昨日のNHKのドラマ | 現在と未来の狭間

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文芸と自転車、それに映画や家族のこと、ときどき人工透析のことを書きます。

昨日のNHKドラマ「赤報隊事件」を観ていて思い出したことがある。この事件の時効の夜、私はこの事件の容疑者とされた人物と一緒にいた。取材に囲まれている様子を写真に収めていたのである。その人物は鈴木邦男さん、通称くにーである。

新右翼の旗揚げ的存在でありながら、右も左も超えた思想の持主である。当時、鈴木さんからは、自分が知ることのなかった右側の思想を学ぶことができた。なぜ彼らが過激な思想に走るのか。それは昨晩のドラマの中でも描かれていたが、当時の右翼団体はその主義や考えを広める術がなかったのである。新聞、週刊誌、あらゆるメディアが取り上げることを怖がり、伝えることができないでいた。結局、街宣車の上から大音量でがなり立て、怖がれるのが落ちだったのである。

それが赤報隊事件、つまり朝日新聞社阪神支局襲撃事件がきっかけとなり「反日」という言葉が広まっていく。犯行声明の中で幾度も「反日」という言葉が書き出されている。その言葉をメディアが取り上げるうちに、一般的に使われるようになった。犯人は右翼青年とも宗教団体メンバーとも言われているが、2003年に事件は時効を迎えた。犯人は鳴りを潜め、人民の海に消えたのか、どこか人知れず隠れてしまう。

しかし、今の時代となってはかつてに比べれば右翼思想は声高に語られ、憲法改正、再軍備化、と右傾化に歯止めが効かないところまで来てしまった。この状況そのものこそ、赤報隊の目的だったと鈴木さんは語ってくれた。

鈴木邦男さんは、今となっては自らを左翼と言っている。原発に反対し、国旗の掲揚が強制されるのは、国旗がかわいそうだと発言している。右翼仲間からも毛嫌いされていたりするが、私からすればこれだけバランスのとれた思想家に教えを受けることができたのはラッキーだったと思う。ほんの数年、鈴木氏の活動のお手伝いをしたが(サイトの運営を手伝ったが、透析導入とともに辞めている)、すごく人当たりのいい人で優しく、勉強熱心な人。イベントがあれば若い人も氏を囲み、和やかに対話が行われる。当時足を運んだ人たちの多くは右翼に対するイメージが覆されたと思う。

「思想が無ければ活動はできない」という教えを電話で受けたことがある。物事を進めるのには、根幹となる考えがなければいけないということで、ここから私は人やもの、事業を見る目を得たように思う。

昨日のドラマを見て、鈴木さんはやはり犯人ではないと実感した。いや、知っている人だったら誰もが犯人だとは思うまい。当時の捜査当局も手掛かりが少なかったのだと思う。犯人のイメージが、右翼的な思想の持主、犯行声明など文章に書きなれ、軍事訓練などの経験を持つ、といった程度のものだから、いくつか当てはまるということで鈴木さんに目星をつけたのだ。

今夜は昨日のドラマのドキュメントパートを放送するとのことで、どうやら鈴木さんが出てくるみたいだ。昨日の予告で、久しぶりにくにーの姿を見た。先生、お元気そうで懐かしいです。果たしてNHKの電波で何を語るのか?実は犯人との接触があるとも言われており、時効から16年が経った今、何か新事実を話すだろうか。

先生の話を今日は正座しながら聴こうと思う。

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