1歳までの、猫の歯と成猫の違いは? | 獣医師りえの犬猫の心と歯・皮ふ・耳のブログ

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兵庫県西宮市のHamilza動物病院(ハミルザ)の獣医師です
飼い主さんに日々犬猫の行動を観察していただきつつ
飼い主さん達と一緒にその子に合った最善な治療法を考えたり
人間の病巣疾患研究会や分子栄養学やチクチク療法等を犬猫に取り入れペットの健康寿命を延ばします!

昨日、8ヶ月の猫ちゃんが

手足を噛んで困るから、他の動物病院で、当院は歯を切る道具があるからとお聞きしたと、来院されました。


私は、

・麻酔して歯科専用のレントゲンで撮影しないと歯を切れるかは不明

・歯を切らなくても、当院では

犬猫の問題行動カウンセリングをしているので、他の猫ちゃんとの関係などを検討し、それで適切な飼い方等のアドバイスで対応可能


とお伝えしました。

結果としては、他のご家族の等も来られないとかで、カウンセリングは受けられずで、


噛んで飼い主さんが、怪我だらけになっているどのことなので、

とりあえずの処置として

★歯は成長過程なので、カットは不可能なので、先を丸める

★この猫さんは、8ヶ月まで

ペットショップに居たので、他の猫達や人との適切な遊び方を学べず、過度に興奮して噛んでいる可能性も考慮し、副作用とリバウンドの1番少ない、精神安定剤の投与


この2つを実施しました。


さて、ではこの猫ちゃんの

歯のカットの処置をしなかった理由ですが



歯科レントゲン撮影した、下の犬歯や前歯です。

下の大きな長い歯が犬歯。
中の黒い抜けて撮影されているのが、歯髄(神経や血管)です。
先は閉じていますが、骨の中に埋まっている咲はまだまだ歯髄が成長している途中で、歯の根が開いたままです。
この状態で、歯の上の方が折れたり、人工的にカットしたら、そとから菌が歯髄に入ってきます。

成長した5歳位の猫さんの犬歯は
こんな感じ
歯の根も閉じて、象牙質が成長し歯髄が細くなっています

上の歯は8ヶ月の子猫さんは
こんな感じ
5歳だとこんな感じ
しっかりした感じがしますよね?

猫の犬歯は、実際は人の親知らずの2倍以上の長さがあります。

猫は若い頃、活発な猫は
壁にぶつかり、犬歯を折ってしまうことがあります。
歯を折ると、露髄(神経と血管が外部に露出すること)するので、
、歯内療法処置をしないといけません。
 



人と同じように感染した神経を抜いて中を消毒して神経の中に詰め物をして細菌がそれ以上骨の中に入っていかないように詰め物をしないといけません
人では、だいたい1回の診察は30分位となっているので、前歯だと3回位、奥歯等は5回位通院する必要がある時間のかかる処置です
猫の犬歯だと、1本1時間半くらいは時間がかかる処置です。
もし、子猫の露髄している時にわ折れたり、カットしたりしたら
根を育てる、生活歯髄切断法等の処置をしないとならず、より複雑な処置が必要となります
 


人だと、子供さんの酷い虫歯の時とかにされる処置になります

犬猫達は、歯を折ったら痛いのですが、痛いとより物を噛んで紛らわせようとするので
やんちゃに見えます。
そのうち、露髄した場所に菌が入り、歯は死ぬので痛くなくなります。
そのまま菌が歯を通じて骨までいき、顎の下や顔に膿が出るまで
数年必要ですし、絶対出るわけではないのですが、
膿が出たら、気づかれる場合もありますし、動物でも歯科に詳しくない皮ふ科の先生だと
難治性の皮ふの感染症や盛り上がってしこりを、作ることもあり腫瘍と間違われて
レーザーをあてたり、されて発表された例もみたことがあります。
発表して下さると、それをみてその先生にご報告して、歯科の詳しい動物病院に行くようアドバイスさせていただいたこともありました。

歯を折る場所は
・猫だとぶつかりが多いので、上下の犬歯

・犬は硬いものを噛ませることが多いので⇒犬猫は人より数倍歯も顎も弱いので、人が噛んだら歯にヤバそうなのは、売ってても獣医さんが推奨してても、噛ませないこと。
どうしても牛皮があげたいなら、ふやかして、柔らかい状態にしてあげてください。
先日、来られた犬の飼い主さんは、牛革ガムをたくさん買ってしまって、私の話しを聞かれ困っておられたので、いっそ煮てしまい牛スジコンニャク?にして食べてみたら?(笑)と、ほぼ冗談ですがご提案してみました。 

犬の食べ物は人は基本食べれるはずで、人の食べ物は犬猫は食べられ無い物が多い(ネギ類やチョコ等)ので、人より何でも弱い犬猫達の食べ物は、食品基準法があるだけで、人も食べられるレベルであるはずなのです。
というか、是非ともそうあって欲しいです。

どうか、この子が落ち着いて
暮らせ、歯をこれ以上カットすることを、飼い主さんが希望されないで暮らせることを祈ります💦
今回は、歯を丸めるのも最低限でしたが、1歳2ヶ月位になると、もう少しは歯の先を丸めることが可能です。
今回去勢は、ウィルスの血液検査も、急だったのでしませんでしたが、次回歯をチェックする時に、一緒に必要なら去勢しても良いかなと思っております。

当院では猫さんや犬さんの、困った行動だけでなく、飼い方や遊ばせ方の個別カウンセリング指導も、1時間単位で予約制でやっております

噛むから歯を切る!と思いこまず、是非行動カウンセリングもご利用ください。
簡単な犬猫の遊ばせ方動画は
りえ先生のYouTubeに色々あります!

コレはネコさん用