HMSで、待ち時間、オフロードクラスのバイクでこういう遊びをしていました。
エンジンをかけないまま、立ち乗りでバランス立ち(以下、静止立ちという)するというものです。
慣れてくると、まるでトライアルのように10秒くらい立っていられます。
このとき気づいたことがあります。
それは、『ステップにかかる体重分、反対側のハンドルバーを押し下げるとバランスがとれる』ということに。
静止立ちをするとき、一番難しいのは、乗る時です。
片足(たとえば右足)を地面から上げる瞬間、もっともバランスが崩れます。
もう一方の足(左足)に全体重が移るからです。
すると、車体は左側に傾こうとするはずです。
この時、それと同じ量だけ、反対側のハンドルバー(右側)を押し下げます。
(車体を後部からみた図)
これにより、まるで天秤の左右に同じ重りを乗せたかのように、バイクは水平に保たれます。
つまり、ハンドルバーは、車体を倒したり、起こしたりするために有効なパーツであるということです。
ところで、私は、ある二推の指導員の教えが強烈に残っているんです。
『成人男性が本気になれば、ステップだけで車体を倒せる』
250㏄クラスなら、かけたサイドスタンドの反対側へ、足だけで、その車体を倒すことすらできてしまうと思います。
車体を後部から見た時、ステップはその車体から張り出しています。
張り出している部分を押せば、車体を倒しやすいことは容易にイメージできるかと思います。
さて、ここで、HMSイントラが、上司イントラに言われたという話をご紹介します。
『なら、一番張り出しているハンドルは使わないの?』
言わずもがな、テコの原理により、より張り出しているハンドルのほうが、その車体を倒す効果は高いはずです。
我々は、ハンドルは横に切るものだという先入観のもと、これを発展的に活用できていませんでした。
ふとここで、考えてみましょう。
車体がフルバンク停車したとき、ハンドルを持ち上げることで引き起こす方法があります。
そう、ハンドルだけで、200㎏ある車体を起こす(角度を変える)ことができるわけです。
そこで、いつものAさまのレクチャーを思い出しました。
『慣れてきたら、パイロンあたりでリーンアウトにしてみな』
その時、彼は、ハンドルを持つ仕草を、肩より傾けていたのです。
なるほど、いくつかのAさまのフォームに共通していることは、進入の段階で、ハンドルが人間より先行して傾いていることに気づきました。
つまり、リーンウィズの発展形が、この、「車体が先に倒れることによって生まれるリーンアウト」なのではないでしょうか。
そこで、『エントリーの段階で、倒したいほうのハンドルバーを下に押し下げて』みたのです。
すると、まるでパイロンに這うように車体が倒れてくれます。
さらにこれは、「切り返しが発生する場面で、バンクが間に合わない」ときにも有効と気づきました。
もちろん、「ハンドルを水平に切れるテクニック」と「体幹の維持(体重をハンドルに乗せない)」ができて初めて可能になる発展的なテクニックですが、タイムを1コーナーずつ削るために、いいエッセンスかもしれませんよ♪