息子、家に帰る | 現在と未来の狭間

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文芸と自転車、それに映画や家族のこと、ときどき人工透析のことを書きます。

新年早々身体が重くて起きることがなかなかできず、8時を過ぎてやっと布団を出た。疲れが溜まっているのだ。昨日と一昨日は年老いた両親が住む実家にいた。

この実家がまた遠く辺鄙な場所に住んでいる。東京駅から高速バスに乗り2時間鹿島神宮駅へ。そこからはタクシーで20分くらい国道を走り、畦道のような狭い道をクネクネと進む。住所を伝えていたので家の近くまで運転手は連れて行ってくれた。

タクシーを降りようとすると犬が一匹ワンワン吠えている。

「お迎えですか」

「いや、まさか」

「じゃあ野犬です」

実家に向かうと犬は次々と現れけたたましく吠えてくる。数えてみると五匹の犬がいた。

それぞれ私からは5メートル位の距離を取っている。睨むとすぐに目を逸らしてくるのでさほど獰猛とも言えず身の危険はないようだ。こういう時に戸川幸夫の動物文学を読んでおいて良かったと思う。

両親を訪ねるのは実に9年ぶりである。

ケアマネジャーさんから事前に得た話では2人とも認知が進んでいるとのことではあったが、私が誰かは認識できたようである。ただ後から聞くと私の容姿がかなり変わっていたので偽息子ではないかと疑った瞬間があったという。まあそれくらい疑り深いくらいが犯罪に巻き込まれずに良いのかも。

2人とも運動力がかなり低下している。台所を見ると全く片付いていない。先ずは水回りから手を付けないとご飯も作れない。

片付けを進めているとAmazonで頼んでおいた例のブツが届いた。直ぐに父の部屋へ。

楽ちんヒヤリングをどうにか父の耳に装着する。耳元で聞こえるか?と聞くと、神妙な表情で

「聴こえる」と。良かった。医者からは「とんでもなく耳が遠くて、こちらの意思が伝えられずに」と言っていたので完全に難聴が進んでいたらと心配したのだ。

筆談も試みてみたがこちらが伝えたいことは普通に通じるようだ。あの医師は筆談を試みようとは思わなかったのか、少し普通に思う。

その後、お昼を作ったり、近所の宅配をしてくれるスーパーに電話をして食料を発注したりと、できることを少しずつした。

掃除の方は苦手ということも有り直ぐにはできず業者を手配するなり考えよう。

夕飯はお刺身を手配したので、簡単に盛り付け、後はしじみの味噌汁などを作った。

父はパッパと食べてしまう。母は食が細くなっているとのことだったがそうではなく、思ったよりも多めのご飯を時間をかけてゆっくりと完食した。

その後はFaceTimeを使って東京に帰ってきている息子に連絡。かみさんと一緒に映る孫の姿を見た時は2人とも写真だと思っていたが、自分の姿も言葉も伝わっていると理解するとびっくりしたり喜んだりしていた。今回これが一番良かったのかもしれない。

翌日には2人の朝食を作ったり洗い物をし、食料の手配をして、また同じルートで東京へ帰宅した。

1泊で帰るのが透析患者の親の介護の限度かなぁ。

とりあえず正月が明けたら鹿島市の行政に連絡を取って、あの野犬の群れをどうにかせねば。母の話では8頭くらいはいるらしい。一晩中吠えまくっていた。父は耳が遠いから気にはならないようだが、母はかなり怖がっていた。

また日にちを決めてちょこちょこ帰らないとな。詐欺だと思われないようにせんと。


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