This Gift epi.9 | φ ~ぴろりおのブログ~

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イタズラなKiss&惡作劇之吻の二次小説を書いています。楽しんでいただけると、うれしいです♪ 

可愛いなぁ...いつも琴子ちゃんは可愛いけど、今日は特別に可愛い。

大きな蝶々がとまっているみたいなリボンが付いたドレスも、くるんとした髪にとめられた花も、肩から提げたキラキラした小さなバッグも、全部似合っていてすごく可愛い。

タキシードを着たお兄ちゃんと腕を組んだ琴子ちゃんは、王子様と舞踏会に出掛けるお姫様みたいだった。


「裕樹くんには手を繋いでもらっちゃおうかな。」

琴子ちゃんがそう言ってくれた。お兄ちゃんの顔を見る。

お兄ちゃんはナイショにしているつもりみたいだけど、二人が両想いだって僕は知ってる。


琴子ちゃんが家に来るようになるもっと前のことだ。

お兄ちゃんに問題集のわからない問題を教えてもらった。

不思議な形のものが机の上に置いてあって、何に使うかよくわからなかったから、つい手を伸ばして触ろうとした。

「触るなっ。」

初めてお兄ちゃんに大きな声で怒られた。

ビックリしたけど、すごく大事なんだってわかった。

そして、それがブックスタンドで、琴子ちゃんからのプレゼントだってこともわかった。


お兄ちゃんは、琴子ちゃんと一緒にいるとき、いつもとちょっと違う。

何だか楽しそうだし、ときどき、すごく優しい顔で琴子ちゃんを見てる。

琴子ちゃんがお兄ちゃんのことを大好きなのはバレバレだけど、お兄ちゃんだって、きっと琴子ちゃんが好きなはずだ。
だから、お兄ちゃんに「いいの?」って目で聞いたんだ。

お兄ちゃんは微笑ってくれた。

「仕方ないな」ってお兄ちゃんみたいに言って、手を繋いであげた。

琴子ちゃんの手は温かくて、琴子ちゃんを真ん中にして、お兄ちゃんとも手を繋いでるみたいで、僕はうれしかった。



いつもはパパの知り合いの人に挨拶しなくちゃいけなかったり、次から次へと女の人が話し掛けて来るから、途中でどこかにいなくなってしまうお兄ちゃんがずっと一緒にいてくれた。

琴子ちゃんは子どもみたいにはしゃいでいた。

サンタにプレゼントをもらってご機嫌だったし、僕が連れて行ってあげたチョコレートファウンテンでは、お兄ちゃんがちょっと呆れるくらい楽しそうにしてた。


僕が琴子ちゃんを独り占めにしていたから、知らない間に女の人がお兄ちゃんに近寄って来てた。

でも、お兄ちゃんは女の人を無視して、「琴子」って琴子ちゃんを呼んだ。

琴子ちゃんはチョコ掛けパインを持って、すぐにお兄ちゃんのところへ飛んで行った。

お兄ちゃんは、女の人に見せ付けるように、琴子ちゃんの手を持って、チョコ掛けパインを食べた。

琴子ちゃんは赤くなっていたけど、女の人はすんごい顔をして、あっちに行ってしまったから、僕はホッとした。


3人で料理ブースに行った。琴子ちゃんは、ぱくぱくと美味しそうに食べていた。

琴子ちゃんと一緒に食べると、同じものでもいつもより美味しい気がするのはどうしてかな。

おなかがいっぱいになると、ビンゴゲームが始まった。

数字のコールを聞いては、喜んだり悔しがったり、琴子ちゃんの百面相を見ている方が面白かった。

ダブルリーチだった琴子ちゃんがビンゴになった。

僕はビンゴにならなかったけど、琴子ちゃんがビンゴになってよかったなって思った。


商品はテーマパークのペアチケットとアトラクションに待たずに乗れるパスのセット。

琴子ちゃんは、司会の人に「彼氏と楽しんできて下さいね」って言われて真っ赤になってたけど、お兄ちゃんと行くのかな?

もしそうだったら、僕も一緒に行きたいけど、デートの邪魔をしちゃダメだから我慢する。

お兄ちゃんはなぜか、琴子ちゃんがステージから下りて戻ってくると、琴子ちゃんの手をぐいぐい引っ張って、会場の後ろの方へ連れて行こうとしたから、僕も慌てて追いかけた。



「直樹、直樹。ちょっと待ちなさい。」

後ろからパパの焦った声がした。

お兄ちゃんは聞こえていないのか、そのまま琴子ちゃんの手を引っ張って歩いてる。

琴子ちゃんが立ち止まる。お兄ちゃんもようやく歩くのを止めて、琴子ちゃんの手を離した。


「やっと見つけた。琴子ちゃん、ビンゴになってよかったね。琴子ちゃんのお蔭で直樹を見つけられたよ。」

お兄ちゃんのことを捜していたパパは、ステージに上がった琴子ちゃんを追い掛けて、お兄ちゃんを見つけたみたいだ。

「是非おまえに会いたいって方がいらしてね。」

お兄ちゃんが途端に嫌そうな顔をする。

お兄ちゃんはこうなるのがわかっていて、琴子ちゃんの手を引っ張って急いでいたのかな?


「少しでいいから付き合いなさい。」

パパが少し厳しい声で言った。

「オヤジ、本当に少しだろうな?」

「ああ。すぐに終わるから。」

お兄ちゃんが疑わしそうな顔をする。


「入江くん、あたしと裕樹くんなら大丈夫だよ。ねっ?」

琴子ちゃんがお兄ちゃんにそう言って、僕に笑いかける。

「うん。大丈夫だよ。」

僕が答えると、お兄ちゃんは屈んで、僕の頭をがしがしと撫でた。


「琴子を頼むな。」

お兄ちゃんが膝を伸ばしながら、僕だけに聞こえる声で言った。

コクコクと頷いた僕に、お兄ちゃんが拳を差し出す。

ギュッと握りこぶしを作る。

コツンと合わせると、お兄ちゃんがニヤッと笑った。


~To be continued~