて受けました。

毎年10月アメリカ獣医歯科学会があるのですが、その直前の2001年9月11日にアメリカのニューヨークで飛行機テロがありました。
その時は、ニューヨークからは離れていたのもあり、学会は無事開催されましたが、勉強会の仲間の先生は行くのを中止された方もいたり
飛行場では、検閲?がキツくて
アチコチに拳銃を持った警官も沢山いて靴をぬがされチェックされたり、顔つきの怪しい男性の先生は(笑)別室に連れていかれて厳しいボディチェックを受けたりと、飛行機の乗り換えがとても大変でした。

そこでのトレーニングコースは
朝8時位から夜の5時位から
猫の抜歯だけとか、犬の抜歯だけとか、うさぎの歯の抜歯だけとかを
リアルにトレーニング実習ができます。
英語がすごくてきたのか?と聞かれるのですが、歯科の実習に必要な単語だけ覚えていたら、あとは手順は日本でも勉強していたので、授業や日常会話よりは、何とかなりました。
そこにはアメリカだけでなく、ヨーロッパやオーストラリアやフランスとか各国の歯科を勉強したい獣医さん達が集まってきていました。
アメリカはやはり、動物の歯科でも先進国なのです。

言葉で一番難しいのが、アメリカの歯科学会は金曜日から日曜まであるので、その中日の土曜の夜に
ガラディナーという、パーティーがあるのですが、そこで他の国の獣医さん達と普通の会話をするのが、一番難易度が高くて、いつも英語を勉強しないと!と思っていました。
私が参加して記憶に残るのが
サンディエゴ動物園やモントレー水族館を夜に借り切って、パーティーをしたことです。
動物園では、外でやったので
象の檻の前辺りがメイン会場でした。
水族館では屋内てした。
アシカやラッコも歯を折って歯科の獣医師は治療するのですが、犬猫だとエリザベスカラーで歯茎を糸で縫ったのを数週間保護するのですが、アシカとかラッコは水中に潜ってエリザベスカラーが難しいので、治療がとても困難とお聞きしました。
貝殻をかじるのも、歯が折れて顎とか骨に菌が入ることになるので
自然の中で生きていくって大変何だなぁと思ったものでした。

さて、アメリカの獣医歯科学会のトレーニングや授業は
証書も何も出ないし、何回受けても勿論構わないので、結局何もありません(汗)

さて、この2枚の奇跡的な証書!は私の宝物です

何回も何年も先生の授業やトレーニングを受けさせていただきましたが
この時は、なぜかこの証明書を出して下さったのです

先生は、私達の学術用語使い方や技術にもとても厳しい方なのです。
「あなた達がどこまで出来るかは私には、わかりません!どれだけ自分が練習して勉強してるか自分の胸に聞きなさい!」と言われたこともありました。
セミナーに出ただけで、出来るワケ無いし、そりゃそーだ!とみょうに納得した記憶があります。

なので、私はこの証書を渡された時には、先生の健康に何か問題がおきたのだろうか?!とドキドキしてしまい他の先生に
「先生、どこか体調でも悪いの?!」と本気で心配してコッソリ聞いたことを今も覚えています
答えは「大丈夫と思う」でした

ちなみに、これは小さい私塾なので、他の獣医さん達が希望しても入れないのでお名前とかぼかさせていただきます。掲示もだめとご指摘あれば、その時は削除します(汗)

当時は、東京の先生の小さな部屋で全国から8人位の獣医さん達と集まり、関西からは私だけ参加させていただいていました。
私は東京に始発で出て、夜中に帰るか夜行バスで翌朝の診察に間に合うように帰っていました。

そこでは、1日ワンテーマで犬猫やうさぎやモルモットの頭部の解剖から、歯科道具の研ぎ方から
歯科の基礎の基礎からコツコツと厳しく教えていただきました。
毎月東京に10年位?は通ったかと思います。
歯医者さんが獣医さんになった人も拝見したことがありますが、
その方は4年生?位から転入みたいだったので、基礎の学問のあと歯科オンリーの勉強をするなら3年間位は必要なのでしょうね。


行く前にも、それまでの復習や
そのテーマの責任者になると
資料を作っていく必要もあり、
2人の子供も小さかったこともあり
早朝に起きて勉強するクセがついたのもその頃からです。

先生に怒られるのが物凄く怖く、破門されたくなかったのもあり(汗)人生で一番勉強していました。
子供の頃から、あんなに勉強していたら今ではさぞかし賢かっただろうと自分で感心していました。
学生時代の先生や両親に深謝します。


それ位、1つのことを極めるということを肌で感じることが出来たことは、私の他の科目の勉強をすることに何よりの学びになったことは
間違いありません。

先生の処の勉強会には20年位入らせていただいていて、最初の出逢いは1997年の先輩達と泊まりでまだ専門医になる前に、アメリカで動物の歯科を勉強してる先生の勉強会をやらない?先輩の先生達とホテルに泊まり勉強会をしていただいたのが、キッカケで先生のことを知り、私が歯科をやりだす何年も前に、既にカナダやアメリカに渡り勉強されておられた先生がおられたことに、衝撃を受け、スゴイなカッコイイ!この人についていきたい!(笑)と思ったことを今でも覚えています



昨日は、皮膚の勉強会に行き、他の獣医さんから、少し歯に絡んだ目やに皮膚の質問をしたのあり「歯をメインにされてるのですか?すごいですね!」と声をかけていただきました。
その先生には
「歯科のレントゲンはお持ちなのですか?」とお聞きしたら「持って無いので、出来るだけ歯を抜かないように気を付けています」
とおっしゃいました。
私は
「歯科のレントゲン買って撮影のトレーニングしないと、歯周病の歯も見逃してしまっていますよ」
と余計なことですが
お伝えさせていただきました。

その先生は、正直な気持ちを言って下さいましたが、これが、今の日本の獣医師の先生達の歯科の現状だと思います。

歯石除去するなら

最低限歯周炎のチェックは必要で、それには
.プローブ
.歯科のレントゲン

が必要です

昨日のように
皮膚や眼科でも難しい症例は
皮膚専門医や眼科専門医
等に紹介するこの時代に
歯科は専門医の先生は一人だけなのですが、
動物の歯科を色々な方法で勉強したりされている獣医師は
増えています。
基礎なら小動物歯科研究会レベル4も
ベーシックな基礎を学んでいる方の指標になると思います。
色々な場所で歯科を勉強する
獣医さんは増えていますが

飼い主さんには、
最低限
この2つの道具を持っている獣医さんで歯石除去をされることが
自衛手段と思います


そうすると歯科の基礎をやってない獣医さん達は少しずつ

.道具を買って勉強してみよう
とか
難しいから歯科の詳しい獣医さんに紹介するとかもされていくのでは?
お思うのです。

まずは歯科レントゲンを持って歯石除去してくれる獣医さんを増やそう!

が私のもう一つの、人生ミッション
かなと思っています

歯科は、犬猫うさぎは、頭が人と違って歯が動脈や目に近くて、
技術がいくら進歩しても治療が
難しい科目です。
人と違って虫歯がほとんどなくて歯周炎や歯の生えてる骨の腫瘍の治療がメインになります。

なので、歯の治療より、口腔外科というになるので他の科目より
とても難しいと思います

だから、私は皮膚や耳の治療に力を入れている今
若い犬猫が皮膚や耳の痒みやトラブルで来院して下さることで
早期に犬猫やうさぎの歯のことを
お伝え出来るようになってきているので、やっと私の長年の
目的であった

早期からの予防歯科PMTC

を知っていただけるようになってきました。


歯科の難しい治療ができる獣医師は

圧倒的に少数で、皮膚や耳のビデオオトスコープ治療よりは、

口腔外科手術なので、トレーニングにも時間が必要ですし、

向き不向きもあります。


私も、難しい歯周病の口腔外科や

は歯が折れては歯内治療とかになると、3時間以上かかることもあり1日何頭も体力的にもこなせません。


証明書はどうでも良いけど

飼い主さんは指標になるものが無いと不安だと思うので今回改めて出してみました。


犬猫も人と同じように歯石を目安にしない予防歯科をスタート!

犬猫なら

2歳半までが最低ラインかなと感じています、

思いついたら吉日


さぁ!

あなたの歯石除去されてる

獣医さんは

歯科レントゲンを持ってるでしょうか?


たまに外科の得意な獣医さんは

「歯を抜くのに高解像度の

うちのデジタルレントゲンがあれば、抜く歯位判ります」

とか

「CTあるので大丈夫です」

とおっしゃるのですが

私は「そうなんですか」位でスルーさせていただくようにしています


だって、

抜かない歯周病の治療も出来るのは

犬猫の世界も私が歯科を勉強スタートした頃から普通にアメリカでは

やっているし、それには歯科レントゲンは必須アイテムなのは人も同じ


しかも日本の動物病院や獣医大学のCTはすべて人用で、歯科用のCTでも無いのです


普通のCTは頭や歯の周りの腫瘍の拡がりとかには有効ですが、歯周病でも骨の歯周炎はハッキリ判らないのです



何はともあれ動物病院の掲示板の


歯石を取りましょう!

は要注意ワードです


高齢な犬猫の飼い主さんは

歯周病の酷さを目の当たりにすると

「自分が無知な為に可哀想なことをさせてしまった」と泣かれる飼い主さんも多いのです。


しかも獣医さん達は、ワザと歯石除去をされてるわけではなくてほとんどの獣医さんが、私の知人の獣医大学の教授でも、歯科を勉強されてない方だと

「犬猫の歯石取るだけではだめなの?」

ときいて来られるのが、まだまだ普通なのです。

それは、私の知人の医師の方でも

自分でも歯磨きしていたり、

「歯磨きグッズのとても良いのを買ったよ!」と言って

歯医者に行く必要を感じない方が多いので、医師も獣医師も歯科に関する知識は大差ないのだなと思います。

この本には、日本一歯に詳しい
内科医として西田先生が
色々医療従事者向けに書いておられます

この本には
歯周病菌が
母体の子宮や産道で血液感染することもちゃんと書いておられます
犬猫も、胎盤で子供を育てるのですから同じだと思います。

一般の方も一度読んでみられたらいかがかと思います。