2006年式 メルセデス・ベンツSLK 型式R171 WDB171

当時爆売れしたEクラス・W211をベースに開発された

2シーターオープンモデル

まだまだ現役で、乗り続けたいオーナーも沢山いらっしゃると思います。

 

ただ・・近年、SLKのみならず

この時期に搭載されていたエンジンコンピューターに故障が頻発・・

名機のひとつボッシュ製「ME9.7」

Boschとダイムラーの到達点と言えるでしょう。

この後、ダイレクトインジェクション化されて行きますが

それらは、このME9.7の派生型で

いかにこのユニットが優秀であるかを物語ります。

 

でも・・・鉄壁であったME9.7にウイークポイントが

出始めてきました。。。

 

基板にある、電解コンデンサーからの液漏れが悪化し

基板をショートさせてしまいます。

これまで多くの症例を見てきましたが

前兆なくエンジン始動不可能となるケースも見受けられ

深刻なトラブルとして、近年「浮上」してきました。

特にV6モデルでのトラブルが多いように感じます。

 

こうなると、充電不良や始動性悪化

運が悪いとその場でエンジン始動不可能となります。

 

対策としては、一刻も早く内部のデータ

・エンジン制御

・イモビライザー

これらを救出して、良コンディションの中古や社外新品へ

データを移植するのが具体的な対策ですが・・・

中には「データ通信不可能」となるユニットが出てきます。

 

今回のSLKも、残念ながらデータ救出不可能でした。

 

この状態になると

UsedのECUを初期化して

現車に繋いでプログラミング・・・etc

かなりしんどい作業が必要となります。

もしくはDさんで新品か?

最悪、廃車か・・・

 

これまで

こうなった場合の対策幅を広めようと考えていました。

 

今回は、完全に通信不能となったユニットから

CPUやメモリーを動作基板に移し

そこからデータリカバリーを試みる方法を取りました。

 

言うのは簡単ですが

メインCPUはBGA Ball Grid Allay という方式で

基板と接合されていて、簡単には「付替え」できません。

このような面を取っても、ある意味「鉄壁」のユニットな訳です

やれるもんなら、やってみなw

と言わんばかりのプロテクトですね。

 

やってみようではありませぬか!

 

クルマ用のハンダは高融点タイプですので

通常の設定では無理です。

この温度設定の骨子「温度プロファイル」の難しさに

悩まされてきました。。。

 

温度を上げ過ぎればCPUが壊れ・・・

温度が足りなければ基板が壊れ・・・

これまで壊した数、数十台(笑)

やはり「鉄壁」だわ。

 

仕事の合間を見てはプロファイルを見直して

設備も工夫して

実用化まで大変でした。

 

その甲斐あって、CPU移設は大成功!

 

データリカバリーもOK。

 

今後も増えるであろう

この困った状況に一撃を加える

「ブレイクスルー」となり得るでしょうか!?

 

今回は専門技術のお話でしたーーー