今生の恋・・・最後のラブレター -3- | なおそうやのブログ

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使い捨ての時代に逆行し
 「買わない」「捨てない」「諦めない」をテーマに
展開するエコロジカルなブログ

 

70歳を超えてなお

矍鑠と事業所の訪問や

訪問客の接待をこなす「じーちゃん」

 

四十、五十は洟垂れ(はなたれ)小僧
六十、七十は働き盛り
九十になって迎えが来たら 百まで待てと追い返せ

 

かの渋沢栄一の格言だが

じーちゃんの座右の銘でもある。

 

体が健康だったら

どれだけだって頑張れるんだ

 

いつも口癖のように

独り言のように呟いていた

 

今になって思えば

若い頃、命に関わるほど病弱だった

じーちゃんにとって

「健康」と言うものが

どれほど大切で、有り難い事かを

人一倍感じていたのだろう・・

 

八十を超えても衰えず

「働き盛り」

忙しい毎日を送っていたが

ある日、ふとした事で
腰を痛めてしまった。
 
若い頃に痛めた「腰椎」の
痛みが再発してしまったのだ。
 
「じーちゃん
  少し休んで・・無理はダメだよ」
 
私はわかっていた
働く事ができなくなったら
心の支えが消えてしまうことを・・
 
じーちゃんの眼光が
みるみる衰えていくのがわかった。
 
かかりつけの先生は言う
 
「老い」とはつまり・・
  治癒力の減少なのです
こればかりは
 どんな医学でも解決できない
そして、「老い」には
   誰も勝つことはできない
私も・・です
 
 
梅雨入りのニュースが報じられる頃
じーちゃんは90年の人生に幕を下ろした。
 
当時はセレモニーホールで
葬儀の一式を行う事は定着しておらず
それぞれの家で
式を執り行うのが一般的な時代だった。
 
業者の方が
生前の生き様や趣味を
聞かせてくれますか?と
メモを取りながら
 
好きな食べ物は?
 
「焼きミカン」
     「はっ?」
 
担当者が、少しうつむきながら
肩を震わせている・・・
笑いをこらえているのだ。
 
すげーよ、じーちゃん
世を去ってなお、人を笑顔にできるとは!
 
寝込む前まで
本当に働き者だった事
甘いもの🍊が大好きだった事w
 
そして、ばーちゃんの悪口を
     一度も言ったことが無い事
 
当時は最後の「お清め」は
家族が行うのが通例だった。
 
「俺がやる」
 
白無垢の手ぬぐいを用意し
桶に入った水に「湯」を入れる
 
旅立ちの準備だ
これまでの苦労も拭っておくのだ
この間、お清めをする者以外は
部屋に入ってはいけない
 
白装束に着替えようか・・・
 
男同士だもの
恥ずかしい事なんかあるもんか。。。