Ordinary World vol.15 | φ ~ぴろりおのブログ~

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イタズラなKiss&惡作劇之吻の二次小説を書いています。楽しんでいただけると、うれしいです♪ 

なんか、裕樹くんと顔合わせるの気まずいな...

「おはよっ、琴子。なに、階段の真ん中で突っ立ってんだよ。ジャマだろっ。」

「あっ、ごめんね。おはよ。」

...よかったぁ。裕樹くん、全然普通だし...やっぱり冗談だったんだ...昨日あんまり眠れなかったのに、もぉ。

♪~♪~ あれっ?こんな時間にメール?誰かな?


『おはよう。君を守るから。待ってて。』


なに、これっ?ヘンなの?知らないアドレスからだ...間違って送られてきたのかな?

「「琴子、どうした?」」

入江くんと裕樹くんの声が重なった。

「すごいね。さすが兄弟だね。あっ、あのね、メールがちょっとヘンだったの。たぶん間違いだよ。」

「大丈夫か?」

「裕樹くん、大丈夫だよー。」

「みんな早く朝ごはん食べちゃいなさい。お兄ちゃんと琴子ちゃんも、今日は1限から授業なんでしょ。」

「はーい。」



今日は、3人で駅までの道を歩く。入江くん、私、裕樹くん。いつもと同じ並び方。

入江くんと裕樹くんを見て、道行く人が囁き合い、振り返る..私だって毎日見てても、二人ともカッコいいって思う。

そりゃあ、驚いて振り返るよね。そして、私を見て、どうして?なんで?って顔をする人たち。これもいつもと同じ..

「おい。お前、英文解釈の課題できたのか。」

「できたと言えばできたし、できてないって言えばできてない。」

「「なんだ、それ。」」

「また声が揃ったね。こういうとき『ハッピーアイスクリーム』って言わない?」

「言わない。」

「オレ知ってる。『ハッピーアイスクリーム』って言いいながら、相手にタッチするんだよな。」

「そうそう。早い者勝ちで、先にタッチされた方がアイスおごらなくちゃいけないの。」

「くだらね。それより、課題の話は?」

「あっ、そうだった。だからね、『できたのか』っていうのが、終わったのかって意味ならできたし、

 ちゃんとできたのかって意味ならできてない。絶対間違ってるもん。やるだけやったから、正々堂々怒られるよ。」

「正々堂々怒られるのか。潔くていいんじゃないか。」

「そうでしょー。」

「ばかだな。俺は別に褒めてるワケじゃないからな。」

「そうなの?!」

「ったく、お前は。」

「琴子。お前が課題できなかったの、ドキドキして他のこと考えてたからじゃねーの。」

「ちがうよっ。」

「へーっ。そうなんだ。オレはてっきりそうだと...ちがうんだー。」

「ドキドキなんかしてないもん。」

「昨夜はドキドキしたって言ってたじゃんか。うそつきー。」

「...裕樹くんの意地悪っ。もう知らないっ。」

「怒んなよ。ジョークだよ。ジョーク。」

「......」

「ごめんて。なぁ、琴子。ごめん。許してくれよぉ。」

「今度、意地悪言ったら、もぉ許さないんだからぁ。」

「わかったよ。もう言わない。」


電車を待つ列に並んだ。私が入江くんの隣りに立つと、裕樹くんは入江くんの後ろに立った。

裕樹くんが入江くんに耳打ちする。

「さっきの話、気になってんだろ。オレ、昨夜、琴子に好きだって言ったから。」

「......」

「何話してたの?」

「別に。たいした話じゃねーよ。」

「ふーん。そうなの。」


電車に乗る。入江くんは、私と裕樹くんからずいぶん離れたところに立つと、すぐに文庫本を読み始めた。

なんだか、また入江くんが遠くなった気がする。昨日は、あんなに近くに感じたのに...

夢みたいな一日は、やっぱり夢のように儚いんだね...昨日が幸せすぎたんだ...


『オレ、昨夜、琴子に好きだって言ったから。』

裕樹の言葉が、裕樹の声が、頭の中にこだまする。

裕樹は琴子に好きだって告白して、どうするつもりなんだ...

琴子は裕樹に好きだって言われて、なんて答えたんだ...

俺には関係ない...琴子と裕樹の問題だ...関係ない...そう思いたかった...

無理矢理文庫本の文字を追う...何度も同じ行を読んでしまう...それでも、何とか意識を文庫本に集中する。

これ以上考えたくない...そう思えば思うほど...

昨日、俺のところへ走ってきた琴子の笑顔が...胸に浮かんで消えなかった。


~To be continued~