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なおぴょんぬ(にゃんこ家来)のブログ

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 先にネコのお話があがる予定でしたが、ウサギのお話が猫童子病から回復した宮廷作家から出されたので、今回はまたウサギのお話です。
3話完結です(完結してます)2話完結のつもりでしたが、2話が
長くなってしまって3話完結になったそうです。1話と2話でお話の
雰囲気が変わりますが続き物です。(今までの流れで「章」とすべき
ものを「話」にしてます。)


     スタンプⅠ

 俺の前を白いウサギがトテトテ駈けていた。
商店街の道なのでレンガ風の石畳で出来ている。
ウサギは二本足で走っている。
そして、ベチャっと転んだ。
「えっ、今ベチャッっていわなかったか、ベチャって・・。」
「なんか痛たそうだなぁ」
俺は、うさぎのところまで行って、まだ潰れているウサギを
起こしてあげ、モフモフのお腹や脚に付いた泥を払ってあげた。
ウサギはモフモフのせいか、怪我もないようで元気そうだった。
それから、頭の長い耳の間をガシガシしてあげると、ウサギは
俺のほうに手を出した。正確には前脚だろうけど、人の様に
立っているので手に見える。
俺は「あっ、ちょっと待って。」と言って財布の中からカード
を出した。厚紙で出来たポイントカード。今はみんなポイント
カードもキャッシュカードやクレジットカードみたいなプラスチック
のが多いけど、これは、紙に5×5の升目があって、スタンプを押し
ていくタイプのやつ。
升目の左上に「スタート」、右下に「ゴール」の文字とウサギの
笑った絵が描いてある。
升目は既に22個埋まっている。22個のスタンプは微妙に違っている。
これを押してくれたウサギも其々微妙に違っていた。
初めてカードを貰った時も、今日みたいな他愛のない事だったように
思う。その時のウサギの話に寄れば、スタンプを集めると、
豪華景品が貰えるとの事だった。(たまに言葉を話すウサギもいる)
こんなに溜まるとは思ってなかったので、良く聞いてなかった。
でも、ウサギが出てくるのは楽しかったので捨てようとも思わなかった。
俺はウサギにカードを渡した。
ウサギは、お腹のポケットをカサゴソするとスタンプを押してくれた。
そして、「ニッ」と笑うと(多分・・・)カードを返してくれた。
何気なくカードを見て「ニッ」の意味が分かった。最後の「ゴール」
の升目を除いて全部埋まっていた。要するに一個おまけしてくれた
らしい。二つ全く同じスタンプが並んでいた。
俺は「ありがとな。気をつけてな!」と言って、もう一度ウサギの
長い耳の間をガシガシしてあげた。ウサギはまたトテトテ駆け出した。
商店街の雑踏の音が戻ってきた。当然ウサギは、もうどこにもいない。
ただ俺の手には、商店街のいくつかの店でくれるようなスタンプカード
が残っていた。