春分の日用に書いておいたショートショート、
期せずして本日は本当に春の雪となりました。
よろしかったら、読んでください。
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今日は春分の日。
お日様が時を半分ずつ告げる日。
もうすぐ春だというのに、雪は解けず霧に囲まれたこの地。
霧の中へ足を踏み入れていくと、懐かしい景色が見えてきた。
あれは、、、ボクが住んでいた家のすぐ裏の山だ。
霧が深いところは、同じだな。光がさして霧も晴れ始める。。
あの戦争があってからどのくらい経っただろう。
ボクのご主人様は戦争へ行き、、、納屋にこっそりと隠されたボクは
大空襲で命からがら逃げたけれど。。そこから先は記憶はない。
気づくとボクは雪山にいて、高過ぎるその山から下りることは叶わなかった。
でも、なんとなく、ここなら戦争からは大丈夫。。。
そんな予感があったボクはここでご主人様を待つことにした。
来る日も来る日も、、、ご主人様を待った。
そのうち、ボクはお腹が空かなくなった。少し雪を舐めるだけで
幸せな夢が見られたし、ご主人様と一緒に散歩をした
春の田んぼや
夏のトンボを追いかけたこと
秋は銀杏の木の下で落ち葉を拾って
冬は、、、そう、、、雪の中で空を見上げて一緒に寝たりした。
会いたい、忘れられない。ご主人様に会いたい。
意を決してボクは山を下りた。
とても軽やかに駆け下りることができたボクは猛吹雪の中を進んだ。
ああ、ご主人様と一緒に歩いた場所だ。
もう少しでたどり着く。ご主人様、会いたいよ。会ってボクの頭を撫でてほしいよ。
そのうち吹雪は荒れ狂うように舞い上がり
吹雪いているはずなのに寒さを感じないボクの眼には
いつの間にか吹雪が桜の花びらとなって降り注いだ。
その向こうに見えたのは、、虹だった。
ボクは知っている、あそこはご主人様を待つ場所だ。
行かなくちゃ、そう思ったボクの耳には懐かしい声が聴こえた。
ボクたちわんこが待つはずの虹の場所からご主人様が手を振っているのが見えたんだ。
そうかあ、ご主人様はもうとっくにここに来ていてボクを待っていてくれたんだな。。
ああ、頭を撫でてもらえるよ！ご主人様もこちらに走ってくる。
ボクも全力で風のように花吹雪の中を走った！ご主人様！
「どうしたの、ジロウ」
ボクは、はっと我に返った。
今のは夢。。。安曇野の霧の中は、前世と現世の出逢う場所。
お日様が出てきた。間もなく霧も晴れる。
あの時叶わなかった思いの分、今はたくさん抱きしめてもらっているボクは
今のご主人様と一緒に今を思い切り生きよう。
そして、来世に観る夢は甘く切なく嬉しい夢を、観よう。
最期までご主人様を見守って、そしてご主人様に見守られて、生き切ろう。
おしまい。
昼記事でコメント欄開いていますので、こちらは閉じておきますね。
尚、写真はネットと自分の写真と併用しています。
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恒例の遅延コメント返答ですが、
３月６日の記事 「冬だよ、冬。」 へ返答致しました。
昨年８月１０日記事 「ひみちゅのテラス＜後編＞」 も返答致しました。
遅延の遅延コメント返答もゆっくりとやっていきますのでよろしくです。
いつも遅れてばかりのコメント返答ですが遊びに来てくださり、本当に感謝です。
またお時間のある時に見てみてくださいね。
今一生懸命頑張っているシニアの子、保護犬の仲間達、病気の子
友達みんなへ届け～～～特大元気玉！
日本各地の被災地の皆さんが１日も早く元気に穏やかに過ごせるように。
病で闘う皆さんが笑顔で明日も過ごせるように。
安曇野から今日も明るく願います。