Ordinary World vol.18 | φ ~ぴろりおのブログ~

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イタズラなKiss&惡作劇之吻の二次小説を書いています。楽しんでいただけると、うれしいです♪ 

「おはよう。少しは眠れたのか。」

「うん。ありがとう。」

「あら、琴子ちゃん、どうしたの?最近、元気ないし。」

「コイツ、成績悪くて課題が大変なんだよ。だから寝不足だし、元気もなくなるさ。」

「そう、そうなんです。頑張らないと、単位落としちゃうから。」

「そうなの。言ってくれたらお夜食作ったのに。」

「大丈夫です。おばさんのお夜食、美味しすぎるから、ダイエットしなくちゃいけなくなっちゃう。」

「琴子ちゃんは、ダイエットなんかしなくたって、すっごく可愛いわっ。」

「ありがとうございます。そんなこと言ってくれるの、おばさんだけです。」

「オレも琴子のこと、可愛いって思ってるぞ。バカでドジで可愛いって。」

「もうーっ。裕樹くん、何よ、それーっ。」


今日も3人一緒に駅まで向かった。

「琴子、携帯返す。あのメールはパソコンに取り込んだから、全部削除してある。今日にでもアドレス変えろ。

 それからここ1、2ケ月で、新しくアドレスを教えた相手を教えろ。オトコだけでいい。」

「...だったら、テニス部関係くらいだよ。部長さんとか結城先輩とか佐藤くんもかな...まさか、そんなこと...」

「聞いただけだ。テニス部か...じゃあ、違うな。」

「でしょ?知ってる人がそんなことするわけないよ。」

「あと、クラブが終わったら一緒に帰るぞ。」

「一緒に帰ってくれるの?」

「あぁ。しばらくそうしよう。俺が都合が悪い時は、裕樹が迎えに来るから待ってろ。」

「えっ?そんなことまでしてもらっちゃ悪いよ。やっぱり迷惑かけちゃう。」

「何言ってんだよ、琴子。お前が怖がってんのに、ほっとけるワケないだろ。」

「ありがとう、裕樹くん。」

「琴子、お前、なるべく一人にならないように気をつけろよ。念のためだ。必要以上に怖がることはない。」

「わかった。そうする。入江くん、ありがとう。」



コンコンッ

「どうぞ。」

返事をしたのに、入ってこない。ドアを開ける。そこには、枕とコットンケットを持った裕樹が立っていた。

「...兄貴。今日からここで寝てもいいか。」

俺の目を見ずに裕樹が言った。

「俺とお前の部屋だろ。」

「...ありがと。作戦会議もしなきゃなんないからな。」

「ふっ。作戦会議か。」

「そうだよ。怖がらせるから、琴子の前じゃ話せねーし。立ち話してて母さんにでも聞かれたら、大変だろ。」

「確かにそうだな。」

「兄貴、琴子の前ではああ言ってたけど、あいつだって思ってんだろ。ストーカー野郎。」

「確証はないが、まず間違いないだろ。」

「俺もそう思う。あいつ、琴子を見る目つきが最初からおかしかったんだよ。」

「...俺の所為かもしれない。」

「何でだよ。」

「あいつが琴子にちょっかいかけようとするから..釘刺した。結果的に煽ったのかもしれない。」

「何言ったんだよ。」

「...言いたくない。」

「どうせ琴子は俺のもんだとか言ったんだろ。そんなんだったら、付き合えよ。周りがいい迷惑だ。」

「...付き合うとか、そんなんじゃない。」

「そんなことばっか言ってると、本気で行くからな。」

「お前が本気出しても、琴子は変わらないよ。」

「何、半笑いで言ってんだよ。マジ、ムカつくーっ。」

「裕樹...琴子が好きなんだな。」

「好きだよ...兄貴、信じるか。」

「信じるよ。」

「えらく簡単に信じるって言うんだな...兄貴らしくない。」

「お前が生まれてからずっと見てきたんだ。お前がどんな人間か、ちゃんとわかってるつもりだ。

 いまはちょっと生意気で憎らしいけど、それでも俺の可愛いたった一人の弟だからな。俺はお前を信じる。」

「...琴子を守りたいって思ったんだ。兄貴がひどく泣かせたことあったろ。あの夜、大きくなりたいって思った。

 大きくなって、琴子を辛いことや悲しいことから守りたいって。琴子を傷つけるなら、兄貴からも守りたいって...

 次の日、起きたら大きくなってた。大きくなれたってことは、琴子を守れってことなんだと思う。オレは琴子を守る。」

「お前が大きくなったのはわかってた...そうだったのか...お前は、琴子が守りたくて大きくなったのか...」

「オレが大きくなったって、兄貴、知ってたのか。」

「あぁ。」

「そっか...次の日、すぐ仲直りしてたから頭に来て、兄貴とケンカしたんだよな。ここに戻るの、あの日以来か..

 あの日、琴子がオレを追っかけて来ただろう。なんで許すんだって言ったオレに、アイツ何て言ったと思う。

 怒ってたけど、具合が悪そうって聞いたら、心配でたまらなくなる。怒ってるってわからせたくても、

 話しかけてくれたら、うれしい。返事したくなる。無視しようと思っても、できない。目が勝手に兄貴を見てしまう。

 そう言ったんだ。琴子が好きで、大きくなってまで守りに来たオレに...アイツ空気読めねーよな。

 ...兄貴..琴子は本当に兄貴が好きだ。オレがどんなに足掻いても、兄貴だけが好きなんだ。」

「...わかってる。」

「わかってねーよ。ちきしょーっ。何で琴子はこんなヤツが好きなんだよ。あーっ、もぉーっ。」

「はははは。勝手に怒ってろ。」

「笑ってろよ...オレ、琴子に好きだって言ったって言ったよな。本当はそれだけじゃないんだ...」

「...なんだよ。」

「...琴子にキスした。」

「......」

「ぷっ...ウソだよ。琴子にいまの顔見せてやりてーっ。兄貴のそんな顔初めて見た。あーっ、面白かった。」

「お、お前なーっ...ほんとにキスしてないんだろうな。」

「別に琴子のこと何とも思ってないんだろ。だったらいいじゃん...怒るなよ。キスしてないよ。抱き締めただけ。」

「ふんっ。また、ウソだろ。」

「これはホント...琴子、真っ赤になって焦っちゃって、すんげぇ可愛かったなぁ...おやすみ。」

「おやすみって...お前、ほんと生意気。」


~To be continued~