藤原伊周が好きな女を誰かに取られたと勘違いし、藤原隆家が、花山院とは知らずに矢を放つ。

 

史実では伊周・隆家の命を受けた射手が花山院に矢を放ち、従者同士で乱闘となり、花山院の童子2人が殺害され、首を持ち去られるという事件だ。

あくまで「光る君へ」のドラマの感想として、ネットでは「馬鹿な兄弟」という意見が多かった。私は、高校の日本史の授業は大学センター試験対策のため世界史の勉強をしていたため、日本史には疎い。だから、当時の道徳、倫理観が果たしてどういうものかはよくわからない。字の読み書きができる人もそんなにはいないし、紫式部の下の名前も残っていない。今とは全く違う時代だ。だが、人の気持ちは今も昔もあまり変わらないとは思う。

何か月か前に「不適切にもほどがある」という昭和61年を舞台にしたドラマがあった。昭和61年1月、私は中学1年生で、ドラマの昭和61年の価値観はよく理解できた。懐かしいという感じだ。でも、令和6年からするとずいぶん、ざっくりとしているというか乱暴で、しかし寛大な部分もあったと思うのだ。

そして「光る君へ」は今は996年時点での話だ。1028年前の話だもん。1028年前の人達の、女は身分が高いのに限るだの,字なんか読めなくもいいだの、そんな時代の、女取られたと勘違いして矢を射るという事件。やってはいけない事件だが、心のどこかではわからなくもないのだ。背景とか、感情の赴くままで、取り繕った感じがない。行動があまりに生々しく、面白い。このドラマ、人の心の機微をとらえている部分もあるが、見ていると、要するに日本人だから、こんな話の流れになっているんだろうとは思う。