その年は、何故か秋が終わろうとしている季節でも、まだ暖かい日が続いていた。
1匹の美しい三毛猫が、もう冬に入ろうとしている時期に、空き地の物置小屋の下で3匹の子猫を産んだ。
ところが、子猫を産んで1ヶ月もたたないうちに、急に冬将軍が到来した。
母猫は、急激な寒さから子猫を守ろうと、子猫を1匹づつ咥えて、空家の軒下へ移動を始めた。
背の高い草をかき分け、フェンスの穴を通り、母猫は必死に子猫を運んだ。
最後の子猫を運び終える頃には、辺りは暗く、小雨が降り出していた。
先に運ばれた子猫達は、濡れた体から水滴を拭く術を知らず、小雨は子猫の体から体温と体力を急激に奪っていった。
最後 の子猫を咥えて母猫が到着した頃には、先の2匹はすでに動かなくなっていた。
母猫は必死に子猫を舐めて、乳を飲ませようとしたが、子猫の目は開く事がなかった。
母猫は諦めたのか、最後の小さな子猫に乳を飲ませると、再び移動を始めた。
今度は、近くの民家の縁の下だった。雨風はしのげる場所だった。
縁の下には、ひしゃげた段ボール紙が置かれていた。
母猫は、段ボール紙をひっかいて丸めると、その中に子猫と蹲った。
「暖かいね」母猫は子猫に言った。
子猫はすでに眠りに落ちていた。
朝になると、雨は止んで、明るい太陽が見えた。
母猫は、子猫を起こすと、空腹に耐えながらも、乳を与えた。
子猫は、余り出の良くない母猫の乳を、時間をかけてお腹が丸く 膨れるまで飲んだ。
子猫の空腹が満たされると、母猫は子猫に言った。
「坊や、御母さんは、何か食べ物を探して来ますね。良い子だから、ここから出てはいけませんよ。帰って来たら、御母さんが坊やに良い物をあげますからね」
子猫は、満腹だったので、すでにウトウトしていた。
母猫は、子猫の顔を舐めると、縁の下から這い出した。
数時間後、母猫は戻ってきた。
そして、喜んで縁の下から這い出して来た子猫を咥えると、再び縁の下に戻り、乳を与えた。
「坊や、良い子にしていたのね。お母さんも、今日は沢山ご飯を食べたから、坊やも沢山御乳を飲みなさい」
子猫は、喜んで沢山飲んだ。
お腹が膨れると母猫に言った。
「御母さん、お出かけする前に言ってい た、良いものってな~に?」
母猫は笑顔で、子猫を外に連れ出した。
外は、雨上がりであちこちに水たまりが出来ていた。
母猫は子猫に言った
「ほら、この水たまりを覗いてご覧」
子猫は不思議そうに、水たまりを覗き込んだ。
子猫は不思議そうに、水たまりを覗き込んだ。
濁って茶色の水の中に、何か影が見えた。
「御母さん、水たまりの中に何かいるよ」
母猫は優しい笑顔で子猫に言った。
「そうね、きっと可愛い子猫さんが向こうから見ているのかもしれないね」
子猫はもっと水面に顔を近づけて、水たまりを覗き込んだ
すると…
可愛い子猫が向こうからも覗き込んでいた。
「わあ~。僕とおんなじ子がいる!」
子猫は楽しくなって、右手を挙げて挨拶をした。
すると、水溜まりの中の子猫も手を挙げて挨拶を返してくれた。
子猫はもっともっと嬉しくなって、今度は首をかしげてみた
すると、
水たまりの中の子猫も首をかしげた
子猫は水たまりに映る子猫に言った
「僕達、友達だよね」
水たまりの中の子猫は笑顔だった。
子猫は水たまりに映る子猫に言った
「僕達、友達だよね」
水たまりの中の子猫は笑顔だった。
子猫は興奮しながら母猫に言った。
「御母さん、僕ね、御友達が出来た。この水たまりの中の子と友達になったんだ。これは、魔法の水たまりだね。ありがとう!御母さん」
母猫は、優しい笑顔で頷いた。
母猫は、優しい笑顔で頷いた。
翌日、また母猫が食べるものを探しに出かけた
子猫は独りで、縁の下にうずくまり暫く眠っていたが、目が覚めると、水たまりの中の友達に会いたくなった。
縁の下から、顔を出して、辺りを伺った。
誰も居ない。
子猫は、そろそろと這い出した。
そして、魔法の水たまりを探した。
昨日より、少し小さくなった水たまりは、太陽の光を浴びてキラキラしていた。
子猫は、走り寄ると、急いで水たまりを覗き込んだ。
すると、茶色く濁った水たまりの中から、子猫がこちらを覗き込んでいた。
子猫は水たまりの中の友達に話しかけた。
「おはよう!今日は良い天気だね。君は元気だった?」
水たまりの中の友達は、にこにこしている。
「そうか、元気だったんだね。僕は、今お留守番 をしているんだ。君もかい?」
水たまりの中の友達は、変わらずにこにこしながらこちらを見ている。
「君の御髭は長くて立派だね」そう言いながら、子猫は水溜まりの中の友達の髭に触れようと手を伸ばした。
すると…
ピチャン
「あっ、冷たい」
子猫は思わず手をひっこめた。
水は暫く、ユラユラと水面を揺らしていたが、やがて元に戻った。
子猫は、驚いて、水たまりの友達に言った
「君、冷たいんだね。僕の御母さんは、暖かいのに、君は冷たいんだね」
子猫は、はっとした。
「ねえ、僕の兄弟も冷たくなって、消えてしまったんだ。君ももしかして、消えてしまうの?」
水たまりの中の友達は不安そうな表情を浮かべながら揺れていた。
その時、ちょ うど母猫が帰って来た。
子猫は嬉しくなって母猫に走り寄った。
そして、お腹一杯乳を飲むと、母猫の暖かさの中で眠りに落ちた。
その夜は、雪が降るのではないかと思う程、空気が冷たく、母猫のごほんごほんという咳が響いていた。
翌朝、母猫はいつも通り、食べ物を探しに出かけた。
子猫は、急いで魔法の水たまりに向かった。
水たまりは、更に小さく浅くなっていた。
いつものように、子猫は水たまりの中の友達と遊んだ。
その日、母猫はいつもより遅く帰って来た。
そして、子猫に乳を飲ませると、そのまま眠ってしまった。
母猫の咳は酷くなっていた。
子猫は心配そうに母猫の顔を覗きこんだ。
母猫はつらそうに咳き込みながらも、子猫に優しい笑顔を見せた 。
翌朝、母猫は食べ物を探しに出かけようとしたが、よろよろと倒れてしまった。
何とか、縁の下から這い出すと、浅く小さくなった水たまりで水を飲んだ。
子猫は、空腹だったが、空腹を満たそうにも、母猫の乳は出なくなっていた。
「坊や、お腹が空いたでしょう?魔法の水たまりの御水を飲んで御覧なさい。お腹が空いたのが飛んで行くから」
子猫は、小さく浅くなった水たまりに口を付けた。
そしてピチャピチャと水を飲んだ。少し土の味がしたが、空腹が消えた。
「御母さん、お腹空いたの消えちゃった。僕ね、もう全然平気!魔法の水たまりは、友達もくれるし、お腹が空いたのも消してくれる!凄いや!」
子猫は興奮した。
母猫は力なく微笑んだ。
翌朝、子猫が目 覚めると母猫の姿がなかった。
不安になって、縁の下から這い出すと、母猫は消えかかった水たまりの傍に居た。
「御母さん!」子猫は走り寄った。
母猫の体に力が無かった。
「御母さん!どうしたの?お腹が空いて動けないの?魔法の水たまりの御水飲んでよ。ねえ、お母さん」
母猫はうっすらと目を開け、微笑んだ。
そして、そのまま動かなくなり、だんだんと冷たくなっていった。
「御母さん!御母さん!」
子猫は、水たまりの中の友達に助けて貰おうと、水たまりを覗き込んだ。
しかし、殆ど水が引いてしまった水たまりからは、友達の顔を見つける事は出来なかった。
「ああ!魔法の水たまりが消えちゃった。水たまりの中の友達も消えちゃった。僕のお母さんも消えて しまうの?冷たくなっちゃうの?嫌だよ。僕独りぼっちになっちゃう!嫌だよ。お母さん!」
子猫の鳴き声を聞いた、人間が家から出て来た。
「最近、子猫の声がすると思ったら、君だったの?あらっ?母猫さん?どうしたの!」
人間は、子猫の傍で倒れている母猫に駆け寄ると、体にそっと触れた。
「冷たい…」
母猫はすでに亡くなっていた。
傍では子猫が母猫を守ろうと小さい体で必死で威嚇していた。
その姿を見た人間は、子猫に優しく話しかけた。
「可愛そうに…。ごめんね、もう少し早く気が付いてあげられたら良かったんだけど。ごめん。君の御母さんは、逝ってしまった。ごめんね」
そして、家から段ボールの箱を持ってきて、その中に入れようとしたが、子猫は威 嚇を続けている。
暫く、威嚇を続ける子猫を見ていた人間は、静かに屈むと子猫の頭をそっと撫でた。
暖かい温もりが頭から体に伝わった。
子猫はもう威嚇する事は無かった。
人間は、母猫をゆっくりと抱き上げ、箱に入れふたを閉めた。
そして、子猫に向かって言った。
「君、行くところ無いんでしょう?君の御母さんを助けてあげられなかったけど、君はまだ間に合うよ。生きられる!生きなきゃ。ねえ、うちに来る?」
そういうと、母猫の箱と一緒に、痩せた子猫を抱き上げた。
御母さん、僕、人間と暮らすよ。
だって、魔法の水溜まりは、此処にも有るんだ
縁の下から、顔を出して、辺りを伺った。
誰も居ない。
子猫は、そろそろと這い出した。
そして、魔法の水たまりを探した。
昨日より、少し小さくなった水たまりは、太陽の光を浴びてキラキラしていた。
子猫は、走り寄ると、急いで水たまりを覗き込んだ。
すると、茶色く濁った水たまりの中から、子猫がこちらを覗き込んでいた。
子猫は水たまりの中の友達に話しかけた。
「おはよう!今日は良い天気だね。君は元気だった?」
水たまりの中の友達は、にこにこしている。
「そうか、元気だったんだね。僕は、今お留守番 をしているんだ。君もかい?」
水たまりの中の友達は、変わらずにこにこしながらこちらを見ている。
「君の御髭は長くて立派だね」そう言いながら、子猫は水溜まりの中の友達の髭に触れようと手を伸ばした。
すると…
ピチャン
「あっ、冷たい」
子猫は思わず手をひっこめた。
水は暫く、ユラユラと水面を揺らしていたが、やがて元に戻った。
子猫は、驚いて、水たまりの友達に言った
「君、冷たいんだね。僕の御母さんは、暖かいのに、君は冷たいんだね」
子猫は、はっとした。
「ねえ、僕の兄弟も冷たくなって、消えてしまったんだ。君ももしかして、消えてしまうの?」
水たまりの中の友達は不安そうな表情を浮かべながら揺れていた。
その時、ちょ うど母猫が帰って来た。
子猫は嬉しくなって母猫に走り寄った。
そして、お腹一杯乳を飲むと、母猫の暖かさの中で眠りに落ちた。
その夜は、雪が降るのではないかと思う程、空気が冷たく、母猫のごほんごほんという咳が響いていた。
翌朝、母猫はいつも通り、食べ物を探しに出かけた。
子猫は、急いで魔法の水たまりに向かった。
水たまりは、更に小さく浅くなっていた。
いつものように、子猫は水たまりの中の友達と遊んだ。
その日、母猫はいつもより遅く帰って来た。
そして、子猫に乳を飲ませると、そのまま眠ってしまった。
母猫の咳は酷くなっていた。
子猫は心配そうに母猫の顔を覗きこんだ。
母猫はつらそうに咳き込みながらも、子猫に優しい笑顔を見せた 。
翌朝、母猫は食べ物を探しに出かけようとしたが、よろよろと倒れてしまった。
何とか、縁の下から這い出すと、浅く小さくなった水たまりで水を飲んだ。
子猫は、空腹だったが、空腹を満たそうにも、母猫の乳は出なくなっていた。
「坊や、お腹が空いたでしょう?魔法の水たまりの御水を飲んで御覧なさい。お腹が空いたのが飛んで行くから」
子猫は、小さく浅くなった水たまりに口を付けた。
そしてピチャピチャと水を飲んだ。少し土の味がしたが、空腹が消えた。
「御母さん、お腹空いたの消えちゃった。僕ね、もう全然平気!魔法の水たまりは、友達もくれるし、お腹が空いたのも消してくれる!凄いや!」
子猫は興奮した。
母猫は力なく微笑んだ。
翌朝、子猫が目 覚めると母猫の姿がなかった。
不安になって、縁の下から這い出すと、母猫は消えかかった水たまりの傍に居た。
「御母さん!」子猫は走り寄った。
母猫の体に力が無かった。
「御母さん!どうしたの?お腹が空いて動けないの?魔法の水たまりの御水飲んでよ。ねえ、お母さん」
母猫はうっすらと目を開け、微笑んだ。
そして、そのまま動かなくなり、だんだんと冷たくなっていった。
「御母さん!御母さん!」
子猫は、水たまりの中の友達に助けて貰おうと、水たまりを覗き込んだ。
しかし、殆ど水が引いてしまった水たまりからは、友達の顔を見つける事は出来なかった。
「ああ!魔法の水たまりが消えちゃった。水たまりの中の友達も消えちゃった。僕のお母さんも消えて しまうの?冷たくなっちゃうの?嫌だよ。僕独りぼっちになっちゃう!嫌だよ。お母さん!」
子猫の鳴き声を聞いた、人間が家から出て来た。
「最近、子猫の声がすると思ったら、君だったの?あらっ?母猫さん?どうしたの!」
人間は、子猫の傍で倒れている母猫に駆け寄ると、体にそっと触れた。
「冷たい…」
母猫はすでに亡くなっていた。
傍では子猫が母猫を守ろうと小さい体で必死で威嚇していた。
その姿を見た人間は、子猫に優しく話しかけた。
「可愛そうに…。ごめんね、もう少し早く気が付いてあげられたら良かったんだけど。ごめん。君の御母さんは、逝ってしまった。ごめんね」
そして、家から段ボールの箱を持ってきて、その中に入れようとしたが、子猫は威 嚇を続けている。
暫く、威嚇を続ける子猫を見ていた人間は、静かに屈むと子猫の頭をそっと撫でた。
暖かい温もりが頭から体に伝わった。
子猫はもう威嚇する事は無かった。
人間は、母猫をゆっくりと抱き上げ、箱に入れふたを閉めた。
そして、子猫に向かって言った。
「君、行くところ無いんでしょう?君の御母さんを助けてあげられなかったけど、君はまだ間に合うよ。生きられる!生きなきゃ。ねえ、うちに来る?」
そういうと、母猫の箱と一緒に、痩せた子猫を抱き上げた。
御母さん、僕、人間と暮らすよ。
だって、魔法の水溜まりは、此処にも有るんだ
新しい魔法の水たまりにはね、いつも透明なお水が入っているし、
土の味もしない。じゃりじゃりもしない。喉を通り過ぎる時に、ちくちくだってしないんだ
いつも、すっきりと美味しい御水が、入ってキラキラしているんだよ。お腹が空くって事も吹き飛ばしてくれる。だって、いつも美味しいご飯と一緒に有るんだもん。
そしてね、友達も帰って来た。
魔法の水たまりの中を覗くと、僕の友達はね、なんだか太って元気そうなんだよ。
そして、嬉しそうに、いつも笑顔を返してくれる。
以前の友達は痩せこけていたけどね。あはは。
そしてね、友達も帰って来た。
魔法の水たまりの中を覗くと、僕の友達はね、なんだか太って元気そうなんだよ。
そして、嬉しそうに、いつも笑顔を返してくれる。
以前の友達は痩せこけていたけどね。あはは。
ねえ、お母さん。お母さんの言っていた魔法の水たまり、いつも有るよ。今度は消えないんだ。
待っててね。
今日も子猫は、魔法の水たまりを覗き込んでは、笑顔を映している。
終わり
☆ねこけん里親会開催☆
日時 2015年2月15日(日)
午後1時~午後5時
場所 東京都練馬区豊玉北5-15 -12アロマテラピーサロン「マシュマロー」の入っているビルの2Fです。
交通西武池袋線 練馬駅 徒歩1分東京メトロ副都心線 練馬駅 徒歩1分東京メトロ有楽町線 練馬駅 徒歩1分都営地下鉄 大江戸線 練馬駅 徒歩1分地図はこちら↓
家族を待っている猫さん達が沢山参加します♪保護猫の体調により、当日欠席となる子もおりますが、当日のお問い合わせはご遠慮頂けます様お願い申し上げます。
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