アリステア・マクラウド
中野恵津子 訳
8篇の短編
船 the boat 1968
船乗りの父親の混沌とした寝室 箪笥をおおう本や雑誌 方や本を読むのはとてつもない時間の無駄という母親 不実な⁈息子の私が語る父の最期の姿
広大な闇 the vastness of the dark 1971
代々坑夫の祖父に父親支える祖母に母親 その街を出ていくことになるが乗せてくれた車は坑夫たちが乗っていて・・・
灰色の輝ける贈り物 the golden gift of grey1971
教科書をわきに抱え家を出た僕の行く先は⁈ ビリヤードで得た掛け金を母親に渡そうとするが・・・という表題の一編
帰郷 the return 1971
10歳の僕 両親といっしょにモントリオールからノヴァ・スコシアの東に向かう 8人の息子を育てあげたという祖父祖母のもとへ そして今も海底の炭坑へと向かう祖父のもとでの2週間
秋に in the fall 1973
父親が炭坑の地下でこの馬の御者をやり気持ちが通じ合うようになり 炭坑を離れるとき会社から買い取った馬スコット 今ではすっかり年老いてエサ代も事欠くのでついに売ることになるが渋る父親 そして弟のデイヴィッド
失われた血の塩の贈り物 the lost salt gift of blood 1974°
祖父母と暮らすジョンのもとを訪ねたひとりの男わたし はもしかしたら⁈はやっぱりで・・・
ランキンズ岬への道
the load to rankin's point 1976
1970 7月のこと 人生26年目の僕キャラムがめざすのはランキンズ岬にひとり住む祖母の家 「悲しみの小さな曲がり角」を通り・・・
夏の終わり
the closing down of Summer1976
立杭を掘る開坑チームとしては世界一のわれわれ
南アフリカへの出発を遅らせながら思いに浸ることは・・
今も残る彼方なる歌
その作者による短編集
“珠玉の”とはこういうのを言うのね⭐️
どれもハズせなくて思い出しながらまた最初からもう一度繰り返してしまった
やっぱり哀しみの主旋律なのだけれど 海や山の自然 その土地や家の様子 花や木々 人物人々の情景描写が素晴らしく目に映像が浮かび音楽も流れる 安易に絆という言葉使うの好きじゃないけれど まさしくここには代々の絆がありそれが描きこまれている
新年にふさわしい一冊 ときどき繰り返し読みたい本 またすこし間をおいてから続編「冬の犬」読みたいと思う
表紙の編み物の柄に絶対読んでる!と思ったけれど読んでなかった^ ^遅まきながら出逢えて良かった♪