「停止線を越えていれば信号無視にならない」……わけではなかった話 | 日替わりライテク

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イチローは、首位打者をとった年ですら、フォームを変えていたそうです。『今年こそ最高のフォームだ』と。それで結果が悪くなるときもあったけれど、後退も成長のためには避けられないと信じていたそうな。ここで書かれたライテクは、そんな感じの、現時点の知識です。

※素人の記事です。

 

 

 

YOUTUBEで、ある交通トラブルの動画を見ました。

青信号に変わり直進しようとした自転車に対して、既に赤信号に変わってしまった右折中の車がクラクションを鳴らした」

というものです。

(以下、『若葉VSチャリダー事件』という。)

 

 

 

 

こちらの動画のコメント欄にて、

「交差点に入っちゃってる右折車の邪魔をするな」

とのコメントをみつけましたので、検証したいと思います。

 

 

 

 

 

 

まず、信号は守らないといけないのでしょうか?

 

~(略)~ 車両等は、信号機の表示する信号 ~(略)~ に従わなければならない。

 

 (道路交通法7条)

 

 

あたりまえですねw。

では、次に信号の意味について調べます。

 

赤色の灯火

 

 

一 歩行者は、道路を横断してはならないこと。
二 車両等は、停止位置を越えて進行してはならないこと。
三 交差点において既に左折している車両等は、そのまま進行することができること。
四 交差点において既に右折している車両等(多通行帯道路等通行原動機付自転車及び軽車両を除く。)は、そのまま進行することができること。この場合において、当該車両等は、青色の灯火により進行することができることとされている車両等の進行妨害をしてはならない。
五 交差点において既に右折している多通行帯道路等通行原動機付自転車及び軽車両は、その右折している地点において停止しなければならないこと。

 

(道路交通法施行令2条1項)

 

 

 

以上により、赤信号=停止線を越えて進行してはならない』

とわかります。

 

(↑"超えて"じゃなくて、"越えて"なんですね。場所的通過は、"越えて"を使うそうです)

 

 

 

逆にいえば、赤信号であっても、停止線を越えていれば、そのまま進行することができる』

と読めます。

 

 

が。

 

 

四 交差点において既に右折している車両等 ~(略)~ は、そのまま進行することができること。この場合において、当該車両等は、青色の灯火により進行することができることとされている車両等の進行妨害をしてはならない。

 

↑このように、「赤信号になってしまったあとに右折する場合」、青になった側の車両等が優先になります。

 

以上のことから、『若葉VSチャリダー事件』では、チャリダーに優先があったと考えられます。

 

 

 

 

さらに、

車両等の運転者は、法令の規定により警音器を鳴らさなければならないこととされている場合を除き、警音器を鳴らしてはならない。ただし、危険を防止するためやむを得ないときは、この限りでない。

 

(道交法54条2項)

 

クラクションは、

①法令の規定があるとき

②危険を防止するためやむを得ないとき

 

の場面でしか鳴らすことができません。

 

 

青で直進するチャリダーが危険なわけないので、クラクションを鳴らした行為そのものも正しくありません。

 

 

 

 

 

 

 

さて、ここからが今日の本題。

 

赤信号であっても、停止線を越えていれば、そのまま進行することができる』

……本当にそうなのでしょうか?

 

 

 

この俗説には、以下の問題があります↓

 ~(略)~ 車両等は、その進行しようとする進路の前方の車両等の状況により、交差点 ~(略)~ に入つた場合においては当該交差点内で停止することとなり、よつて交差道路における車両等の通行の妨害となるおそれがあるときは、当該交差点に入つてはならない。

 

(道交法50条1項)

 

これは、

『交差点の先が詰まっていた場合、停止線で止まっていなさい』

という規定です。

 

 

 

……つまり、

赤信号であっても、"停止線を越えた位置にいれば"、そのまま進行することができる』

けれども、

『先が詰まっているなら、そもそも"停止線を越えた位置までいけない"』

 

ということです。

 

 

 

 

ここから、以下の3つがまとめられます。

 

 

 

 

①停止線の"手前"赤信号になった場合→進むNG(あたりまえ)

②停止線の"手前"青信号だったが、先が詰まっている場合→進むNG

 

③停止線を"越えたところ"赤信号になった場合→進むOK

 

 

 

結局、赤信号でも進行できる場合とは、

A,『先が流れている場合』で

B,「停止線を越えて止まってしまった」とき

となります。

 

 

くり返しますが、

"先が流れていなければ"、青信号でも停止線を越えることが許されません。

 

その場合、停止線の"手前"にいなければなりませんから、

その後、赤信号に変われば、「①停止線の"手前"赤信号になった場合」になってしまい、進むNGとなります。

 

 

 

 

では、『先が流れている』にもかかわらず、「停止線を越えて止まってしまった」シチュエーションを考えます。

なくね??

 

 

 

いや、あります。

『緊急車両がちょうど交差点に入ってきたとき』です。

……ん?

 

交差点又はその附近において、緊急自動車が接近してきたときは ~(略)~ 車両 ~(略)~ は交差点を避け ~(略)~ 一時停止しなければならない。

 

(道交法40条1項)

 

やはり、この場合も、停止線(交差点)"手前"で止まることになります。

 

譲った後に赤信号に変われば、またしても、

「①停止線の"手前"赤信号になった場合」

となります。

 

 

 

 

 

 

 

まとめます。

「停止線を越えていれば信号無視にならない」

 

のですが……

 

そもそも、「停止線を越えて止まってしまう」シチュエーションがあまりないように思われます。

 

 

『先が進んでいる』なら進めばいいだけですし、

『先が詰まっている』なら進めないわけです。

 

 

 

結局、大半のケースは、

『先が詰まっている』のに進んでしまい、赤信号になってしまったため、

 

「停止線を越えていれば信号無視にならない!!」

と、進んでいるだけなのではないでしょうか。。

 

 

 





余談。

信号機の灯火の配列は ~(略)~ 横に配列する場合は右から赤色、黄色及び青色の順

 

(道路交通法施行令3条1項)

 

実は上のイラストは、この規定を忠実に再現しています。

…ってか「左から」って書いたほうがよくね、、??