こんな生活をもうどのくらい続けただろうか?? 

通いだして半年で外に出れない状態になった。 

もうこの地獄のような生活を初めて1年になる。

ほんまに治るんか??? 

確かに体のほうは健康になっていた。便秘も治り片頭痛が起きる回数も減っていた。 

また、皮膚のほうも掻きむしっても皮がはるのが早い。

以前より新陳代謝が良くなっているのは実感できていた。

でも、もうこの地獄生活も1年以上。

さすがに疲れてきた。この1年全然遊んでいない 

外に出るのは、通院と夜中自販機でタバコとジュースを買うくらい。 

僕の唯一の楽しみが、夜中横の川で弟達とバスフィッシングをする事だった。 

この時だけが唯一痒みを忘れ、笑う事ができた。

相変わらず状態は良くなく、毎日が地獄の日々だった。

僕はピーという事を友達に隠していた。

心のどこかで、アトピーという病気が恥ずかしいという気持ちがあったのかもしれない。 

そんな事もあって、僕が闘病中というのは誰も知らなかった。

唯一知っていたのは親友で同じピーのヤックンだけ 

だから、遊びに誘われるのが、とても辛かった。


ある日の事、その日はいつも以上に痒みが強い。 

激しく痒い。もう朝から何度掻きむしり、血と汁だらけになっただろうか。

血と汁だらけになっては、またティッシュで拭き取りの繰り返し 

その日の夜は食事も口に通らない。 

何か朝から体が変。痒みが強いだけじゃない。

この日の僕は、夜の8時から朝の8時まで12時間、顔を叩き続けた。

何度もオカンが止めにきたが 

「もうほっといてくれ!!!!」と言って聞こうとしない。

というより止める事ができなかった・・・ 

みんなが寝れない。近所迷惑になる。そんな事を考えれないほど 

この日の痒みはきつかった。


12時間叩き続けた。パンパンパンパン顔を叩き続ける音。

頭はボーとする。寝不足のうえに何千回・何万回と叩き続ければ 

そりゃ頭もボーとする。

手には、血と汁がこびりつき、汚い軍手のようになっていた。

顔を触るといつもと感触が違う

カラッとしていて、何かブヨブヨする 

「なんじゃこりゃ?」 

叩き続けた結果、僕の顔の上には分厚い血と汁でできたカサブタが張り付いている。

顔とその分厚いカサブタの間に空気が溜まり、顔を押すとブヨブヨする 

血と汁が垂れ流れる顔もたいがいひどいけど 

このカサブタマスクもひどかった。 

ほんと映画の特殊メイク

カサブタマスクマンは部屋でぐったり。

オカンが心配で部屋にくる。

オカンもこの顔には驚いたと思うが、敢えて何も言わなかった。

「何かめっちゃしんどいねん・・・いつもよりも」 

『そりゃあんた、何時間叩き続けたよ。寝てないしな。それだけ叩き続ければしんどいの当たり前やわ。』 

「ちょっと熱あるんちゃうかな?何かほんま死にそう・・・」 

『あんためっちゃ熱あるやんか・・・・』 

測ってみると40度以上あった。人生初の40度オーバー

この日僕は初めて幻覚を見た。

横になって天井を見たらグルグル回ってる。他にも何かみたな。なんやったんやろ??

「あっあかん!!!俺まじで死ぬかも」と本気でそう思ったわ。


熱のしんどさで、久しぶりに痒みを忘れて夜まで寝る事ができた。

痒みよりも熱のしんどさのほうが上やったんやろうね。

しかし、当然というかやっぱというかピーはそんなに僕を甘やかさない。

スパルタピーは僕をいじめる。

夜になって、40度の熱がでてるのに激しい痒みが襲う。

洗面台に行って、激しく掻きむしる。

カサブタマスクが一気にはがれ落ち、僕の足元にはカサブタマスクの残骸。

ほんの数時間だけやった。顔がカラッと乾いていたのは 

また、血と汁が顔から吹き出し、玉のように流れ出す。

血と汁でビチャビチャなるなら、まだカサブタマスクのほうがマシやな 

鏡を見る 


もう何度こんな顔を見てきただろう 

ほんまに俺元の顔忘れてしまった

男前やって言われた頃が懐かしい

もういいんちゃう

もう疲れたわ・・・・・ 


鏡にうつるブサイクな自分を見ていたら何だか笑いがでてきた。

俺はなんのために生きてるの?何が楽しくて?

生きてる意味ある?もうええんちゃう

僕はヘラヘラ笑いながら、炊事場へと向かう。

そして、包丁をとりだし座り込む。

包丁を首筋に充て、目を閉じる。

包丁の冷たさを首筋に感じ、グッと力を入れた 

その瞬間、オカンから包丁を取り上げられビンタをされた。 

「あんた何してんの???トモアキ・サトルちょっと来て。兄ちゃんが・・・・」 

弟達が慌ててくる 

「兄ちゃん死のうとしてたんや・・・・」 

弟達は何も言わずに僕の手を片方ずつ強く握りしめる。

そして、ワンワン泣き出した。

二人とも何も言わない。ただワンワン泣きながら僕の手を握る。

僕は一時ボーとしていた・・・・・ 

徐々に目が覚めてくる。 

涙で滲んでよく見えない・・・・ 

目の前には弟達が僕の手をさすりながら、号泣していた。

オカンはとても悲しい顔をしながら泣いていた。



「俺は何てことをしてしまったんだろう・・・・」 


今までどんなに辛くても死のうとは思わなかった。 

どんなにつらくても 

でも、この日僕は初めて「もういいか」と思った。 

死ぬ怖さよりも、この生活が続くのがつらいと思った。

逃げたいと思った。

「お母さん・トモアキ・さとる・ほんまごめん。ごめんなさい。」 

兄弟3人抱き合いながらワンワン泣いた。 

この日から僕は、どんなつらい事があっても明るくいこうと決めた。

泣きごとや暗いことはやめようと決めた。

この日、ほんとの意味でピーと戦う覚悟ができたのかもしれない。

辛くても自分に出来ることはしようと・・・・・ 


この日を境くらいに徐々に僕は回復していく。 


2年に及ぶ出口の見えない戦いにやっと光がさしてきた。







俺は1度本気で死ぬ事を考えた。 
俺はよく強いねと言われる。
悩みないやろ?と言われる。
それは、たぶん1度本気で死ぬことを考えたからだと思う。
ほんまの絶望を味わい知っているからだと思う。 
今多くの人が自殺する。 
色んな事情があるんだと思う。
でも、生きていれば必ずいいことがある。 
諦めないで欲しい。
いきたくても死んでしまう多くの人がいるんだから 
死ぬ勇気があれば何でもできるから。