もうこの世を去って15年になる祖母

明るい笑顔、優しい声・・・

 

ばあちゃん!

        お茶ちょーだい

 

私が幼い頃、何百回このセリフを言っただろうか

 

いや、特別「お茶」が好きってワケじゃなかったんだ。。。

「お茶ちょーだい」

そう言うと、祖母が嬉しそうな顔をして

お茶を入れてくれるから・・・

その顔を見たくてさ、もう25メートルプール一杯分くらいは

お茶を飲んだかもしれないな。

 

とある晴天の休日

私と、当時お付き合いをしていた彼女と

三重県は鳥羽までドライブをしながら

ミキモト真珠島というパールの博物館へ立ち寄った。

 

 

それは立派な博物館で

真珠養殖の先駆者である 御木本幸吉 の生い立ちから

真珠の物語まで、楽しく学べたひと時

帰りの道すがら、何か記念になる物を買っていこうと

大型船を改造したお土産屋さんに入ったんだ。

 

どうしてそれを選んだかは覚えていないけど

きっと喜んでくれる・・・と手にしたのは

黒真珠のネックレス。

 

20代前半、なんとなく親との会話が少なくなって

祖母は、時折寂しそうな顔をしていたんだ・・・わかってた。

 

男の子って、大人への階段を登る時

        一度は親とギクシャクするんだよね

 

ネックレスって言っても、お土産屋さんで

気軽に買ってこれるくらいの安物なんだよ・・・

 

でも

「はいはい、お茶ねー」

と言ってくれてた時と同じ笑顔を見たくて

                ただそれだけだったんだ

 

その日の夜遅く、そのお土産を手渡そうと思ったら

もう寝てた(笑)

 

祖母が手廻りの小物を置いておく

小さな「盆」の横に

 

「お土産だよー 

        いつもありがとう」

 

とだけ書きなぐった手紙を添えて・・・

出来の悪い孫からの気持ちばかりのプレゼントであった。