幕が開くと口上です
観客に向けての口上が終わると、御簾内で
スタンバイする河東節十寸見会に向かって
「河東節十寸見会御連中様、
どうぞお始めくださりましょう」
と声を掛けます。
御簾内向かって丁寧に挨拶するのは河東節
十寸見(ますみ)会が市川團十郎家贔屓の
旦那連中の会だからです。
歌舞伎公演に素人が出演する珍しいケース
です。(お三味線は玄人です)
この挨拶でタテ三味線の「ハォー」という
掛け声で演奏が始まります。この「ハォー」
という掛け声は河東節独特の掛け声だそう
です。
春霞立てるやいづこ三吉野の山口三浦うら
うらと、うら若草や初花に
(この後は一部省略して)
根ごして植ゑし江戸桜、にほふ夕(ゆうべ)
の風につれ、(鐘がゴーン)鐘は上野か
浅草(ここでも鐘がゴーン)に、其名を伝ふ
花川戸。遠近人(をちこちびと)の、呼子鳥
(よぶこどり)いなにはあらぬ逢瀬より此処
を浮世の仲之町。よしやかわせしこの方を、
この間に白玉が花道に出てきます。
河東節はここで一旦お休みして花魁のやり
取りになります。(御簾内に幕が降ります)
(つづく?)