日曜日に長い時間、
青い空を見上げて考えた。




大阪ビル放火事件

無念で、無念で、怒りよりと悲しみしかない。


テレビ報道を見ると、

火災の原因
ビル火災の盲点
一酸化炭素中毒

など、
ビル火災"事故"のような話になっている。


精神科、心療内科のクリニックだからこそ
犯人が精神疾患を患っていた可能性はある。

そうであっても、
これは無差別大量殺人という
レアな事件に留まらず、
自分は
我々もよく経験する
"モンスターペイシェント"の
異常行動のような気がするのだ。



医者が診療中に、
他人に攻撃されることはあり得ないと思っている。
どんなに問題があっても、
診療中だけは、
患者さんのために必死に生きている時間なので、
危害を加えられること自体があり得ないのである。

だからこそ、
防犯カメラを置けない医療機関で
それが

火なのか❓
刃物なのか❓
銃なのか❓

何であっても、
防御できない。

予防策はなかなか立てられないのである。



暴言なのか❓
暴行なのか❓
理不尽な言いがかりなのか❓
または、SNSでの誹謗中傷なのか❓

これならば許させる事なのか⁉️


大前提は、病のある患者さん相手のため
医療機関としては、
あらゆる訴えや求めを、
受け入れなければならない現実もあるのである。






わずか100人強の
埼玉医科大学医学部20期生。

医師国家試験に合格して、
何としてでも医師になろうと、
6年間
同じ講義室や実習室で日夜を共にした。


埼玉医大は西埼玉の僻地にあるので、
全国から集まった医師の卵の
ほぼ全員が一人暮らしをしている。

だからこそ、団結力が高い。


そして、悪く表現されることもあるが、
私大医学部生は
比較的ゆとりのある家庭で育ち、
他人を蹴落とすようなことはせず、
仲間の事を誰よりも考える…
優しい人間が多い。

それもあって、研究職や教職よりも
地域医療を志す医師が多い。

良い意味での
生まれ育った故郷を愛する
お坊ちゃん、お嬢ちゃん
が多い。

西澤も例外ではなかった。


西澤は自分と同じく、
17人しかいない現役入学の一人で、
最年少で弟キャラだった。

コテコテの大阪人で
大阪弁を話しながら、大阪人らしい
明るく真面目な良い男だった。


テレビで見た患者さんのインタビューで
"予約なんて要りませんよ。
いつでも診ますよ"
と言っていた、
優しくて良い先生だった…。
と言ってる方がいた。


埼玉医大卒業生の
そして西澤の
優しさを表現していた。


自分にとっては
火災の原因とか
ビル火災の問題など、
どうでもいい。



精神疾患であっても、他の疾患であっても、
西澤は、患者さんのために、あの場所で
命を賭けて頑張っていたに違いない。

トラブルがあったとしても、
問題があったとしても、
患者さんのために
汗をかいて頑張っていた時間だ。


そんな西澤の
命を賭けて頑張っていた
仕事場=クリニックに
火をつけて、
僕ら20期生の
かけがえのない仲間の命を奪った犯人を、
自分は絶対に許せないのである。


何も知らない18歳の頃から
一緒に勉強して、
そして現在進行形で学問を追求し、
患者さんのために命をかけて働いた西澤君。

無念だよね。


西澤の残してくれた事が何かを、
自分なりにもう少し時間をかけて考えて、
前に進みたいと思います。



ご冥福をお祈りいたします。