あくる朝、直腸カメラの検査に向けて自宅で準備をする
大腸内部をカメラで検査する都合上
💩があっては差し支えるとの事で・・自宅にて
下剤を飲みまくる。。。これがマズい。
いや、途中で不味くなる
モビプレップという粉末状の下剤を水で溶いて
真水と一緒に飲みまくる
最初は何とか腹に納まるのだが
美味くもない液体を延々と体内に取り込むのは
ちと辛い
さて、何とか飲み終わったら
次は!
「来たーーー!」
無限トイレの時間だ
何せ、腸内をすすぎ洗いするのだから
そりゃもう、ビシャーって感じ(笑)
後に登場するドクターから聞いたのだが
これでもメーカーは「味」の改良に拘っているらしい
現在でコレなら、昔はもっと不味かったかな
ちなみにメーカーは、あの「味の素」だって
「もう何も出ません」
というまでトイレを済ませ
トイレインターバルが長くなったタイミングで
病院へ向かう
・・・途中で漏らしてしまわないかと心配だったので
嫁さんに運転を任せた。
・・・病院に到着
急転直下
ちょっと確認の検査をするだけさ・・・
病院での受付を済ませ、順番を待つ
「ここで検査着に着替えてお待ち下さい」
ガウンのような検査着に着替え、しばし待つ
「ここに横になってねー」
検査機器がずらりと並ぶ室内のベッドに横たわる
間抜けな紙製のパンツを
ドクターは手慣れた手つきで捌いている
「内視鏡は初めてですか?」
「え・・・ええ(汗)」
「始めますよーーー」
「ぐ、グググ・・・ううっ」
「チカラ入れないでねーーー」
「と、言われましても・・」
腹の中をいつもと逆の方向へ
物体が移動するものだから、無意識に力んでしまう
痛いと言うより苦しい、そして屈辱的(笑)
「ココがね大腸の終点でーす
ほらコレが盲腸」
知らない人も多いけど・・
大腸の検査は、カメラを終点まで押し進め
「後退」しながら検査をするのだ
私も知らなかった。。。
気さくに話をしてくれるドクター
これも検査を楽に進めるコツだろう
「なおそうやさん、モニター一緒に見る?
なかなか見る機会無いでしょー?」
「ええ、ぜひ・・」
液晶モニターを傾けてくれる
「ずっと生命維持の為に頑張ってくれてるんですよー」
「フムフム・・・
この色、ツヤ・・・約肉屋さんで見たことありますね」
「そりゃ、同じ哺乳類ですからね」
「ワハハハ!」
和やかなムードで看護師さんも笑ってる
カメラは次第に出口に近い箇所を照らし出す
「あ!・・・」ドクターの顔色が一変した
私も「!」
そこには出血の原因であろう巨大なデキモノがあった
その先端は素人が見ても
体内に有ってはならない色をしていた。
ドクターが言葉を選び出す・・・
「コレ・・ね、私の見る限りは・・ガンだね」
隣に居た看護師の深い溜息が聞こえた
さきほどまで和やかだった検査室の空気が一変
慌ただしく画像撮影を始めた
今の時代、それが「ガン」だろうと隠しはしないのだ
なぜなら治りうる病気だから
患者とモニターを見ていて
あれこれ繕い出すのも変な話だ
しかし私の心中は、大きな波紋を消せなかった
これは夢だ、悪い夢だ・・・
ヘナヘナと全身の力が抜けていく
「取れますか?」
私の精一杯の質問だった
「手術かな・・・」
「人工肛門を造って」
心を更に波立たせる答えだった
えええ?前日の検査で・・・
えええ?マーカーは正常値だったのに?
えええ?なんで俺が?
もう無限に「?」が湧いてくる
そして家族が居る男性なら思うだろう
「働けなくなったら?どうしよう・・・」
言いようの無い恐怖感が
止めどなく覆いかぶさる
検査は終わった
待合に居た家内が不安がっていた
予告されていた検査時間より長かったからだ
「何かあったの?」
「・・・悪いものが見つかった
多分ガンだって」
あの嫁さんが・・・
どんなに酷い喧嘩をしても
強気に言い返してきたアイツが
ボロボロと泣き崩れた。
地域一番の大病院
ラッシュ時の駅のごとく人々がすれ違う
その中に、ポッカリと暗い空間
それさえも気づかぬスピードで人生が交差する。



