同級生とのお別れ | 現在と未来の狭間

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文芸と自転車、それに映画や家族のこと、ときどき人工透析のことを書きます。

土曜日の朝起きてすぐにiPadを手に取ると1通のメッセージが入っていた。高校の後輩からで、私と同期の女性が亡くなったとのことだった。

彼女はこの7年間は植物状態でほとんど動くことも話すこともできなかった。原因は受動喫煙と聞いた。

お別れ会が昨日。場所は立川で自分の住む場所からは少し遠い。身体的な不安もあったが、それでも行かねばならない。私には行くべき理由があった。

立川までは品川へ行き新宿まで出て中央線に乗り換えて、と面倒なルートだと思っていたが乗換案内によれば川崎から南武線で行けると。ああ、そういえばそうだった。時間にして45分。彼女を思い浮かべてにはいい時間である。

ほんの10分ほどだがお別れの挨拶ができた。小さな丸顔で鼻筋が綺麗に整っていた。思い出の中の表情とあまり変わらない。特徴的な笑顔が見られないのは残念だが。

「次は私だから。まあ、もう少し向こうで待っていて。そしたらまた話をしよう」

その後は後輩たちと談笑。みんなちょっとずつ変わったけれど昔の面影はかぶる。直接は知らない後輩もいたけれど、どこかで見ていてその面影は分かる。それだって少しなつかしい。

帰りの電車の中でまた彼女のことを思う。

高校時代。ずっと昔のことだが、あの日私は家の近くにある鍋屋横丁商店街のあたりで、自転車に乗る彼女を目撃した。急いでいるらしく猛スピードで私の横を通り過ぎて行った。

その時、彼女はハンカチを落としていったのである。それを拾って振り返った時は、もう彼女の姿は遠くにあった。

ハンカチは翌日、高校の図書室前で渡した。なぜか返す前に母のアイロンをかけきちんと形を整えておいた。そうするのが正しいと思っていた。

彼女はハンカチを受け取ると苦笑し、丸い顔が真っ赤になった。

それが会うべき理由だと思ったんだ。

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