ひどい。 | なおぱんだのひとりごと。 ~読書と日々に思うこと~

なおぱんだのひとりごと。 ~読書と日々に思うこと~

なおぱんだです。
北の国から、読んだ本、買った本、大好きな曲、そして日々思うことなどをポツリポツリと書いてます。

好感度が高い人気タレントが、多数の女性との不倫乱交が暴露されて糾弾を受け、芸能活動の継続が危ぶまれていることを知りました。報道等で知る限り、彼のとった自己中心的で興味本位の行動は軽率の誹りを逃れないと私も思います。知名人の一人として、また家族を持つ大人の男として、恥ずべき行為だという意見にも賛同します。でも、とても違和感を感じるのは、そういった性的なスキャンダルを暴くことを正義とする報道側の姿勢と、密室の中で行われたことをなにがしかの対価を得ることによって社会に暴露した相手側当事者の行為は、何の責任も負わないままで済まされるのかということです。また、夫がとった行動によって当事者の妻には多くの同情が寄せられて「妻=被害者、夫=加害者」の構図が築かれていますが、果たしてそれが正しいのかということにも疑問を感じます。不倫行為によって夫に裏切られた妻の立場は、確かに被害者と言えるでしょう。そして、家族を裏切る目的を持って不倫をしたのであれば、夫は加害者と言えます。でも、結果的に不倫行為であったとしても、目的として自分の性的欲求を満たすためだけの自己本位な理由しかない場合に、果たして加害者とまで言いきれるでしょうか。それでは、いったい加害者は誰なのか?著名人というだけで不倫行為における性癖まで暴露し、世論の味方を標榜して徹底した追及を加えることで、その人間の未来までも社会的に永久に抹殺しようとする側の悪意こそが加害者であると言えないでしょうか。

 

今回の件について、妻は「離婚はしないで夫を見守っていく」というコメントを出して多くの称賛を受けています。でもそれは、自分の立場を美徳化しようとする意思ではなく、妻として家族を守る、子供を守るということを考えた場合、そうせざるを得なかったのではないかと思います。夫は結果的に家族を裏切ることになってしまったけれど、それは不倫をする当事者の多くがそうであるように、家族を裏切ろうという意思を持っていたわけではなく、自分の行為が周囲に与える影響を過小に評価してとった軽率な行動にすぎないのだろうと考えた時に、夫を糾弾してはばからない世論全般から家族を守ろうとした妻が得た結論が、夫を見守るということなのではなかったのではないかと感じます。二人の間に生まれた子供が成長していく中で、有名人である夫のとった行動は決して忘れ去られることなく、不倫歴のある芸能人の一人としてメディアに繰り返し掘り起こされ、常に家族に付きまとっていくことでしょう。子供の未来を守るために、今すぐに突き放してしまうよりも見守るということを選択せざるを得なかった状況にまで追い詰められたのも、執拗なメディアからの攻撃にさらされた弱い被害者の立場にあるからなんだろうと思います。夫のとった行動は許されるべきではない。でも彼がとった行動について、有名人だからという理由だけで全く関係がない第三者がこぞってとやかくいうのはまったくの筋違いであり、報道の正義を振りかざして興味本位で世論を掻き立て、一人の人間を社会から抹殺しようとする行為こそ、私は糾弾されるべきなのではないかと思います。

 

私は、社会の注目度が高いこういったスキャンダルが報道されていつも感じることは、視聴者の視点というのはメディア側から操作された域を出ることはないということであり、多くの人がそれに惑わされたまま、事実がどこにあるのかを考える努力を怠ってしまうことがとても恐ろしく思います。

 

ケイティ・メルア「Blues In The Night」です。