夢 | 現在と未来の狭間

現在と未来の狭間

文芸と自転車、それに映画や家族のこと、ときどき人工透析のことを書きます。

こんなことを書くと驚かれるかもしれないが、少し前まで私は自分が幸せになることは無いように思っていた。強くそう感じていたわけではないが、なんとなくあやふやだけどそんな風に。

病気の経験をしているからかな。腎不全を患ったのは大学4年の時だった。周りは就職も決まり意気揚々としている雰囲気の中で、私だけが定期的に授業や就職活動の合間を縫って通院をしていた。主治医との相性は最悪で喧嘩こそしなかったが、病院に行くたびに口汚く罵られている気分だった。

入社してからしばらくは憂鬱な生活を送っていた。休日は会社の寮に閉じこもり、安静にしていることが多かったと思う。当時はまだ慢性腎不全患者の運動は禁忌だったから。

まあ、それが結婚をしてから少しずつ変わってきたように思う。人生のパートナーがいるということはどこか安心感がある。それが子供ができ、子供の成長を見守るようになると、そのことだけでも他には代えられない幸福的な価値観になってくる。

でもね、頭のどこかでは漠然と、どこかで躓いたり人生の落とし穴のようなものがどこかにあるんじゃないかと思うようになる。いやいやそれは強い不幸感ではなく、かすかな嫌な予感のようなもの。

で、それは当たったりするんだよね。最初の会社の退職とか、前に勤めていた会社では気が付けば更新が無くなっていた。

でもそういうのをひっくり返しにして、不思議と食いっぱぐれるということは無かったな。変に失業期間が長いということは無かったし、転職は4回も繰り返したが不思議と収入はちょっとずつだが上がっている。悪いことがあれば、どこかで良いこともある。それがやっぱり人生なのかなと思う。

今でも少しだけ嫌な予感みたいなものはあるのだけど、考え方を変えたいなという気持ちも強くなってきている。私は今までその日その日がどうにか生きて行ければよいかなというくらいで、大きな目標を持ったことが無い。小さな目標で積み上げていけば、いつかどこかにはたどりつくだろうくらいのことしか考えていない。心のどこかで幸せに対する不信感みないなものがあったからなんだろう。

今考えている「夢」は、子供が大学を卒業するタイミング辺りで、少し大きな住まいに引っ越しをすること。できれば勤務先である日本橋の近くに。きっと家賃は今より高くなるのだろうけれど、それでも引っ越したいと思っている。

今住んでいるところは区営住宅なので、住居費はかなり抑えられている。子供が大学を卒業して就職してくれたら状況も少し変わってくるので、そのタイミングで引っ越したい。実は今の会社のすぐ近くに小さいながらも透析室のある病院がある。家、会社、透析施設の三角形は小さければ小さいほど生活がしやすくなる。そうなれば今よりも少し長い時間働けるかな。

できたら子供が帰ってこられるような場所に住みたい。それが私にとってはある意味幸福の姿と思っているから。

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