先週、久しぶりに仕事を早退した。

少し無理をしたかな? と思った日から頭痛が始まったからだ。

職場に行くと、ギューっと頭を締め付けられる感じがする。気にしないよう仕事をしていたが、それでもますます具合が悪くなった。

 

 

 


久しぶりに早退を決め、息子と一緒に車に乗った。

ライトアップされた桜の木々が遠くに見える。

「きれいだね。夜桜見ていく?」

「いいね。見たいな」

息子も乗り気だったので、家とは違う方向へ車を走らせた。

 

 


 

夜が遅い仕事で、今まで夜桜には縁がなかった。

桜は、昼間見たほうが淡い優しいピンク色が楽しめるけれど、それでもライトアップされた桜はどこか幻想的で、美しかった。

 

 


 

来年は忙しいからと、つい最近二人でスマホを新しくした。息子は写真撮影が好きだから、新しいスマホで撮影を楽しんでいた。

二人でたわいもない話をしながら、夜の散歩を楽しむ。このお花見が、息子と一緒に暮らす間の最後のお花見になるだろうか?

 

 


 

息子が撮った写真を見ていると、黒い空の中で小さく光るピンク色の花を繊細に捉えているのが伝わってきた。息子らしい優しさが伝わってくる写真だ。「目の前の小さな幸せに目を向けて……」息子は、そんなメッセージを込めて写真を撮っているのだろうか。昨年は、同じようなコンセプトでたんぽぽの写真を撮っていた。

 






最後になるかもしれないお花見で撮った写真を見ていたら、息子を手放す寂しさが込み上げてきて、何とも言えない寂しさが急に襲ってきて涙が出てきた。






この17年間、息子の優しさにどれだけ救われてきたことだろう。小さな頃は、泣いている私にすぐにティッシュペーパーを差し出してくれ、頭を撫でてくれる優しさがあった。

 

 

 

「何、泣いてんだよ〜」

高校生の息子は笑っているだけだが、きっと息子なら今の私の寂しさも理解してくれていることだろう。

 

 

 

昨日は、落馬事故で亡くなった藤岡康太騎手が乗っていた馬が、皐月賞でコースレコードをたたき出し勝利した。落馬事故を悲しんでいた息子は、勉強にも手がつかない様子だった。昨日は、その勝利を何度も見ては涙ぐんでいた。

 

 

 

これまで、息子は年齢に合わせて夢中になるものを変えてきた。

それでも共通しているのは、「心がある世界」かもしれない。優しさがある世界とも言えるだろうか。競馬は、賭け事のように見えるが、決してそれだけではないことを息子から学んだ。

 

 

 

桜の花びらを繊細に写し出し、競馬の中にある馬と人との心を見つめる。

いよいよ高校最後の1年間。

のびのびと自由に、息子らしさのある花を咲かせてほしい。