てんやわんやの緊急入院・・・
その日は「看護度・重」と見てもらったようで
ICUにお泊りとなった。
その晩はずっと下血が続く
出血の間隔はいくぶん長くなったものの
30分に一度、廊下のトイレに駆け込んでは放出
「血が足りなくなっちゃんじゃない?」と
しょうもない質問をしてみるも
「ああ~
なおそうやさんのタイプはダイジョウブ」と
笑いながら過ぎて行った。。。俺のタイプって??
人間の身体って、やっぱりスゴイと思うのは
それでも出血が治まってくる事だった。
明け方になるとトイレタイムの間隔は長くなり
明くる日には、ほぼ出血が止まった。
告知
「検査結果を伴った告知」の日
これが正式な診断となる。
「午後からドクターとお話をしましょう」
ベテランの看護師、おそらく「長」であろう
ふわりとした空気を纏ってはいるが
芯のある目線にたじろいでしまう
家内も予定の時間ピッタリだ。
カンファレンスルームへ
私と家内、そしてドクターと看護師
四人で向き合う
検査の結果、心配な所が見つかりました
はい・・・
場所は直腸の下側、肛門にごく近い場所で
腫瘍の大きさは4センチ
細胞を調べた結果「がん」です
はい・・・
先生...私は助かりますか?
適切な処置をすれば
根治の可能性は十分にあります
どのようにすべきですか?
腫瘍の大きから見て
手術による切除が適用になると思いますが
これから検査をして、それが可能かを調べます
手術ができないケースも?
がんが広範囲に転移してしまっている場合は
手術ができない事もあり得ます
その為にも
詳しく検査をする必要があります
・・・覚悟はしていました・・が
やはりショックなものですね。。。
はい
多くの患者さんや御家族は動揺されます
エアコンの効いた部屋が
寒ささえ感じさせる、乾いた空気になった
手術は大掛かりなものになるのですか?
検査後は「消化器外科」の担当になりますので
詳細はわかりませんが、恐らく開腹手術かと
あの・・話が前後しますが
内視鏡での切除とかは無理ですか?
腫瘍の大きさ、そして組織への浸潤の度合いから
それはできません
術後は、人工肛門での生活になりますか?
それも外科の判断によりますが
恐らくそうなると思います。
これから遭遇するであろう過酷な現実に
血の気が引いていく。。。
様子を察してか
同席していた看護師が言葉を添える
芸能人でも、ストマ(人工肛門)で
活躍された人もいるんですよ!
ほら・・・渡哲也さん
つまり、社会生活に大きな制約を受けることは
ありません
ああ・・・大門団長もそうだったのか
サングラスとショットガンでも買うか・・・
スリーピースの背広も
家内は何も言わず
用意したメモ用紙に要点を記録している
医療に従事されている方々
この「告知」が本当に辛い時間かと思う
そして同伴している家族も
予定を大きく超えて、話し合いが続いた
ドクターと看護師の院内PHSが
幾度となく呼び出し音を鳴らす
それでも二人は
「何か質問はありますか?」と
聞いてくれる・・忙しいだろうに。。。
これから始まる検査の予定を聞いた後
カンファレンスは終わった
ぼんやりとした想像が
現実へと姿を変えていった。
