浪人生活が始まって、5回目の共通テスト模試が終わった。この超人的な12時間模試は、これが最後であってほしい。
結果はイマイチに見えたが、息子には得るものもあったようだ。
私の思いはただ一つ。
どんな結果であれ、春に息子の笑顔を見たい。
「あまり伸びていないけど、共通テスト対策は大丈夫?」
つい余計なひと言を発してしまうのが、親というもの。
予想通りに、テスト翌日の朝は、ケンカモードに突入した。
「コーヒーを入れて」
「加湿器の水をお願い」
朝食を慌ただしく用意する私を前に、ぼーっとしている息子にイライラし、つい小言へと発展する。
心配している側も、楽ではない。
いつものように言い争いになったが、昨日は少し様子が違っていた。
気づくと、息子の目に涙が溜まっている。
「僕だって、毎日不安なんだよ……」
堪えきれなくなって、一粒涙がこぼれ落ちた。
ふと我に返り、言い合いはすぐに終わった。
「そうだよね……ごめん」
息子のいつものかわいくない強気な言葉は、不安を隠すため。
毎日、不安と闘っている。
物理と化学の二次試験の点数を、あと一歩伸ばせたら、合格できるかもしれない。
本人なりに分析するが、そのあと一歩は、すぐ目の前にあるのか、何年もかかるのか、息子ではもう乗り越えられないのか、分からない。
「二浪はしない。もう心がおかしくなる」
息子は、決められた道に進むつもりでいるが、最後まで努力をし続けている。
ここにきて、また心臓の痛みがで始まった。
ストレスからくるのだろう。
心配ではあるが、なるようにしかならない。
明日は、クリスマスイブ。
息子が幼い頃は、サンタさんからのプレゼンントを心待ちにする楽しい季節だった。
大人までサンタさんにお願いができるならば、
「息子が、息子らしくいられますように」
そうお願いするだろうか。
今日も息子は病院に来ている。
バスがあまりないので、おいても行けず、2時間以上かかって仕事にも行けない。
模試がしんどかったのか、免疫力が下がっているのか、喉の調子が悪い。模試の時間に感じた心臓の痛みも相談するつもりのようだ。
年末の追い込みの時期。
世の中の受験生は、よく頑張っていると思う。
そして、それを支える親もよく頑張っている。
何もできないからこそ、見ているだけのしんどさも心に重くのしかかっているはず。
息子だけでなく、頑張っている人たちが、納得のいく結果になるような入試でありますように。
サンタさんに、そう願ってみたい。