「みなさん こんにちは!キリっとイケメンのショボボです!」
「えっ?そんなことより、背後の壁?ですか?」
「はい!この天才的、かつ芸術的なデザインは、ボキュがデザイン、制作を担当しております!えっへん!」
「が、何故か、怒られたです…しょぼぼ〜ん」
ショボボは、酷い風邪をひいて病院に連れて来られた子です。
リリースするしかないと悩む餌やりさんからお預かりした子です。
ねこけんの保護猫達は、ショボボのように、
皆様々な場所から様々な理由でねこけんにやって来た子達です。
捨てられて彷徨っていた子
事故に遭い蹲っていた子
愛護センターで殺処分を待っていた子等
みんな同じ命を持っているのに
全てが愛情に包まれて一生を終えられる子ばかりではありません。
殺されてしまう命を増やさないように
命が軽んじられる事が無くなるように
全ての命は平等で、みな幸せに生きる権利があるという、
当たり前のことが、当り前だと広く認知されるように
無闇に頭数を増やさないこと
不妊去勢手術を進めること
みんなでがんばりましょう!
今日は、以前にも掲載させて頂いた物語りを再掲載させて頂きます。
「あのドアを出る時」
僕は、お母さんと暮らしていました。
家は、おばあさんが独りで暮らしている家の物置。
でもね、ある日、おばあさんの姿が見えなくなった。
御飯もくれなくなっちゃったんだ。
僕とお母さんは、仕方が無いから、2ブロック離れた家まで御飯を貰いに行っていた。
でもね、そこに行くには危険もあるんだよ。
「また来た!あっちいけ!」って、熱湯や水をかけてくるおじさんと、猫を見ると石を投げてくる子供が居て、とっても危険なんだよ。
僕達、何も悪いことはしていないんだけどね。嫌われている。
それと…、そこには前から住んでいる、片目の大きなオスの黒猫がいて、そいつに見つかると危ないんだ。
時々、そいつに見つかって、こっぴどく怒られた。嫌なおじさんだよね。
そいつは凄く強いから、お母さんも僕も、見つからないように、こっそり置いてあるご飯を食べるようにしていた。
数ヶ月がたって、僕には妹が出来た。
お母さんは、物置で3匹の妹を産んだ。
嬉しいな~可愛いな~
僕は、まだ目の開かない妹達を毎日毎日、毛づくろいや添い寝をして可愛がっていた。
そんなある日、僕らの家である物置が取り壊される事になった。
その時、知らないおじさんが来て、僕のまだ目の開いていない妹達を捕まえて大きな檻に入れた。
お母さんは妹達を助けようとして一緒に捕まった。
知らないおじさんは、お母さんと妹達を車でどこかへ運んで行こうとした。
僕は、叫んだ「僕のお母さんと妹を何処へ連れて行くんだ!!」
でも、車は、知らん顔で走り出した。
僕は必死で追いかけた!
走って走って、必死に走り続けた。
大きな通りに出たところで…
ブブッー!キキー!どん!
僕は、気が付くと、道路に横たわっていた。
体が痛い…特に顔が痛いんだ。
でも、お母さんと妹を追いかけなくちゃ。
僕は立ちあがろうとしたけど、フラフラしてすぐにへたり込んでしまった。
生暖かい物が顔を伝って道路に赤い染みを作っている。
そして、僕はだんだん気が遠くなって行った。
どのくらい、道路に横たわっていたんだろう??
多分2日くらいだと思う…。
目が覚めると、僕は小さな檻の中にいた。
此処は何処だろう?
かすかに、他の猫の匂いがするみたい…。
だんだんと目が慣れて来た。
すると驚いた事に、迎え側の檻にも、子猫が3匹居たんだ。
「お~い!ここは何処?君達、僕のお母さんと妹達を知らない?」
僕は。話しかけてみた。
でも、みんな怯えていて、何も教えてくれない。
僕は、向かい側を見渡してみた。
すると、その下の檻に、黒い体が見えた。
僕は、顔の痛みに耐えながら
「黒猫のおじさん!此処は何処ですか?僕のお母さんと妹達を知りませんか?」
黒い体は、白い包帯でぐるぐる撒きになっていた。
ゆっくりと、顔を向けたその顔を見て、僕は驚いた。
「片目の黒猫のおじさん!」
苦しそうな声でおじさんは見える方の目を見開きながら言った
「おお、あの時の坊主か。どうしてこんな所に来たんだ?」
僕は、事の経緯を早口で話した
黒猫のおじさんは苦しそうな息をしながら、たった一言「そうか…」と言ったっきり無言になってしまった。
そして、暫く静かな時間が過ぎた。
ドアが開いて、知らない人間のおじさんが女の人と入ってきた。
その女の人は、全ての檻を覗き、「今回は子猫が3匹と、怪我をした子猫が1匹と大人の猫1匹が収容されているのですね」とおじさんに言った。
そして、僕の向かい側の檻にいた3匹の健康な子猫を、小さいキャリーバックに入れた。
その女の人は僕の檻の前で僕を見て泣きながら「ごめんね、私も健康な3匹で精一杯なの。ごめんね。許してね」
黒猫のおじさんの前でも同じ事を言った。
そして、3匹だけを連れて出て行った。
「僕も連れて行ってよ!ねえ!僕も!」
「無駄だよ坊主。お前も事故に遭ったんだ。俺と同じだが、坊主の体は大丈夫そうだな。オレはもう長くない。体中の骨が砕けているようだ。車に跳ねられたんだからな…。仕方が無い。坊主、お前も、健康な体だったら、こんな所に居ても、あの3匹と同じように生きるチャンスがあっただろうに…。あのドアから、生きる為に出るか、死ぬ為に出るか…、俺たちに選択はない…なぜなら、坊主も、怪我をして片目なんだよ。片方の目がつぶれているんだよ。」
黒猫のおじさんは、僕と2人だけになった部屋でそう言ったっきり、また無言になってしまった。
そうか…。僕は事故で片方の目がつぶれちゃったんだ…。
さっきの人間のおじさんが入ってきた。
僕の檻の前で立ち止まった。
「ごめんな。おじさんだって、み~んな助けてやりたいんだ。み~んな、生きる権利が有るんだから。身勝手な人間に持ち込まれたり、お前さんみたいに事故に遭って2日間も放置されたりで、不幸な命が次々と運ばれてくるんだ。おじさんだって、みんなを見捨てたくは無いんだ。命を全うさせてやりたい。でも、限度があるんだよ。お前さんも健康な体のままだったら、生きるチャンスがあったかもしれない…。でも、残念な事に向かい側の黒猫と同じなんだよ…。ごめんな。でも、ギリギリまで希望は捨てないでいような。あと、3日あるから…。そういえば、お前の顔は…どこかで見たような…。ああ、そうか、数日前に殺処分になってしまった親子に似ているね。同じ運命をたどらない様に、おじさんも祈っているからね」
おじさんは、そう言うと俯きながら部屋を出て行った。
僕は、おじさんが言っていた意味が良く分からなかった。
だって、僕か片目が見えなくても、生きているし、動けるのに、何で悲しそうな顔で生きるチャンスが無いとか言うのかな?って。僕、ちゃんと生きているんだもん。
その日の夜、僕は夢を見た。
お母さんが、妹と一緒に楽しそうに笑っている。僕は、「おかあさん!妹達!僕は此処だよ!みんな!何処へ行っていたのさ!僕、いろいろ大変だったんだから!」
お母さんは、優しい笑顔で妹達を見ている。
「お母さん!僕もそこへ行く!一緒にいたいもん!」
すると、お母さんは急に厳しい顔になって、僕を見ながら言った
「坊や、あなたはまだ此処へ来てはいけない。あなたは、命を全うしなさい!あなたにはまだチャンスがあるのだから」
「だって、僕、一人で寂しいもん!僕もお母さんと居たい」
「坊や、可愛い坊や、あなたはまだ大丈夫。大丈夫だから。お母さんの命と妹達の命を坊やに託したから…。大丈夫。諦めてはいけない」
そういうと、お母さんと妹達はス~ッと遠くに消えて行きそうになった
「お母さん!」僕は、追いかけようと必死に走った。あの車を追いかけた時のように…
「おい!坊主!大丈夫か?」
苦しそうな黒猫のおじさんの声で、僕は目が覚めた。
「坊主、夢を見ていたんだな…」
おじさんは、昨日より苦しそうな息をしている。
体に巻かれた白い包帯が赤くなっている。
僕は夢の中でお母さんが言った事を話した。
片目の黒猫のおじさんは言った。
「坊主、それは良かったな。そうか…。お母さんが、坊主の事を見守っているんだ。坊主、オレはもう持たない。今日の夜まで、生きていられるか分からない。どっちにしても、2日もすれば俺は殺処分になる命だ。フフ」
おじさんは寂しそうに笑った。
「坊主、お前に俺の命の残りもやろう。だから諦めずに、命を全うするんだ。必ず迎えが来る。坊主はあのドアを生きる為に出るんだ。俺は…、骸になってドアを出る事になりそうだ。フフッ。それにしても、俺が他の猫に情けをかけるとはな…。まあ、同じ片目の猫だしな。ハッハッハ。」
おじさんは、珍しく大声で笑った。
そして、静かになった。
「おじさん?おじさん??どうしたの?僕を独りにしないでよ!寂しいよ!おじさん!話をしてよ!」
黒猫のおじさんは、一言も話をしてくれなくなった。
外が明るくなると、人間のおじさんがご飯を運んで来た。
そして、黒猫の片目のおじさんの檻の前で「ああ…。逝ってしまったか…。事故で命を失うのと、殺処分で命を失うのと…、考えても仕方が無い。選択肢は無いんだから。次に産まれてくる時は、必ず優しい家の子に産まれるんだよ」
そういって、動かなくなった片目の黒猫のおじさんの大きな体を檻から出して、静かに箱に入れてあのドアから出て行った。
僕は、一人ぼっちになった。
「このまま、どうなるんだろう?」
片目の黒猫のおじさんは何処へ運ばれたのかなぁ?あのドアから、おじさんは生きる為に出たのかな…何故、おじさんは動かなくなっちゃったのかな??
僕は、呆然としながらドアを見つめていた。
すると、再びガチャっとドアが開いた。
さっきの人間のおじさんが、入ってきた。
その後ろには、女の人と小さな女の子が立っていた。
おじさんが言った。
「今いるのは、この事故に遭った片目の子だけなのですが…」
女の子は、僕の檻を背伸びしながら覗き込んだ。
「可愛いね。お母さん!この子、片方のお目目が無いけど、元気だよ。お目目が無くても、猫さんは可愛いよ」
「どうしても、怪我や障害のある子は、チャンスが無くて…。でもね、この子は片目が無い以外はとても健康で可愛いですよ」
おじさんが、親子に話をしていた。
そして、3人で部屋を出て行った。
僕は、また一人になった。
30分もすると、またドアが開いた。
おじさんが言った。「お迎えが来たよ」
「僕は、どうなるの?あのドアを出るの?生きる為?死ぬ為?ねえ、どっちなの?」
不安なまま、小さなかごに入れられて、ドアを出ると…
そこには、さっきの親子が笑顔で立っていた。
女の子が駆け寄って来て、僕が入った籠に向かって「片目の子猫さん、迎えに来たよ。」
おじさんの顔を見上げると、おじさんは笑顔で「ありがとう…」と言いながら、目を赤くしていた。
僕はね、生きる為にあのドアを出たみたい。
何故なら、僕は生きている。
毎日暖かい部屋で、優しいお母さんとお父さん、そして女の子と一緒に、楽しく生きている。
僕は、お母さんに言われた事を決して忘れない。
そして、片目の黒猫のおじさんがくれた命を忘れない。
あのドアを出た意味を忘れない。
僕は、片方の目だけだけど、しっかりと未来を見つめながら生きている。
終わり(このお話はフィクションです)
ねこけん譲渡会
虎ノ門会場
日時 2018年12月2日(日)
午後1時~午後5時
東京都港区西新橋3-4-6 田嶋ビル2F
交通:都営三田線 御成門駅徒歩7分
東京メトロ日比谷線 神谷町駅徒歩10分
東京メトロ銀座線 虎ノ門駅徒歩10分
JR・都営浅草線 新橋駅徒歩10分
※保護猫の体調により、当日欠席となる子もおりますが、お問い合わせはご遠慮頂けますようお願い申し上げます。
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上記より、条件・契約書をご確認ください。
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