いよいよの朝
おっ早うございまーす!
看護師さんの元気な声で目が覚めた
時計を見ると午前6時すぎ
朝の体温・血圧チェック
今日は手術ですが
体調に変化は無いですか?
緊張でぶるってます・・・
手術の二時間前からは
水分も取らずにいて下さい
は・はい・・・
後で手術着をお持ちしますので
そちらに着替えて待機してください
は・・はい
未知の領域に踏み入れる時は
誰でも緊張するものだが
今回は特別に張り詰めた気持ちになってしまう
間もなく、家内が到着
正確な時間は決まった?
いや、それが・・まだなんだわ
そんなやりとりをしているうち
看護師長が柔らかい笑顔で
「なおそうやさん、準備が整いました」
ついにコールがかかった
予定時間より、少し早い「お呼び」だ
タオル地のような手術着に着替える・・・
消毒の匂いで咳き込みそうだ
千手観音
ま、万が一の時は後を頼んだぞ!
ワケのわからないセリフを嫁さんに残しながら・・・
ドラマなどでは
ここでキャスター付きのベッドに乗せられて
ガラガラと移動するハズだが
普通にスタスタとあるいて手術室へ・・・
ココですよー
自動ドアが音もなく開き
「敷居」を跨ぐ
数々の機材が整然と並び
その奥に「居た!」
無機質な美しさと呼ぶのが相応しい
その姿は現代の「千手観音」
複数本の「救いの手」をLED照明が
眩しく浮き上がらせる
ダヴィンチよ・・・救っておくれ
すぐ奥に私を迎え入れるベッドが見えた
本日の手術に臨むべく10人のスタッフ
二十の瞳が私を見ている・・圧倒される
ここに横になって、頭の位置合わせますねー
手慣れた手つきで
バイタルって言うの?色々なセンサーを貼り付けて
あっという間に準備完了
あ、メガネ外すの忘れてた・・・
マスク付けますよー
ぼーっとするお薬が入ってまーす
全身麻酔とは、いかなるものか
できるだけ抵抗してやるぞー!
静脈から眠くなるお薬入りますよー
ガシャガシャと器具を片付ける音
何やら確認をすすめる声
・・・え?何してたんだっけ?
あ、そうか・・・手術を受けてたんだった
「なおそうやさん!わかりますかー?」
反射的に頷くと
ズルズルズルーっと喉から管が抜ける
オエエエっ
ぐうっ!苦しい!息ができない
痛えっ!すごく痛え!
おしっこ出そう!
苦しい!
痛い!
トイレ行きたい!
うわ言のように繰り返していた
痛みが強かったら
痛み止め入れますよー!
は、早く入れてくださーい!
おしっこは勝手に出てるからねー
あ・・コレが導尿ってやつか
少し目を開けると
執刀のK先生が視界に入った
手術は予定通り終わりましたよ!
私は安堵のリアクションができず
ただ「うん・うん」と頷くのが精一杯
ありがとう!スーパードクターK!
麻酔の残りか
視界のピントが合わない・・・
メガネかけてなかっただけだった
人生最大の「山」を越えたと思ったら
もうひとつ「山」がありましたとさ・・・



